不動産の登録免許税が免除されることはある?その条件は?

不動産を登記した際にかかる費用として、登録免許税というものがあります。決して安くはない額を支払わなければならないのですが、実はこの登録免許税が免除になる場合があるのです。

そこで今回は、その一例である東日本大震災で被災された方々が受けることのできる登録免許税の免除措置についてお話しようと思います。

1. 不動産の登録免許税が免除になる震災特例法とは

不動産を取得した際は、自らの所有権を公的に証明しておくため不動産登記を行うのが通例となっています。

第3者に対して自らの不動産に対する所有権を主張できることを「対抗力」と呼び、これは法的に利益として捉えられるため流通税の一種である「登録免許税」が課税されます。

不動産の取得方法や種類、タイミングにより0.1%から最大2%までの税率を固定資産税評価額などの課税標準に掛けて算出されるこの登録免許税は、不動産購入という大きな買い物の中では決して安い金額ではありません。

しかし、この日本は昨今多くの自然災害に見舞われており、災害により住まいを失う人々が後を絶ちません。中でも大地震の発生頻度は目を見張るような高さで、2011年の東日本大震災をはじめ、その被害の甚大さは言わずもがなでしょう。

そこで国は、こういった状況に対処するべく動いています。不動産を失った人々が新たな住まいを得るのにできるだけ負担が少なく済むよう、登録免許税の免除制度が施行されており、しかるべき手続きを行えば、住宅取得に際しコスト削減を図る事ができるのです。

以下にその特例免除処置を紹介しますが、これらはいわゆる「震災特例法」正式名称「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」の施行を皮切りに、数回の見直しを経て設定されているものです。

震災特例法では、東日本大震災における甚大な被害からの復興を促進する目的で、個人から法人・酒造会社まで対象として、所得税から相続・贈与や酒造会社酒税など幅広い範囲の税免除措置が設けられています。また平成23年には一部改正も行われ、より細やかな対策が考案し続けられています。

今回は被災した人々のための不動産の取得に関する課税免許措置の中から、登録免許税に的を絞って紹介します。

2. 被災した建物の建替え等に係る登録免許税の免除措置

まず紹介するのは、被災により建物を建て替えた方などへの登録免許税免除措置です。

個人あるいは法人が、震災のために所有していた不動産を失ったり損壊した建物を取り壊したりして、新たに不動産の新築や中古物件の取得を行ったとします。

新しく不動産を取得した際には、新築の場合「所有権保存登記」、中古の場合「所有権移転登記」を行うことになります。免除措置では、この時にかかる登録免許税が免除されます。

平成23年4月28日から平成33年3月31日までの間に登記されるもので、一定の条件を満たしている場合にこの特例が適用されます。

2-1. 対象者

①建物被災者(東日本大震災により住宅や工場などの建物に被害を受けた法人もしくは個人)

また、免許措置適用の対象は建物被災者だけではなく、その建物を相続することになっている個人や、合併や分割継承した法人も対象となります。

②建物被災者の相続人(建物被災者が死亡している場合の相続人)

③建物被災者(法人)が、合併によって消滅した場合の合併法人

④建物被災者(法人)が、分割により滅失建物等にかかわる事業の権利義務を承継させた分割承継法人

ただし②~④は、被災者から直接相続・承継した個人・法人、直接合併した法人に限ります。

2-2. 対象地域

青森県、岩手県、福島県、宮城県、栃木県、千葉県、茨城県:全市町村

新潟県:十日町市、中魚沼郡津南町

長野県:下水内郡栄村

2-3. 免税手続き

法人・個人いずれの場合も、法務局へ登記申請を行う際に、り災証明書・場合によりその他書類を添付する事によって免許措置の適用を受けることができます。

り災証明書は建物被災者の氏名(法人の場合は名称)、住所もしくは主な事業所の所在地と滅失した建物の住所地が記載されているものに限ります。

り災証明書の交付は、滅失した建物の住所地の市区町村に申請することにより行うことができます。

もし当該不動産が個人の居住用以外で、かつ登記する被災代替建物が前項の対象地外にある場合は、滅失建物のり災証明に加え、被災代替建物の主務大臣証明書を添付する必要があります。。

主務大臣証明書は、建物被災者が行う主な事業等を所管する省庁に対して、り災証明書の写しと登記する被災代替建物の詳細を記した書面を提出することによって発行されます。

例えば建設業が主な事業である法人ならば、所轄の「整備局」へ相談・届け出を行います。

登記を行うのが対象者の②~④に該当する場合は、り災証明書の他に以下の書類を添付する必要があります。

②相続人による登記の場合…被相続人の戸籍謄本など

③合併法人の場合…合併法人の登記事項証明書

④分割承継法人の場合…分割承継法人の登記事項証明書、滅失建物等に係る事業に関して有する権利義務を当該分割承継法人が承継したことを当該分割承継法人に係る分割法人及び当該分割承継法人が共同して証明する書類

3. 被災した建物に代わる建物の敷地の用に供される土地に係る登録免許税の免除措置

前項に続き、建物だけでなく土地の登録免許税にも免許措置が存在します。

3-1. 対象者

前項2.「被災した建物の建替え等に係る登録免許税の免除措置」の適用を受ける建物被災者など

3-2. 対象地域

青森県、岩手県、福島県、宮城県、栃木県、千葉県、茨城県:全市町村

新潟県:十日町市、中魚沼郡津南町

長野県:下水内郡栄村

3-3. 免税手続き

まず手続きにはいくつか条件がありますので押さえておきましょう。

便宜上、以下の土地の種類を3種に分けて番号を振ります。

①被災代替建物の敷地の用に供される土地

②被災代替建物の敷地の用に供されると見込まれる土地

③被災代替建物の敷地の用に既に供されている土地

・土地への登記の時期

①…建物の取得登記と同時に登記

②…建物の取得登記より前に登記

③…建物の取得登記の後に登記

 ・面積条件

土地登記の免除措置には、面積制限があります。失った不動産よりめっぽう大きな土地は適用対象外となってしまうのですね。

(1)滅失した建物の敷地として土地の面積

(2)被災代替建物の種類に応じて計算した次の面積

○個人が再取得する住宅用の建物・・・滅失建物等の床面積の合計の倍の面積

○上記以外の建物・・・滅失建物等の床面積の合計の6倍以上の面積

○マンションなど区分所有不動産の場合・・・専有部分+共用部分をそれぞれの専有部分の床面積の割合に応じて投分した面積

(1)(2)のどちらか大きい方の面積が制限面積となります。

以上の点に留意した上、登記申請の際にそれぞれ下記の書類を添付し提出します。

①…「滅失建物等の床面積の合計」または「その滅失建物等の敷地の用に供されていた  土地の面積」を明らかにする書類

②…①の書類、滅失建物等のり災証明書、被災代替建物の敷地の用に供されると見込まれる土地であることを明らかにする書類

③…①の書類、滅失建物等のり災証明書、被災代替建物の敷地の用に既に供されている土地であることを明らかにする書類

※被災代替建物が支援法適用区域外にあり、個人が再度取得した住宅用の建物以外の建物の場合は、主務大臣の証明書の写しも必要となります。

4. 被災した船舶の再建造等に係る登録免許税の免除措置

被災により船舶に被害を受けた場合(以下「船舶被災者」)に、新しく船舶を手に入れる際の登記も、同じく平成23年4月28日から平成33年3月31日までのものにつき登録免許税が免除となります。

4-1. 対象者

大震災による船舶被災者(個人・法人)…船舶に被害を受けたことについて、船舶原簿に記録されている事柄を証明した書面で登録が抹消された事実を証するものその他の書類(以下「被災証明書類」)

②船舶被災者(個人)が死亡している場合のその相続人…船舶被災者が被災証明書類の交付を受ける前に死亡している場合は、相続人が被災証明書類の交付を受ける必要があります。

③船舶被災者(法人)が合併により消滅した場合の合併法人

④船舶被災者(法人)が分割により滅失した船舶等に係る事業の権利義務を承継させた場合の分割承継法人

…(③④ともに)船舶被災者が被災証明書類の交付を受ける前に合併により消滅している場合や分割により滅失船舶等に係る事業の権利義務を承継させた場合は、その合併法人や分割承継法人が被災証明書類の交付を受ける必要があります。

4-2. 対象地域

青森県、岩手県、福島県、宮城県、栃木県、千葉県、茨城県:全市町村

新潟県:十日町市、中魚沼郡津南町

長野県:下水内郡栄村

4-3. 免税手続き

対象者は上記に挙げた通りですが、免税措置を受ける船舶には以下のいずれかの船舶でなければなりません。

(1) 個人が建造または取得した船舶

(2) 法人が建造または取得した船舶で、その船舶の船籍港が対象地域内にあるもの、また対象地域外の場合は主務大臣証明書を受けたもの

その上で、下記のいずれかの書類を提出します。交付の申請先も一緒に記しておきますね。

  • 船舶登録事項証明書(抹消)…地方運輸局または運輸支局等
  • 漁船原簿の謄本(抹消)…都道府県庁
  • 海難証明…地方運輸局等
  • 船舶のり災証明書…滅失船舶等の船籍港を管轄する市町村

また、②~④の対象者は更に以下の書類も添付しなければなりません。

②相続人による登記の場合…被相続人の戸籍謄本など

③合併法人の場合…合併法人の登記事項証明書

④分割承継法人の場合…分割承継法人の登記事項証明書、滅失船舶等に係る事業に関して有する権利義務を当該分割承継法人が承継したことを当該分割承継法人に係る分割法人及び当該分割承継法人が共同して証明する書類

5. 被災した航空機の再建造等に係る登録免許税の免除措置

前述の船舶の他にも、所有している航空機が大震災により被害を受け(航空機被災者)、次の航空機を取得する時の登記の際も、登録免許税が免除されます。

5-1. 対象者

航空機被災者…船舶と同じく、被災証明書類の交付が必要になります。

②航空機被災者(個人)が死亡している場合のその相続人…死亡した航空機被災者に代わり、被災証明書の交付を行わなければなりません。

③航空機被災者(法人)が合併により消滅した場合の合併法人

④航空機被災者(法人)が分割により滅失航空機等に係る事業の権利義務を承継させた場合の分割承継法人

…③④ともに、その合併法人または分割承継法人が被災証明書の交付を申請しなければなりません。

5-2. 対象地域

青森県、岩手県、福島県、宮城県、栃木県、千葉県、茨城県:全市町村

新潟県:十日町市、中魚沼郡津南町

長野県:下水内郡栄村

5-3. 免税手続き

免税対象航空機(被災代替航空機)は、被災代替航空機の詳細を明らかにする書類が登録の申請書に添付された航空機に限ります。

免税措置の申請手続きを行うためには、以下の⑴⑵の書類を用意し、登録の際に提出しなければなりません。

⑴滅失した航空機について、次の書類のうちいずれか

  • 航空機登録原簿の謄本又は抄本(抹消) …国土交通省航空局監理部総務課にて発行
  • 航空機のり災証明書…滅失航空機等の定置場を管轄する市町村

⑵被災代替航空機について

・被災代替航空機の詳細を明らかにする書類

また、②~④の対象者は更に以下の書類も添付しなければなりません。

②相続人による登記の場合…被相続人の戸籍謄本など

③合併法人の場合…合併法人の登記事項証明書

④分割承継法人の場合…分割承継法人の登記事項証明書、滅失航空機等に係る事業に関して有する権利義務を当該分割承継法人が承継したことを当該分割承継法人に係る分割法人及び当該分割承継法人が共同して証明する書類

6. 再取得等のための資金の貸付けに伴う抵当権の設定登記等に係る登録免許税の免除措置

ここまで紹介してきた免税措置を受ける建物、土地、航空機、船舶などを取得する際にローンを組んだり(債権の保証を含む)、対価を割賦で支払ったりする場合(保証に係る求償権を含む)は、抵当権設定登記の際の登録免許税が免税されます。

6-1. 対象者

登録免許税の免税措置を受ける建物被災者、船舶被災者、航空機被災者

6-2. 対象地域

青森県、岩手県、福島県、宮城県、栃木県、千葉県、茨城県:全市町村

新潟県:十日町市、中魚沼郡津南町

長野県:下水内郡栄村

6-3. 免税手続き

上記の登録免許税免税措置の適用を受ける

  • 被災代替建物
  • 被災代替建物の敷地の用に供される土地
  • 被災代替船舶
  • 被災代替航空機

の所有権保存または移転登記、所有権の新規登録または移転登録の際、併せて抵当権設定登記を行うと免税措置の適用を受けることができます。

7. まとめ

いかがでしたでしょうか??

震災特例より生まれた登録免許税の免税措置について、その対象や手続きの方法について紹介しました。

特に法人の場合や相続の場合は用意すべき書類が大変多く、り災証明も亡くなった被災者に代わって交付申請を行わなければなりません。

しかし、復興に向けコストを少しでも抑えるため、素早く確実に準備を行い平成33年3月31日の適用期限までに必ず免税措置の適用を受けられるようにしましょう。

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