土地活用でテナント経営をする際のテナントの選び方

一般的にテナント経営は、賃貸住宅経営よりも多くの利益を得ることができると言われています。しかし、デメリットやリスクが大きいという側面もあり、なかなか手を出しにくい事業でもあります。

今回は、テナント経営をする際のテナントの選び方として、比較すべきポイントや設定すべき条件について確認していきます。テナント経営のメリットを最大限活かしながら、できるだけリスクを減らした経営をしていくためには、テナントの選び方が重要になります。

どのようなポイントで選ぶのか、どういうことに注意すれば良いのか、ここで確認していきましょう。

 

1. テナント経営のメリット

テナントの選び方を確認する前に、そもそもテナント経営にはどのようなメリットがあるのかを確認していきましょう。テナント経営をする際には、収益性が高いことと、費用の回収にかかる期間が比較的短いことの2点が大きなメリットとなります。

収益性の高さについて、テナント経営では一般的な賃貸住宅経営と比べると、家賃を高く設定することができます。事務所や店舗として貸し出されるテナント用の物件では、経済活動を通して新たな利益を生み出すことができますが、住宅として貸し出される物件は、基本的に新たな利益を生み出すことはありません。このような違いにより、テナント向けの物件は家賃を高く設定することができるのです。

実際に、両者の賃料の差は1.5~2倍ほどあります。また、契約時に支払われる敷金も、住宅用物件は0.5~2ヶ月分が一般的なのに対し、テナント用物件は半年~1年分となるケースもあります。このように賃貸住宅経営より多くの収益を得ることができるのは、テナント経営の大きなメリットです。

費用の回収にかかる期間が短いことについて、テナント経営では初期費用を抑えることができる点が関係しています。住宅用の物件は、内装を整えたり、必要に応じて設備を導入したりと、様々な初期費用がかかります。周辺の物件と差別化するためには、内装や設備などの工夫は欠かせません。

しかし、テナント用の物件は、住宅用物件ほど内装を整える必要はありません。骨格、壁、天井のみのスケルトン状態で貸し出しすることも可能です。スケルトン状態での貸し出しは、使い方に合わせて自由に空間を造ることができるので、借手にも大変魅力的です。

このようにテナント経営は、初期費用を抑えつつ、高い収益性があるために、比較的早く投資した費用を回収することができるのです。

この他にも、いくつかメリットがあります。まずは、借手とのトラブルについてです。

賃貸住宅経営の場合、借手は個人です。複数の個人や世帯が利用する物件では、騒音、臭い、ゴミ出し、駐車場や駐輪場の利用方法など、生活していく環境ならではのトラブルが発生してしまいます。物件を管理していく際には、このようなトラブルひとつひとつに、しっかりと対応していかなければなりません。

一方、テナント経営の借手は法人です。利用方法も明確なので、住宅用物件のような騒音や臭いなどのトラブルは事前に防ぐことができます。利用する法人同士でトラブルになるということも考えにくく、賃貸住宅経営よりもトラブルのリスクが低いと考えて良いでしょう。

他にも、賃貸住宅よりも立地の制限が少なく、転用もしやすいというメリットがあります。

住宅用の物件を建てる場合、道路との接し方や土地の形状次第では、予定通り建設できないこともあります。また、近くにスーパーや病院があるか、駅や学校までの距離など、周囲の環境にも大きく左右されます。テナント経営には、向いている土地はあるものの、住宅用の物件ほど立地の制限は多くありません。

また、テナントの契約は契約期間に定めのある定期借家契約を結ぶことが多く、契約終了後の計画を立てやすくなっています。契約終了後、テナント物件以外の方法で活用したい場合にも事前に準備ができるので、転用しやすいと言えます。

一方、賃貸住宅の契約では普通借家契約を結ぶことが一般的であり、借手が契約の更新を望めば、正当な事由がない限りそれを拒むことができません。つまり、一度賃貸住宅経営を始めてしまうと、自分だけの意思で契約を終了することができず、簡単に転用することができないのです。

最後に確認しておくべきメリットは、税金対策にも利用できるという点です。テナント経営は、相続税や所得税の節税効果が期待できます。

テナント物件用の土地は貸家建付地に分類されることから、更地や駐車場にして活用する方法と比べて、相続税を約2割抑えることができます。また、テナント経営を始めてすぐの頃は、年間の所得が赤字になることも多いので、所得税の減額にも繋がります。

このように、テナント経営には多くのメリットがあります。こうしたメリットを上手く活かすことができれば、土地活用としても、ひとつの事業としても十分に成果をあげることができるでしょう。

 

 

2. テナントを選ぶ際の条件・比較のポイント

テナントの経営を始めたら、まず利用してくれる借手を探さなければなりません。テナントを募集してくれる会社に依頼して募集するのが一般的な方法でしょう。

募集の結果、借手が見つかったら、契約に向けた交渉を進めます。借手が複数見つかった場合は、どこと契約をするか比較・検討しなければなりません。また、見つかった借手が1社であっても、その企業に貸して良いのか、きちんと見極める必要があります。

どのような業種が良いのか、どれくらいの賃料が良いのかなど、具体的な内容については、活用したい土地の広さや立地条件などによって違うので、一概には言えません。ここでは契約内容を中心に、どういう点に注意すれば良いのか、どういう点を比較したら良いのか、テナントを選ぶ際の条件と比較のポイントを確かめていきます。

見るべきポイントは、賃料と契約期間、改装費と敷金、中途解約の3点です。

 

2-1. テナントの賃料・契約期間

賃料と契約期間は、テナント経営の収支や初期費用の回収期間にも大きく影響を与えるので、非常に重要なポイントになります。

利益だけのことを考えると賃料は高い方が良いですが、その金額をきちんと支払っていける力が借手にあるかどうかはしっかり確認すべきポイントです。また、賃料を基に、初期費用の回収にどれくらいの期間を要するかも計算しておきましょう。

契約期間は、初期費用の回収にかかる期間以上に設定されていることが基本です。長ければ安定した収入が見込めますが、借手側が長期間安定して業績を上げられるのかという不安もついてきます。一方で、短期間の契約は、契約終了後に転用や改装などを考えている場合には良いですが、初期費用が回収しきれない可能性が出てきてしまいます。

このように、賃料は高ければ良い、契約期間は長ければ良いという訳ではありません。利益ばかりを考えて選択を誤ってしまうと、経営が成り立っていかなくなることも考えられます。どの条件が最もリスクを抑えることができるかを考えながら選びましょう。

また、賃料と契約期間と同時に確認しておかなければならない項目が、賃料改定です。賃料改定は、貸手にとって値上げを交渉できる良いタイミングになりますが、同時に借手にとっても値下げ交渉をするタイミングになります。賃料改定が何年ごとに行われるのか、その期間が短ければ、それだけ頻繁に値下げ交渉をされる可能性があり、経営していく上でのリスクになります。

 

2-2. テナント物件の改装費・敷金

次に確認すべきポイントが、改装費の負担や敷金の扱いについてです。テナント用物件の賃貸では、改装費と敷金についての確認を必ず行ってください。

テナント用物件で改装工事が必要になるケースとしては、借手が利用し始める際の工事や、退去時の工事(元の状態に戻すための工事)、契約期間中のリニューアルの際の工事などが考えられます。これらの工事については、どちらの負担で行うのか、折半するのか、一方が一部負担をするのかなど、しっかり確認しなければならない項目です。

敷金についても、どのように扱われるのか注意が必要です。敷金は、家賃の滞納や退去時の修理などがなければ、基本的には全て借手に返さなければならないものです。しかし、条件や交渉次第では、退去時の工事費用などにあてるため、返さなくても良いとすることもできます。

改装費の負担や敷金の扱いについては、交渉の材料として使うこともできます。他の条件も見ながら総合的に判断しましょう。

 

2-3. テナント契約の中途解約

テナント経営の最大のデメリットとも言えるのが、空室時のリスクが高いことです。テナント経営開始直後や、契約終了から次の契約開始までの期間が空室になることは、ある程度仕方のないことです。しかし、借手の都合による中途解約で空室になってしまうと、貸手にとってはマイナスの影響が大きくなります。

そのため、中途解約についての条件を設けなければなりません。中途解約についての条件は、貸手側から提示することが多いでしょう。提示した条件に対し、借手が条件を受け入れてくれるかどうか、逆にどのような条件を提示してくるのか、比較する際の大きなポイントになります。

中途解約についての条件については、次の項目で確認していきます。

 

 

3. 中途解約のペナルティ条件でしばる

テナント経営のリスクになりうる借手の都合による中途解約を防ぐためには、契約時にペナルティを設けておくことが重要になります。何も条件を設けていないと、貸手が一方的に不利になり、金銭的な損をしてしまう可能性が高いです。

既に確認している通り、予期せぬ空室はテナントを経営していく上での大きなリスクです。そのためペナルティとなる条件は、中途解約をされても貸手の負担にはならず、借手が損をするようなものにしておく必要があります。ペナルティとなる条件を設定する際のポイントは、主に3つあります。

1つめは、次の契約についてです。借手の都合により中途解約する場合には、これまでと同じ条件かそれ以上の条件で借りてくれるところを借手が探し、契約に至れば解約できるという条件を設けておくと良いでしょう。

2つめは、残りの賃料についてです。借手の都合により中途解約する場合には、契約時の契約期間に応じて、契約終了日までの賃料を一括で支払えば解約できるという条件があれば、金銭的なリスクも減らすことができます。

また、これらの条件を満たすことができない場合には、敷金や保証金などの返還を求めないという条件を設ければ、借手の選択肢を増やした内容にすることができます。

3つめは、原状回復についてです。借手の都合により中途解約する場合の原状回復は、全て借手の責任で行ってもらうようにしましょう。取り決めがない場合には、設備などを残したまま人がいなくなってしまい、貸手が原状回復することになる可能性も出てきます。

このように、中途解約については、厳しい条件を設けておきましょう。借手が損をするような条件になっているように、実際に条件なしで中途解約されてしまうと、貸手は大きく損をしてしまいます。契約の段階からこのような条件を設定しておくことで、万が一のときに自分の財産を守ることができるのです。

 

 

4. テナントの契約交渉は交渉力がある専門家に任せる

ここまで、テナントを選ぶときの比較すべきポイントや、中途解約時のペナルティについて確認してきました。このような知識は、テナント経営をしていく上で確実に身につけておかなければならないものです。しかし、実際に比較したり、条件を設けたり、交渉したりするとなると、経験の浅い人にとっては難しいことも多いです。

特に、相手側との交渉は、非常に重要なポイントなので、交渉力のある専門家に任せた方が良いでしょう。中途解約に関するペナルティについては、借手が損をするような条件になっているため、経験のない人では上手く交渉できない可能性が高いです。

専門家に任せたからといって、全て希望通りの交渉結果になるとは限りませんが、可能な限り、リスクやデメリットが少ない内容にまとまるでしょう。また、交渉時に妥協すべき点や、相手の条件を受け入れるかどうかのアドバイスももらえるので、専門家の力を積極的に借りるようにしてください。

 

 

5. テナント経営のまとめ

今回は、テナント経営のメリットと、テナント経営をする際のテナントの選び方について確認してきました。メリットも多く、とても魅力的なテナント経営ですが、もちろんデメリットもあり、リスクも付き物です。こうしたデメリットやリスクを、できるだけ少なくしていくために、テナント選びが重要ということが分かりました。

全てのテナント経営に最善な契約内容というものはありません。それぞれのケースに合わせて条件を設けたり、相手と交渉したりして、最善の契約となるよう努めていきましょう。