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Category  不動産

2018年07月03日 更新

サブリースと管理委託の違いとは

サブリースをめぐる訴訟が増えているにもかかわらず、まだまだサブリースで土地活用をすれば安心と書かれたサイトが多くあります。確かにサブリースには多くのメリットがありますが、サブリースにはメリットだけしかないわけではありません。

なぜ多くの人がサブリースに魅力を感じてしまうのか考えてみると、

・サブリースのデメリットを知らない
・サブリース以外の方法を知らない

からではないかと思いました。

サブリースのデメリットに関しては、別のページで「サブリース契約のメリットとデメリット」として詳しくまとめていますので、そちらをご覧いただくとして、ここではサブリースに変わるものとして管理委託についてお話をします。

 

1. サブリースとは

最初にサブリースについてご存知ない方のために簡単にお話をします。サブリースとは、アパートやマンションの経営のひとつの方法で、不動産業者に建物を丸ごと貸し出す方法のことを言います。建物のオーナーは不動産業者と契約をします。建物を貸して賃料を得るという点は、他の賃貸住宅経営と同じですが、契約先が不動産業者となる点が特徴です。

不動産業者との契約の内容によっては長期間の貸し出しも可能です。ここで注意をして置きたいことは、長期間の賃貸経営であっても賃料は同じではないということです。よく不動産業者のホームページなどで、「20年間家賃保証!」と書かれているものを見ることがありますが、これは「20年間は契約で合意した賃料を払います。」という意味しかありません。

この契約で合意した金額というのがポイントです。よく読んでみればわかりますが、どこにも最初の設定額を払い続けるとは書いてありません。建物が古くなるにしたがって家賃は下がるものですし、どのくらい下げる必要があるかは、周囲の状況や経済状況によって変わります。

通常は契約期間とは別に契約金額の契約をすることが多く、そして契約金額については、2年毎に見直しをするという内容になっていることが多いです。このため、最初の家賃設定が続く前提で事業計画を作ってしまうと、途中でローンの支払いができず赤字になってしまう可能性があります。

それなら2年の契約をすれば2年間は家賃保証があるのかというと、必ずしもそうとは言えません。家賃保証が有効なのは相手の会社がある時だけとなるからです。仮に契約をしていた不動産業者が倒産してしまえば、契約は消滅し、家賃保証も付随して消滅してしまいます。

 

他にも修繕に掛かる費用もオーナー様の負担となります。細かいことを言えば、共用部分の電球が切れた場合の交換費用もオーナー様の負担となります。自分で交換すれば電球代だけで済みますが、業者を使うことになりますので、電球代以外に作業費、交通費、管理費などが上乗せされます。

大きなものでは、外壁や屋根の塗装、給湯器などの設備の更新などがあります。これらの工事には大きな費用が必要となりますので、事前に費用を見込んでおく必要があります。

このような大事なことを十分に理解しないまま、事業を始めてしまうことが原因で訴訟につながっているのだと思います。不動産業者の中でも建築会社の場合に特に顕著だと思うのですが、建築会社は建物を建ててもらうのが仕事なので、その後の管理には疎い印象があります。

どのような相手に依頼をするとしても、リスクについては自分で十分に確認するようにしてください。

 

2. 管理委託とは

管理委託とは、賃貸住宅経営の一部を不動産業者に委託することをいいます。入居者の募集から集金、苦情処理まで幅広く委託することもできますし、部分的に委託して残りはオーナー様が自分で行うこともできます。

サブリースとの違いは、入居者との契約がオーナー様となることです。当然、家賃保証もありません。しかし、家賃の額は自分で決めることができますし、礼金もオーナー様のものとなります。

入居者が変わる度に契約書を交わしたりと手間は増えますが、サブリースに比べて収入が多くなる可能性が高くなります。

管理委託の場合は家賃の保証がまったくないのかというとそうではありません。管理委託であっても、家賃の滞納に対する保証なら付けることができます。これは、集金まで委託している際にしか付けることはできませんが、このような制度を用意している業者もありますので、不安な場合には滞納保証制度を用意している業者を選ぶと良いでしょう。

外壁塗装などの大掛かりな補修は対象外とするケースがほとんどですが、共用部分の電球の交換や清掃などの簡単なメンテナンス作業は委託することもできます。依頼する会社をひとつに決めて、その業者にから各設備業者などに依頼することもできますし、オーナー様が自分で業者を選定して依頼することもできます。

業者経由で依頼をするといくらかのマージンが必要となりますので、少しでも利益を増やしたい時はオーナー様が自分で行う方が良いでしょう。自分で行う範囲が増えるほど、手間は増えますが、利益も増えることになります。手間と出費のバランスで管理を委託する範囲を決めると良いでしょう。

また、管理委託の場合は依頼した不動産業者が倒産してしまったとしても、別の不動産業者に依頼をすれば同じように経営を続けることができます。

 

3. サブリースと管理委託の違いまとめ

サブリースはすべてを丸投げできるので、サラリーマンなど他に仕事を持っている方が片手間で不労所得を作りたい際には良い選択候補のひとつとなります。しかし、デメリットも多く長い目で考えると儲かったのは不動産業者だけという可能性もあります。

現在、サブリース関連の訴訟が多くなっていますが、不動産業者が意図的に説明を省いた点があるのは否めないですが、オーナー様の確認が足りなかったという面も否定できません。

信頼できる良い営業担当者に出会えると、その人に任せてしまいたくなりますが、そんな時ほど注意が必要です。不動産業界の転職率は他の業界と比べて高いという統計があります。この人なら大丈夫と思って契約しても、その人がいつまでいるかはわかりません。

特に20年とか40年という長期間の契約になりますので、契約時にいた人は一人もいない可能性もゼロではありません。そんな時に頼りになるのは契約書です。相手を信用する、信頼するということではなく、小さい文字まで細かくチェックして抜けがないようにしてください。

管理委託の場合は、サブリースほどリスクは高くありませんが、その分、丸投げとはいかず手間がかかります。また、管理委託の費用についてもどこまで依頼をするかで変わってきます。

どちらにすると良いかについては、不動産業者の言葉だけでなく、メリットとデメリットをきちんと理解した上で判断するようにしてください。