事例紹介

Category  土地活用

2019年09月05日 更新

介護賃貸住宅での土地活用のメリット

これから日本は未曾有の高齢者社会となると言われています。突然の天変地異とか疫病などで高齢者ばかりが犠牲とならない限り、高齢化社会になることは間違いないと思います。単に高齢者の人口が増えるのではなく、若い世代の人数が減ることも問題に拍車を掛けています。

仮に人口が増える中で相対的に高齢者の人口が増えるならここまで大きな問題にはならなかったかもしれません。しかし、現実には若者の人口が減って高齢者の人口が増えているので、それに見合った計画を建てていく必要があります。

これまではアパートやマンションなどの賃貸住宅の一番の借り手は、20代から30代の層でしたが、その層が減って高齢者が増えていきます。特に団塊の世代が70代に入るこれからは文字通り爆発的に高齢者の人口が増えてきます。

高齢者の特徴として、一人で暮らしていくには問題が色々とあるという点があります。排泄や入浴など自分の力だけではできなくなってくるからです。行政もこの点は良くわかっているのですが、いかんせん人数の増加が急激に進むこともあり、対応がまったく追い付いていません。

厚生労働省が2017年3月に発表した資料によると、特別養護老人ホームの待機者は、2016年4月時点で約36万6千人とのことです。2013年10月の時点よりも、16万人近く待機者が減っていますが、これは入居者の要件が変更となったためです。この要件の変更により、比較的介護の程度が軽い「要介護2」以下の高齢者が対象外となりました。

このように行政の対応は非常に不十分で、本来、特別養護老人ホームに入れるべきである人すら対象外とするような有り様です。このような状況から民間企業への行政の期待も大きくなっています。

この状況を踏まえて、土地活用を介護設備を有する賃貸住宅で行う際のメリットについて考えていきます。

1. 介護賃貸住宅のニーズ

冒頭で特別養護老人ホームの待機の話をしましたが、足りないのは特別養護老人ホームだけではありません。デイサービス、短期入所生活介護、サービス付き高齢者住宅、認知症対応型生活介護などすべての高齢者を対象とした介護関係の施設が不足しています。

不足しているということは、作れば入居者が見つかる可能性が高いということになります。もちろん、やみくもに作っても大丈夫という訳にはいきませんが、これから需要が減るとわかっている20代向けの賃貸住宅を作るよりは期待を持つもことができます。

実際には高齢者が何歳まで長生きされるのかわからないため、正確な予測はできませんが、2040年頃までは高齢者が増え続けると言われています。中には2060年くらいまで増え続けるという人もいます。どちらにしても、この先20年以上は有望な市場と考えて間違いないと思います。

2. 介護賃貸住宅は安定した収入が見込める

前章でお伝えしたように、この先20年から40年は高齢者が増え続けると言われています。その間は入居者に困る心配が少ないと予想されます。このような見込みがあることから、介護サービスを運営している事業者は長期間の土地の貸出を希望しているところが多いです。

単に土地を貸すだけとなると、運営に関わるよりも収入は減りますが、その分何もしなくても収入を得ることができます。良く誤解をされている方がおられるのですが、定期借地権などを利用して土地を貸した場合には、契約期間中は決められた金額の収入が入ると考えておられる方が多いです。

貸した先の会社がきちんと収益を出していれば、契約通りの収入が入りますが、万が一、倒産をしてしまった場合にはお金は入ってきません。そのようなケースでは、貸した先の会社が建てた建物は差し押さえになっている可能性が高いです。差し押さえになっていれば、地主さんが使うことも取り壊すこともできません。

地代は入らず、運用をすることも売ることも絶望的となります。そのような状況にならないようにするためには、しっかりと収益が出る案件に土地を使うことです。事業が上手く行っていれば、基本的に契約通りの地代が入ります。

3. 介護賃貸住宅は場所を選ばない

介護賃貸住宅に限らず、介護系の施設の多くは場所を選びません。基本的に利用者が電車やバスで来ることは考えられないため、駅から遠い場所でも問題ありません。逆に自然の多い場所の方が好まれることが多いです。

その他にも、アパートやマンションなどの賃貸住宅であれば、スーパーやコンビニなどの生活インフラが近くにないと入居者に好まれず、人が入らないか、通常よりもかなり金額を下げる必要が出ることも考えられます。

通常の賃貸住宅では無理な土地でも活用ができるのは大きなメリットになります。もちろん、駅前の土地であっても問題なく活用することができます。このように、介護系の賃貸住宅は場所を選ばないで作ることができます。

4. 介護賃貸住宅は安定した収入となる

介護系のサービス全般に言えることですが、世の中に無くてはならないものですので、景気が悪くて収入が減ったから利用をやめるという訳には行きません。電気、ガス、水道などの公共設備や交通機関のようなものです。

もし、ものすごく景気が悪くなって利用者がお金を払えないとしても、高齢者が野たれ死にするようなことは社会的にできないことなので、行政の補助が入るなど何らかの政策が入ると考えられます。高齢者にとって最後の砦だからです。このような点から、景気に左右されるオフィスビルや商業ビルに比べて安定した収入となります。

5. 介護賃貸住宅は社会貢献になる

高齢化社会にとって介護の問題は避けて通れません。前述のように行政だけでは介護福祉事業をまかなうことができない状態になっています。このため、民間の誰かが手を出すしかありません。もし、あなたが介護賃貸住宅を始めれば、その地域を離れたくない高齢者の方や地域の住民から感謝されることでしょう。

6. 介護賃貸住宅には助成金がでる

これまで何度もお話していますが、国の介護事業はまったなしの状態まで追い詰められています。この状況を少しでも改善するために、介護系の施設を作る工事には国からの助成金が用意されています。

国の財源は限られているため、早いもの勝ちな面があるのは否めませんが、きちんと計画をしていけば助成金を使うことができます。

国の助成金ですが、各地方自治体が窓口となっています。建物だけでなく、中に入れる設備についての助成金が用意されている地方自治体もあります。

どんな助成金があっていくら出るのか、使える要件は何かなど、具体的な内容は担当の窓口で確認をするようにしてください。

7. 借り入れ金は相続時の評価から引くことができる

介護賃貸住宅に限ったことではありませんが、賃貸住宅などを建てる際に利用した融資の残額がある場合は、相続時の資産から残額分をマイナスすることができます。

また、何も建物を建てていない更地の場合と住宅が建っている場合では、土地の評価額が安くなります。
このふたつも賃貸住宅で土地活用をする際の大きなメリットとなります。

8. 介護賃貸住宅のまとめ

介護賃貸住宅を建築して土地活用をするメリットについて説明をしてきました。繰り返しになりますが、介護賃貸住宅は時代が求めている土地の活用方法になります。ビジネスの基本はニーズのあるところで仕事をすることですので、一番旬な土地活用の方法だと思います。

しかし、介護系のサービスはニーズはあってもノウハウがなければ運用することができません。このノウハウを持っている事業者とタイアップすることが一番のキモとなります。まずは、一緒に介護事業をするパートナーを慎重に選ぶところから始めるようにしてください。