外壁塗装工事の業者選定で失敗しないために

一戸建ての建物の場合、外壁塗装工事の時期は5年から10年でやってきます。しかし、外壁塗装工事に関しては、業者選定で様々なトラブルが起きやすいという問題があります。主なケースとしては「格安」という言葉に騙されることがあります。悪徳業者の訪問営業に押し切られるというケースも少なくありません。

外壁塗装工事には本来それなりの費用が掛かります。そこで無理に価格交渉を行ったり、格安業者に安易に頼ったりすればリスクを背負うことになります。そこで、外壁塗装工事にかかる費用を無理に安くすることのリスクを説明していきます。

また、悪徳業者が良く使う手口も紹介しています。都合のいい言葉に騙されず、どのように業者選定を行っていけばいいのかについても触れていきます。

1. 外装工事の価格交渉で生じるリスク

外壁塗装工事を行うには、最低でも数十万円は必要となります。そのため、少しでも安くしようと価格交渉をすることを考えてしまいがちです。しかし、悪徳業者でない限り、業者側は工事に必要となる適切な価格を提示しています。

無理に交渉して価格を下げてもらうと、工事にかかる様々な費用が削られてしまうかもしれないというリスクが生じます。そこで、価格交渉で生じる様々なリスクについて解説していきます。

 

1-1. 必要な工程が省かれる

まず懸念されるリスクが、必要な工程の省略です。具体的には、十分な乾燥をせずに次の工程に進んでしまうこと、3回塗る予定であるのに2回しか塗らないという例が挙げられます。ほかにも、下地補修を省いたというケースも聞いたことがあります。

これらの工程は、どれも本来しっかりと行われなければならないものです。そのため、必要な工程を省かれてしまうと全体の工事のクォリティー低下につながります。そうなると、次の補修工事までの期間が短くなることが考えられます。あるいは、数年でまた、補修工事をすることになり、本来不要だった工事にお金を払うことになるかもしれません。

 

1-2. 資材の費用が削られる

次に一般的なのが、資材の費用を削られてしまうことです。まずは塗料の質の低下です。外装工事に使われる塗料は、アクリル、ウレタン、フッ素、シリコン、光触媒など様々なタイプのものが存在します。これらはそれぞれにグレードが異なり、それによって価格も上下します。

また、同じ素材のもの、例えばシリコンなどは、その中でも種類によって価格が違います。そのため、価格を安くしようとすれば必然的に塗料の質も低下してしまうということになります。保温効果や断熱効果などは、外装工事の中で大切な要素となります。

しかし、価格交渉によって塗料の質を下げられると、望んだ効果が得られなくなるケースも出てきてしまいます。

次に、足場などの安全面がおろそかになるということが挙げられます。外装工事にかかる費用を、意外にも大きく占めているのが足場の費用です。戸建てや、特に平屋に住まれている方は足場の必要性をそれほど感じないかもしれません。

しかし、足場を組むのと組まないのとでは安全性の面で差が出ます。足場を組めば安定した体勢で作業員が作業できるようになります。また、作業効率の面でも足場を組んだほうが効率よく作業が進められるのです。

逆に足場を組まないまま高い場所の作業を行うと、体が安定せず効率も上がらないほか、事故の危険性も生まれます。

 

2. 外装工事の格安業者を使うリスク

外装工事を考える際、よく耳にするのが格安業者の存在です。一般的な工事費よりもはるかに費用を抑えて工事を行うことができるという謳い文句は確かに魅力的です。しかし、前述したように外装工事には本来それなりの費用がかかって当然なのです。

それを格安で提供するということは、ほとんどの場合何かリスクが伴うということになります。ここでは、そんな格安業者の嘘やリスクについて、詳しく見ていきます。

 

2-1. 大量仕入れにより材料費を安く抑えているという嘘

よく使われるのが、この大量仕入れで材料費を安く抑えているという話です。代表的な例である、塗料を例にして考えてみます。標準的な塗料メーカーは、仕入れに際して価格基準がしっかりと設けられています。そのため、大量に仕入れれば仕入れるほど安くなるということはほとんど考えられません。

つまり、大量仕入れに対して安い価格で塗料を提供するメーカーは、よくわからないメーカーが多いということです。よくわからないメーカーということは、塗料の質も保障されていないということになります。また、きちんとしたメーカーの塗料を使用している場合、大量仕入れはされていない可能性が高いです。

ということは、きちんとしたメーカーの塗料を薄めてかさ増しさせている可能性もでてくるということです。このように、塗料に限らず大量仕入れにより材料費を安く抑えるということは現実的には真実である可能性が低いです。

 

2-2. 訪問営業などのシステムを削り、人件費を安く抑えているという嘘

悪徳業者は訪問営業を行うことが多いですが、中にはチラシやインターネット広告で主に宣伝を行う業者もあります。そうすることによって、訪問営業にかかる人件費を抑え、価格を安くしていると謳う企業があるのです。

しかし、当然チラシを作るのにはそれなりの費用が掛かりますし、インターネット上の広告も無料で載せられることは少ないです。従って、訪問営業を行っていないからと言って格安になるほどの差は出ないということになります。

 

2-3. 焦らせて契約をさせようとする

これは、営業の際に家の状態を必要以上に悪く言うことによって客を焦らせ、契約に結び付けようとする方法です。具体的な例としては、「壁にヒビが入っており、このままでは危険だ」といった話があります。また、「雨漏りの危険性があり、放っておくと家の内部が腐ってしまう」といった話もよく使われるようです。

確かに、長い間放っておけば危険になるかもしれませんが、外壁などの場合、早急に処置をする必要があることはほとんど考えられません。客の不安を必要以上にあおり、焦らせる営業の手口には、注意が必要です。

 

2-4. 工事の工程を省くと数年でダメになる

先ほども述べたように、格安で工事を行う業者のなかには、必要な工程を省いてコストを削る所もあります。塗料を必要な回数塗らなかったり、十分な乾燥を経ずに上塗りしたりするような工事は、質の低下に直結します。つまり、せっかく外壁塗装工事を行ってもそれほど長くは持たないか、本来保障される効果や質が期待できないということになりかねないということです。

格安で外壁塗装工事を行っても、数年でまたひび割れが出てきたりして再度工事を行うことになるかもしれません。そうなると結局また工事費用がかかりますし、長い目で見ればお得といえるかどうかはわかりません。

 

3. 外装工事の悪徳業者のよくある割引理由

外装工事に関しては、相場や業者などの詳しい情報を知らない人が多く、それに付け込む悪徳業者の存在が少なくありません。ここでは、悪徳業者が良く使う割引の理由について具体的に説明していきます。以下に示す言葉を使用して契約をしようとする業者は、悪徳業者の可能性があります。

 

3-1. モニター価格です

これは、モニター商法と呼ばれ、騙される方が非常に多いものです。具体的な手口として、まず「この地域でモニターを募集している」と言われます。そして、モニター価格、つまり格安の金額で工事ができると説明されます。

しかし、これまでにも述べてきたように格安という言葉には裏があることが多いです。手抜き工事であることも少なくありません。十分注意しなければなりません。

 

3-2. あなたの家を塗ることによって地域の宣伝になる

モニター商法と似た手口ではありますが、「あなたの家を塗ると宣伝になるので安くします」といった言葉がよく使われます。具体的には、家が目立つ場所にあるため、足場やシートなどに広告を張って宣伝する代わりに工事費を安くするといったものです。

 

3-3. 足場を安く手に入れられる

近くで工事をしているため、その足場を使用して足場にかかる費用を抑えるといった言葉も良く使われます。しかし、「近くで工事をしていているから安く工事できる」ということはほとんど考えられません。なぜなら、足場は一度解体されてまた組み直されますし、そうなると近いからといって特に安くなる理由は無いからです。

 

4. 外装工事の部分的な補修は割高になる

外装工事には、外壁の塗り直し、サイディング(耐水・耐天候性の板の張替)、屋根のメンテナンスなど、様々な種類に分かれます。これらを部分的に行っていくと、毎回足場代などがかかることになります。そのため、割高になってしまうことが多いと言えます。

つまり、外装工事を行う際にはできるだけ一度にまとめて行ったほうが良いということになります。足場を一度組むだけでいくつかの工事が進められるため、部分的に補修するよりは費用を抑えることができるのです。特に、外壁工事と屋根のメンテナンスなどは一度に行うのがおすすめです。

 

5. 標準的な外装工事の費用

では、外装工事には一般的にどれほどの費用が必要となるかを説明していきます。これらは面積や地域によって変わるため、それぞれで標準価格をまとめました。

 

5-1. 面積別

家屋の延べ床面積ごとの相場は以下に示す通りです。

20~29坪 100万円前後
30~39坪 110万円前後
40~49坪 120万円前後
50~59坪 145万円前後
60~69坪 170万円前後

坪単価でみると、30~69坪の場合は2万5000円~3万5000円といった価格です。一方で20~29坪の場合は3万5千円~5万円となっており、少し高くなっています。これは、足場代などの資材・作業費以外の割合が高くなるためです。

日本の家屋の場合、標準的な建坪は30坪ほどであり、100万円から110万円ほどが標準的な工事費だと考えられます。大体の外壁面積を計算したいときには、坪数(延べ床面積)×3.3㎡(一坪の面積)×1.2で求めることができます。

 

5-2. 地域別

一般的に、地域別での工事費用の相場はそれほど大きく違いはありません。しかし、塗装業者などは地域ごとに違うことが多いため、平均的な相場は少し変動することがあります。

インターネット上に出されている情報では、地域差はあまり確認できませんが、電話などで相場を聞くことができるサービスなどもあります。

全国の15~30坪の家屋の相場を塗料の材質別に以下に示します。基本的には全国的にこの価格帯に相場があるということになります。

アクリル 30~70万円
ウレタン 40~75万円
フッ素 65~130万円
シリコン 50~100万円

 

6. 同じ建坪の建物でも外装工事費は変わる

同じ建坪の建物でも、建物の形などによって工事を行う面積は変わってきます。つまり、同じ建坪の場合、上から見て長方形かL字形かでは外周の面積に違いが出るのです。すると、塗装工事の場合、塗る面積が増えるために価格は高くなります。

そのほかにも、外壁の材質が特殊であったり、状態が悪かったりすれば標準価格よりは多少高くなることが考えられます。状態が非常に悪い場合、工事業者だけでなく大工に補修を依頼しなければならないケースもあるため、かなり費用がかかることになります。

また、足場の組みやすさも意外に関係します。なぜなら足場を組みにくい建物の場合、足場を組むのに時間がかかり、その分コストがかかることになるからです。それに類似して、駐車場の有無も工事費に関わります。駐車場がある場合、そこを資材置き場として活用できます。

しかし、駐車場がなければ資材置き場として近所の土地を使用するといった方法をとる必要が生じ、その分費用が加算されることになります。このように、同じ建坪の建物でも様々な条件の違いによって工事費が変わるのです。

 

7. 外装工事の優良業者を見つける方法

外装工事の優良業者を見つける最良の方法は、できるだけ多くの情報を集めることです。インターネット上のウェブサイトには外壁塗装業者について様々な情報が載っています。地域別の優良企業が紹介されたウェブサイトも多数あります。

また、相場を知りたい場合にも地域別の相場を計算できるウェブサイトがあります。飛び込みの訪問営業の場合は、格安をうたう悪徳企業である可能性も少なくありません。そのため、すぐに契約はせずに、インターネットで企業名を検索してみるなどして口コミなどを見るのもおすすめです。

では、業者選びで大切なポイントをいくつか紹介しておきます。まずは、業者の種類を理解することです。主な業者としては、リフォーム会社、工務店、塗装屋、塗装職人専門店、営業会社があります。

これらは、どれを選ぶかによって費用に差が出てきます。塗装屋、塗装職人専門店は、実際に工事も行うため、中間マージンがかかりません。中間マージンとは、下請け会社に工事を依頼する際にかかる費用のことです。

実際に、工事を依頼する業者をいくつかに絞ったら、その中から自分の感覚で一つに絞ってはいけません。いくつかの業者に見積もりをしてもらい、相場を確認しながら一つに絞り込んでいかなければなりません。

契約の前に、書面で見積もりなどの支払いに関する情報を示す企業は、トラブルが起きにくくおすすめです。また、自社の実績を明確に示しており、アフターサービスがしっかりしている企業は優良企業です。

 

8. 外壁塗装工事の業者選定で失敗しないためにまとめ

最後に、ここまで説明してきたことをまとめます。まず初めに、無理な価格交渉を行うとリスクがあるということを述べました。このリスクは、格安で工事を行う悪徳企業に引っかかった際にも考えられるものです。

そもそも、外装工事にはそれなりの費用が掛かります。それを無理に安い価格で行うということは、工事のどこかで手が抜かれる可能性が高いということです。つまり、品質の保証されていない塗料を使用されたり、きちんとした塗料を薄めて使ったりしていることも考えらます。

また、乾燥や塗る回数など、重要な工程が省略されてしまうこともあります。そうすると、数年しか持たず、またすぐに工事を行わなければならない可能性も出てきます。つまり、あまりにも低価格で工事を行うということは、長い目で見れば必ずしもお得だとは言えないのです。

次に、格安業者や悪徳業者が良く使う割引理由について説明しました。材料費や人件費の削減による低価格の実現は、ほぼ不可能です。また、モニターや宣伝のために格安になるということも優良企業では考えにくいことです。

悪徳業者は、飛び込みで訪問営業を行うことが多く、必要以上に不安をあおって上記の割引理由を述べ、契約を取り付けようとするのです。悪徳業者などに騙されないためには、外装工事の費用の正しい相場を知っておく必要があります。

もちろん同じ建坪でも様々な条件の違いで工事費用は異なりますが、大まかな相場は建坪から調べることができます。標準的な30坪の一戸建ての場合、100万円前後が相場となっています。

では、業者選定を行う際に注意すべきことをまとめます。まず、飛び込みの訪問営業は悪徳業者の可能性も考えてすぐに契約を行わないことです。そして、インターネット上の外壁塗装工事に関する様々な記事で情報を収集することです。

そして最後に、複数の企業に見積もりをしてもらうことです。価格、アフターサービスの充実、中間マージンの有無などの点で、少なくとも3つほどの企業を比べ、最適な所を選ぶのが大切です。