事例紹介
使っていない土地の活用の方法には色々な種類がありますが、特に広い土地があいている場合には個人でのプランニングには無理があります。例えば、郊外にあるショッピングモールのようなものをイメージして頂くとわかりやすいと思います。とても個人でなんとかなるレベルではないことは一目瞭然だと思います。
広い土地が必要なケースでは、一人の地主さんが持っている土地だけでは足りないことも多いので、そのような場合には周囲の土地の地権者から土地を借りたり購入することもあります。バブル期にはこのような方法のことを地上げと呼んでいました。
地上げというとネガティブな印象があるかもしれませんが、本質的な意味ではネガティブなものではなく、土地という資産を有効的に利用することができる素晴らしい方法だと思います。
ちょっと話が逸れましたが、このような大規模な開発を請け負う不動産会社のことをデベロッパーまたはディベロッパーと呼びます。今回は、このデベロッパーを使った土地活用の方法についてお話します。
この記事でわかること
1. デベロッパーの開発とは
先ほどデベロッパーは大規模な開発を行う不動産会社だと説明をしました。実はデベロッパーには、都市再生機構のような公的なものと民間のものがあります。民間のものとしては、鉄道会社、ゼネコン、大手のハウスメーカー、大手の不動産会社などがあります。
扱う範囲も広くて、先ほど例にあげたようなショッピングモールから大規模マンション、一地域丸ごとの戸建ての分譲など本当に幅広く行っています。計画から完成まで数年単位の計画となることも珍しくありません。その上たくさんの費用が掛かりますので、金融機関の協力なしでは計画をすることができません。
また、デベロッパーの中には作るだけでなく、分譲から賃貸の管理まで行う会社もあります。このあたりの違いは、元々の母体が不動産会社から始まっているのか建築から始まっているのかで違うようです。
デベロッパーを活用する際の代表的な方法については、次の4つの方法があります。
・事業受託方式
・土地信託方式
・定期借地権方式
・等価交換方式
の4つです。
これらについて、次の章で詳しく見ていきます。
2. 事業受託方式でデベロッパーへ依頼する
事業受託方式とは、土地の所有者が事業の主体となって行う方法です。事業の主体とはいっても、事業計画の立案から建物の建設工事、マンションなどの賃貸住宅であれば入居者の募集から管理まで、商業施設であればテナントの募集から管理まですべてを一括して任せることができます。
サブリースシステムなどを組み合わせることで、長期間の安定した収入を確保できる可能性が高い点が魅力です。ただし、サブリースについては、多くの不動産会社が言っているようなメリットばかりのものではないので注意が必要です。サブリースシステムを利用する際は、更新時の負担や更新後の契約の内容まで含めた確認をしておく必要があります。
サブリースシステムの契約は土地の契約などと比べると短期間ですので、契約を更新しようとした際に予想と違う条件になってしまって困っている方もおられます。自分の会社が不利になることはわざわざ伝えない会社も多いので、自分で注意をするようにすると良いと思います。
この方式の特に良い点は節税効果が高いことです。債務控除と評価軽減の特例を活用することで、大幅に相続税を減らすことができます。マンションなどの賃貸住宅を建てた場合には固定資産税の節税効果もあります。
3. 土地信託方式でデベロッパーを活用
土地信託方式は特に大きな土地を持っている地主さんに向いている方法です。この方式では、直接デベロッパーに依頼するのではなく、期限を決めて一定の間、信託銀行に土地を信託します。そしてその土地からあがる利益を信託配当金として受け取ることになります。
信託銀行が、資金調達から建物の建設、テナントの募集から管理まですべてをやってくれます。
事業受託方式と同様の利益が出る可能性もありますが、どちらかというとマンションなどの賃貸住宅よりも商業施設になることが多いため、景気に左右されるきらいがあります。安定という意味ではマンションなどの賃貸住宅に劣りますが、その分、商業施設の方は景気が良い時には収入が増える可能性があります。どちらが良いかは好みの問題もありますので、良く話し合って決めると良いと思います。
こちらの方式での節税効果は、債務控除と事業用資産の控除を利用して相続税が軽減できることです。土地信託方式では、住宅系の活用ではないことも多いので、その場合は固定資産税の軽減措置はありません。
4. 定期借地権方式でデベロッパーを活用
一般的な定期借地権方式の場合は、期間を定めて土地を貸す方法です。原則として、期間満了後は更地になって返ってきます。確実に土地が返ってくるのがメリットですが、一方で、単に土地を貸すだけの収入しか得られないため、他の方法と比べると収入は少ないです。
こちらの方法での節税効果は相続税対策となるくらいですが、住宅系で運用する場合には、固定資産税の軽減措置が受けられます。
5. 等価交換方式でデベロッパーを活用
等価交換方式とは、デベロッパーが建設資金を負担してマンションなどを建てて、土地を提供する代わりに土地の価格に相当する分の建物の所有権を得る方法です。例えば、土地の価格が3000万円だった場合は、建設したマンションの内から3000万円相当の部屋をもらうということです。
この方法の場合は、無借金で部屋が手に入るので、賃貸にする場合には収益性は高いといえます。しかし、土地は基本的に手放すことになりますが、分譲マンションの場合と同じで区分所有の土地の権利は残ります。
等価交換方式の時に注意したいのが、マンションの販売価格で交換してしまうことです。販売価格にはデベロッパーの利益が入っているため、厳密には等価交換にはなっていません。しかし、多くのデベロッパーが販売価格で話を進めてきます。
デベロッパーの利益まで負担させられてしまわないように注意しましょう。
税法上のメリットとしては、相続税対策として効果があることと、土地の売却ではないので、譲渡所得税を100%繰り延べることができる点です。
6, デベロッパーを利用した土地活用の方法まとめ
デベロッパーを活用した方法として、4つの事業形態についてお話をしてきました。それぞれにメリットとデメリットがありますが、共通している大きなメリットが二つあります。
それは、どれも自己資金がゼロでできることと事業のノウハウをまったく持っていなくても土地の活用ができることです。計画から完成後の管理まですべてをお任せしてしまうことも可能です。
広い土地をまとめて活用する場合には、個人では計画、資金、運営のどれをとっても無理があります。このような時はデベロッパーに依頼することを考えてみると良いと思います。