事例紹介
土地を持っているけど、そのまま遊ばせている状態だという人は、土地を貸すことで収益が出れば…と思いますよね。
土地を貸す時は、どんな手続きをとればいいのか、また土地を貸すことでどんなメリットやデメリットがあるかなど詳しくご説明します。
この記事でわかること
1.土地を貸す場合の注意点
土地を貸す時は「収益が出るかもしれないから」と口約束だけで土地を貸すのではなく、きちんとした手続きを取ってから土地を貸すようにしましょう。安易に土地を貸してしまって、トラブルに発展した事例も多々あります。
そこで、土地を貸す場合の注意点をまとめてみましたのでご説明します。
1-1.土地を貸す相手
土地を貸す時は、相手も重要なポイントになります。
◆近しい人に個人的に土地を貸す場合
兄弟や近しい友人から「土地を貸して欲しい」と頼まれることもあると思います。しかし、近しい間柄だからと言って、簡単に口約束で土地を貸してしまうのはトラブルの元です。どんなに親しい間柄、近しい関係の人に土地を貸すことになったとしても、個人的に土地を貸すことは避けたほうが良いでしょう。貸主がいつの間にか土地を担保にお金を借りていた、というトラブルも多々あります。
また、どんなに信頼している相手でも、100%の安心ということはありません。時には「知らず知らずのうちに、土地を貸すことになっていた」なんてこともあるのです。
不動産業者を通さず土地を貸す場合や、契約書なしで土地を貸すことは、トラブルに発展する可能性がありますので、お互いのためにもやめておきましょう。
◆企業、業者に土地を貸す場合
個人的ではなく、会社や業者に土地を貸す場合も、口約束ではなくきちんと不動産業者を通して契約するようにしましょう。
また、土地を貸す相手となる会社の経営状況なども確認して貸すことが大切です。会社の経営状況が苦しい業者の場合、土地の賃貸料を払ってくれない可能性があります。知り合いから頼まれた場合でも、土地を貸す時は、どんな会社なのか、どんな経営状況なのかを確認してから契約するようにしましょう。
1-2.土地を貸す時の契約方法(借地権)
所持している土地を貸すことになると、「借地権」が発生することになります。
土地を貸す時の契約方法である借地権については以下の通りです。
・普通借地権
普通借地権とは、借地人の希望で契約を更新することが出来るということがあります。ただし、貸主側が契約を終了する時は、正当な理由でなければ一方的に契約を終了することは出来ません。
・一時使用目的
一時的な使用のために、土地の借地権が発生することを一時使用目的と言います。一時使用目的も、きちんとした契約のもとで実施されます。
・事業用定期借地権
定期借地権の一種である事業用定期借地権は、主に店舗で居住を伴っていない業者に土地を貸す時の借地権のことです。
事業用定期借地権は、居住用の借地権より土地を貸す収益が大きくなりますので、土地を貸したいと思っている人にはおすすめの借地権になります。
・一般定期借地権
一般定期借地権とは、契約存続期間が50年以上あり、契約更新もないです。建物の用途を限定することも出来ません。契約が終了したら、土地を借りた借地人は、土地を更地にして貸主に返すことが条件です。
・建物譲渡特約付借地権
この借地権は、存続期間を30年以上(40年でも50年でも可能)で契約する借地権のことです。契約の更新はありません。貸主が借地人の建物を買い取る権利がないため、様々な角度や用途から継続することも出来ます。
一般定期借地権と比較すると、契約期間も短く契約を満了することが出来ます。
1-3.土地を貸す場合の収入(借地料)
実際に土地を貸した場合に得られる収入である借地料の決め方についてご説明します。
土地を貸すことで、安定的な地代収入が得られます。安定的な地代収入とは、具体的にどのくらいなのか、相場も知っておきましょう。地代は、不動産鑑定評価基準を参考にするのがおすすめです。
地代は土地の評価額その土地から予測されるであろう収益によって決められます。借主が得られることが見込まれる収益とは、対象となる土地の周辺の環境も含めながら、これまでの経験から判断していきます。これらをトータル的に見て、地代が決定されていきます。
以下の方法で地代は決定していきます。
- 積算法
積算法とは、対象となる土地の更地価格(建物がない状態の土地の評価価格)に、予測される期待利回り(土地を取得した金額と、その土地から見込まれる収益とを見て総合的に判断したもの)を加えて、利回りの分に必要経費を加えていく方法です。
土地の更地としての価格や、期待利回り、必要経費を算出できる場合は、積算法で地代を求めることが出来ます。
- 賃貸事例比較法
賃貸事例比較法とは、近隣の他の物件の地代を参考にしながら地代を決定する方法です。対象とする土地の条件に似た地代の資料がいくつか手に入ることができれば、賃貸事例比較法で地代を求めることが出来ます。
- 収益分析法
この分析法は事業用として土地を利用するのに適した地代の計算方法です。企業が事業を行うことを前提として土地を貸すことが条件になります。
- 公租公課の一定率
固定資産税額をもとにした地代の算出方法です。公租公課の一定率での地代の求め方は、計算も比較的理解しやすいことから、広く利用されています。一般的な計算方法として、固定資産税+都市計画税の金額の、2〜4倍の金額が年間地代の目安とされています。
また、国税庁の発表する路線価格に、0.8をかけると更地価格になると言われていますので、そこから算出する方法も利用されています。路線価格は、国税庁のホームページで見ることが出来るので便利です。
1-4.土地を貸すときにかかる税金
土地を貸したことによって得る収入にも税金がかかります。この税金は「不動産所得」という区分になります。
不動産を売却せず、所有したまま運用したことに対しての税金がかかるのです。
◆不動産所得の金額の計算方法
不動産所得の金額=総収入金額-必要経費
総収入金額には、貸付けによる賃貸料収入と、以下のものが含まれます。
- 名義書換料
- 承諾料
- 更新料もしくは頭金などの名目で受領したもの
- 共益費といった名目で受け取る、電気代、水道代、メンテナンス代など
- 返還を要しない敷金と保証金
ただ以上のうち、敷金は基本的に貸主から変換を要請されますので、預かり金として管理しておくようにしましょう。
2.土地を貸すなら知っておきたいトラブル事例
土地を貸すことになったら知っておきたいのが、トラブル事例です。
いくつかのトラブル事例をご紹介します。
- 貸主に都合の良いような契約をされてしまう
- 極端な破格値での賃貸契約
- 貸した土地を担保にお金を借りられてしまう
- 借主が賃貸料を支払ってくれない
これらのことは、土地の貸し借りでは起こりがちなトラブルです。トラブルは、明確なルールがないところに発生します。土地は財産であり、賃貸にもお金が発生します。どんなに狭い土地を貸す場合も、きちんと契約書を交わすようにする方がおすすめです。
3.土地を貸すメリット・デメリット
土地を有効活用するためにも、土地を貸すことを選択される人は多いです。以下でそのメリットとデメリットをお伝えします。
3-1.土地を貸すメリット
借り入れ無しで土地を活用することが出来るということは、大きなメリットです。土地を貸す時に定期借地権で契約した場合は、50年以上であることも多いです。50年以上も安定収入があれば、相当なメリットとなるでしょう。
また、土地を貸すだけでOKなので、そこから先の建物の維持管理などは借主にお任せしておいても大丈夫です。貸した土地に建物が建つと、固定資産税が減額されることになりますので、節税対策にもなります。
その他、空いている土地を管理してもらえることになりますので、良い状態で土地を保つことが出来るのです。
3-2.土地を貸すデメリット
土地を貸す契約をしている間は、自分の土地ですが自由に利用することができません。
期間中に子どもや孫が土地を使って家を建てたいと思っても出来ません。契約期間が長期間になることが多いですので、土地を自由に利用することが出来なくなるというデメリットがあります。
4.リスクの少ない土地活用方法一覧
リスクの少ない土地活用の方法をいくつかご紹介します。
- 自己使用する
収益は上がりませんが、リスクは少ないのが自分で土地を利用することです。
- 売却する
土地を売却することは、確実に現金が入ってくることになります。土地を売るということは、リスクもなくなりますし、対象の土地の固定資産税など税金のことを考えなくて済むようになります。
- 駐車場を経営する
駐車場経営も土地活用にはおすすめです。初期投資をほとんどかけずに、月極駐車場を運営することも可能です。ただし、がっつり事業として駐車場経営を行う場合は、舗装や街灯の設置などの整備も必須です。
- 太陽光発電
ここ数年人気の高い太陽光発電は、太陽のエネルギーを電力に変換することが出来るシステムです。太陽光発電は、日当たりや周囲への光の反射などをあらかじめ確認する必要があります。
他の土地活用にくらべると、立地条件は緩く、田舎の何もない土地の方が有効に太陽光発電を利用できる場合は多いです。
5.土地を貸す前に知っておきたい注意点まとめ
土地を貸す前に知っておきたい注意点をご紹介しました。土地を貸すときは、相手がどんな関係の人であれ、不動産会社を通して賃貸契約を締結する方が良いでしょう。きちんと契約せずに土地を貸してしまった場合、借主があなたの土地を担保にして、勝手にお金を借りている可能性もあります。
土地を貸す前は、きちんとした契約をすることはもちろん、どんな人や企業に土地を貸すのか、ということを確認しておきましょう。