事例紹介

Category  リフォーム

2018年10月02日 更新

古い家のリフォーム費用とリフォームする4つのメリットと注意点

家は古くなると、いろいろなところで不具合が出てきます。その不具合を改善するのがリフォームですが、どのようなタイミングで行うべきなのか、またどのようなことに注意すべきなのか分からないものです。

そこでこちらでは、リフォームを行う一般的な基準とメリット、注意点について説明いたします。自宅のリフォームについて気になっている方がぜひ知っておくべき内容をまとめましたので、参考にしていただければと思います。

1. リフォームとリノベーションのちがい

リフォームの説明に入る前に、リノベーションとのちがいについて説明します。最近ではリノベーションという言葉をよく聞くようになりましたが、リフォームとのちがいがよく分からないという方が多くいらっしゃいます。

リフォームとは、不具合箇所を修理して元の状態や性能に戻すことです。そしてリノベーションとは、大規模な工事を行うことにより、住宅の性能を新築時よりも向上させることです。

ただ、リフォームとリノベーションのちがいは曖昧で、実際にはどちらの言葉も住宅に対して大規模な工事を行うことを指すことがほとんどです。

以下では、リフォームとリノベーションのちがいについて説明します。

1-1. リフォームとは不具合箇所の修繕

リフォームとは、住宅が古くなったり壊れたり、汚れたりしている箇所を元の状態に戻すことです。具体的には外装の塗り直しや壁紙の張り替え、キッチン設備の入れ替えなどを指します。

アパートやマンションだと、入居者が退去した後、台所やトイレ、風呂、内壁を現状回復することがあります。これらもリフォームの一種だといえます。

なお、築年数が古い住宅だと不具合箇所も多いため、引き続いて生活するためには屋根の修理や床の交換など大規模な工事が必要になります。

1-2. リノベーションとは性能を向上させる

次にリノベーションとは、新築のときよりも住宅の性能を向上させることです。たとえば、住宅の耐久性や耐震性を上げるために新築時とはまったくちがう壁に入れ替えたり、住宅全体を現代に合わせたデザインに変更することを指します。

リノベーションではほとんどの場合、キッチンや風呂、トイレのような水回りと呼ばれる設備を新しくすることにより、最新の機能を使えるようにします。また、仕切りの壁をなくしたり、逆に追加したりして、新築時の間取りを変更することもあります。

このように、リノベーションでは住宅の性能を新築時よりも向上させるため、大規模な工事を行います。

1-3. ちがいは性能が新築より向上するかどうか

上記でリフォームとリノベーション、それぞれについて説明しました。この2つの最大のちがいは、新築時よりも性能が向上しているかどうかです。工事を行って新築時の状態に戻るのであればリフォーム、新築時よりも性能が向上するのであればリノベーションとなります。

ただ、先ほども説明したとおり、リフォームとリノベーションという言葉はあまり区別されることなく使われているのが現状です。ですから、これらの言葉だけで工事の内容を推測するのは危険です。

2. 古い家をリフォームする基準

ここからは古い家をリフォームする基準について説明します。

家が古くなればリフォームにより修繕するのは当然のことですが、具体的に家がどのような状態になればリフォームをすればよいのかは悩みどころです。早ければ早いほどよいことは言うまでもありませんが、リフォームにはある程度まとまった費用が必要となるためです。

そこで以下では、一般的なリフォームの基準について紹介します。ただし、最終的なリフォームの基準は、その家に住んでいる方がどのように感じるかです。ですから、以下の説明はあくまで基準であって、そのタイミングになれば必ずリフォームしなければならないという意味ではありません。

2-1. 断熱

古い家をリフォームする1つ目の基準は、断熱です。具体的には、家のどこかから風が入ってくるなど、寒さを感じるようであればリフォームを検討する時期です。このような場合、リフォームを考える箇所は窓や床、天井、壁になります。

すきま風が入ってきて寒いだけであれば、窓を入れ替えるだけで改善できますが、家全体が冷えるのであれば、天井や内壁、外壁、床の断熱工事を考えましょう。

なお、床が冷えるので床暖房だけを取り入れるのは、あまりお勧めできません。冷えている床を床暖房で温めるのは効率が悪く、光熱費が予想以上にかさんでしまう恐れがあります。また、最悪の場合床暖房の効果がない可能性もあります。このような事態を防ぐため、まずは床に断熱工事を行い、それでも床が冷えると感じるようであれば床暖房の導入を検討しましょう。

このように、家の中が冷えると感じた場合、窓や天井、壁、床の断熱工事を行う1つの基準となります。

2-2. 防音

古い家をリフォームする2つ目の基準は、防音です。家の中の音が外に漏れたり、家の外の音がうるさく感じたりするようであれば、リフォームを検討してもよいでしょう。

ただ、防音のためだけにリフォームをすることはあまりお勧めできません。音が漏れる原因は、家の気密性が下がっていることがほとんどだからです。そのため、断熱性や気密性、耐震性のリフォームを行うことにより、結果として防音になります。

ですから、まずはこれらの部分を改善するリフォームを行い、それでも音が気になるようであれば防音のためのリフォームを行うようにしましょう。

なお、防音のための具体的な工事として、窓の二重窓や防音窓への交換や壁への吸音材の充てん、遮音シートやボードの取り付けがあります。

2-3. 歪み

古い家をリフォームする3つ目の基準は、歪みです。歪みとは、家が少し傾くことで、強度が落ちてしまうため地震の被害が大きくなります。家の傾きがわかりやすい例として、ドアや扉が開きにくくなったり、壁にヒビが入ったりすることです。

もしこのような心当たりがあれば、床にビー玉やゴルフボールなどを置いてみましょう。歪みのない家であればビー玉やゴルフボールはその場で静止したままです。しかし、ゆっくりとどこかで転がるようであれば家が歪んでいる可能性があります。

家は1度歪みが起こると、重心がずれてどんどん歪みがひどくなっていきます。ですから、建築士や住宅診断士に依頼して住宅診断をしてもらいましょう。住宅診断では、家の危険度や具体的なリフォームの方法を知ることができます。

2-4. 雨漏りや腐食

古い家をリフォームする4つ目の基準は、雨漏りや腐食です。これらは、家で生活していて目に見える部分だけではありません。屋根裏や壁の内部、床下で進んでいる可能性もあります。

家の腐食を調べる方法は、風呂周りやトイレ、台所のような水回りの床や壁を確認することです。もしも床の上に乗るとふわふわしたり音が鳴ったりする箇所があれば、その床下の腐食が考えられます。また、風呂がユニットバスではなくタイル張りで、タイルにひび割れがあれば、そこから水が入って中が腐食している恐れがあります。

ほかにも、壁や床でいつも湿っている箇所があれば、その部分の壁内部や床下は腐食していることが確実だといっても言いすぎではありません。

そして、雨漏りや水回りと関係のない床がふわふわしたり音が鳴ったりする場合、シロアリによる被害が考えられます。

雨漏りや腐食、シロアリの被害はひどくなると家が痛むだけでなく、床が抜けて家族がケガを負う危険性もあります。ですから、なるべく早急にリフォームを検討することをお勧めします。

2-5. 耐震性

古い家をリフォームする5つ目の基準は、耐震性です。現在の住宅の耐震基準は、1981年に定められました。そのため、1981年以前に建築された住宅だと古い耐震基準に基いて建築されているため、耐震性に不安が残ります。

また、1981年以降に建築された住宅であっても、経年劣化により耐震性は年々落ちていきます。上記で説明した歪みが腐食があれば、さらに耐震性は低いものとなってしまいます。

もし築年数から考えて耐震性に不安があるようなら、まずは耐震診断を受けることをお勧めします。耐震診断では、現在その住宅がどれだけの地震に耐えられる強度があるかを知ることができます。耐震診断は有料ですが、自治体が用意している補助金制度を活用すれば安い金額で依頼することができます。

2-6. バリアフリー

古い家をリフォームする6つ目の基準は、家族の高齢化によるバリアフリー化です。これはリフォームというよりもリノベーションに近いものがあります。

家に住み始めてから年数が経てば、家族が高齢化したり家族構成が変わったりします。もしも廊下や階段の移動、ドアの開け閉めに負担を感じるようになれば、手すりの取り付けやドアの交換のようなリフォームを検討する時期だといえます。

これらを放置しておくと、自宅内でケガを負う恐れもあるので、少しでも違和感や不安があるようであれば改善すべき点だといえます。

以上のとおり、古い家をリフォームする基準として考えられるのは、断熱や防音、歪み、雨漏りや腐食、耐震性、バリアフリーです。これらのうち1つでも気になることがあれば、建築士や住宅診断士などに相談し、リフォームを検討することをお勧めします。

3. リフォームのメリット

上記では、古い家をリフォームする一般的な基準について説明しました。ただ、家が古くなって不具合が出てきた場合、選択肢として新たな新築住宅や中古住宅を購入して引っ越したり、今ある家を建て直すというものもあります。

これらとくらべてリフォームには、費用が少なくて済む、建て替えができない地域の住宅を再利用できる、外観を残すことができる、固定資産税が上がらないことがあるという4つのメリットがあります。これらのメリットは、新たな住宅の購入や建て替えにはないものです。

ここでは、これらの選択肢がある中でリフォームをするメリットについて紹介します。

3-1. 少ない費用で不具合を改善できる

リフォームの1つ目のメリットは、少ない費用で不具合を改善できることです。新たな住宅の購入や建て替えとなると、莫大な費用が必要です。しかし、リフォームであれば不具合のある箇所だけを必要に応じて修繕できます。また、素材や設備を再利用することにより、費用を最小限に抑えることができます。

このように、少ない費用で済むのがリフォームの1つ目のメリットです。

3-2. 建て替えができない地域の住宅を再利用できる

リフォームの2つ目のメリットは、建て替えできない地域の住宅を再利用できることです。地域によっては、住宅を建てた後に市街化調整区域となるなど用途地域が変わり、現在では住宅を新築したり建て替えたりできないところがあります。

このような地域でもリフォームであれば規制を受けないため、引き続き同じ場所に住むことができます。

また、家を建てた当時と建築基準法が変わり、新築や建て替えだと元の家と同じ面積や高さの住宅が建てられない場合もあります。このような住宅であっても、やはりリフォームであれば規制の対象外となるため、引き続き同じ大きさの家に住むことができます。

このようなリフォームでは、場合によっては新築よりも費用がかかるほど大掛かりな場合もあります。しかし、現在では家を建てられない地域だったり、広さや高さの家だったりを引き続き利用できることに価値があります。

3-3. 外観を残すことができる

リフォームの3つ目のメリットは、家の外観を残すことができることです。家は長年生活をする場所なので、多くの人が強い愛着を持つものです。

そのような愛着のある慣れ親しんだ自宅を外観はそのままの状態で不具合箇所だけをリフォームし、引き続き生活することができます。

場合によっては必要以上の費用がかかってしまうこともありますが、慣れ親しんだ住宅の外観をそのまま残すことは、お金以上の価値があると考える人も多くいます。

3-4. 固定資産税が上がらないことがある

リフォームの4つ目のメリットは、固定資産税が上がらないことがあることです。固定資産税は、家を新築や建て替え、リフォームしたときに市町村が実際に調査を行い、税額を決定します。

家を新築や建て替えは、周囲から明らかにわかるため市町村役場の職員が調査にやって来ますが、リフォームであれば市町村に知られることなく済ませることも不可能ではありません。

もしリフォームをして市町村による調査がなかった場合、固定資産税はリフォームしなかったものとして計算されます。つまり、金額が据え置かれて年々下がっていくのです。

市町村が自治体全域の家のリフォームをすべて把握することは不可能です。そのため、リフォームは固定資産税が反映されない場合がほとんどです。

ただし注意が必要なのは、本来はリフォームであっても固定資産税が上がるということです。そのため、リフォームを市町村が把握し、調査が行われて税額が上がる可能性も十分にあります。その際には市町村の指示に従いましょう。

ただ、リフォームの場合は新築や建て替えとくらべて市町村による把握が難しく、固定資産税が据え置かれることが多いのはメリットです。

以上のとおり、リフォームには少ない費用で不具合を改善できる、建て替えが必要な地域の住宅を再利用できる、外観を残すことができる、固定資産税が上がらないことがあるという4つのメリットがあります。これらのメリットに大きな魅力を感じるなら、新築や建て替えよりもリフォームをお勧めします。

4. 古い家のリフォームでの注意点

上記でリフォームの4つのメリットを説明しました。しかしながら、リフォームには注意しなければならない点もあります。ここでは古い家をリフォームする場合の4つの注意点について説明しますので、リフォームで後悔しないために前もって知っておいていただけたらと思います。

4-1. 容積率・建ぺい率の制限

古い家のリフォームでの1つ目の注意点は、容積率と建ぺい率の制限です。容積率とは、敷地に対する延床面積(1階や2階以上の家の床面積をすべて合計したもの)の割合のことです。そして建ぺい率とは、敷地に対する建築面積(建坪とも言います。通常は1階部分だけの面積と考えれば良いです)の割合のことです。

この容積率や建ぺい率は、建築基準法により決められていますし、都市計画法で定められた用途によっても異なります。

そのため、リフォームで部屋数を増やしたり部屋を広げたりすることにより、建築基準法違反になってしまう恐れがあります。

ただ、建築基準法に違反だったとしても、技術的にはリフォームを行うことは可能です。そのため、実際に建築基準法に違反したリフォームを行っている住宅があるのも事実です。

しかし、建築基準法に違反するリフォームの施行中に行政に見つかると、工事変更を命じられることがあります。この場合、希望どおりのリフォームができない恐れがあります。

また、将来売却を考えている場合は、違法な住宅であるという理由で価値が大きく下がってしまうことに注意しましょう。

このように、リフォームで部屋数を増やしたり部屋を広げたりしたい場合、建築基準法で決められた容積率や建ぺい率に気をつける必要があります。

4-2. 間取りや開口部による耐久性

古い家のリフォームでの2つ目の注意点は、間取りや開口部による耐久性です。開口部とは、窓や扉のように壁がない部分のことです。もっとも多く見られる壁で家を支えている、いわゆるツーバイフォー工法の住宅だと、壁を取って2部屋を1部屋にしたり、新たな扉や窓を作ることにより、住宅全体の耐久性が下がってしまいます。

このような場合は、開口部で落ちた耐久性をほかの方法で補う必要があります。また、開口部の大きさや場所、数によっては希望のリフォームができない場合があります。あまりに多くの開口部があると、住宅として必要な強度が保てないからです。

そのため、窓や扉を増設したり部屋をつなげたりしたい場合は、リフォーム業者と十分に相談する必要があります。

4-3. 大規模なリフォームは建築確認が必要

古い家のリフォームでの3つ目の注意点は、大規模なリフォームでは建築確認が必要なことです。建築確認とは、建築基準法で決められた要件を満たしている住宅かどうかの行政による確認のことです。リフォームに取り掛かる前に図面の確認を、そしてリフォーム完了後に図面どおりに施行しているかの確認を受けなければなりません。

建築確認は、住宅を新築するときに受けているものなので、基本的にはリフォームでは不要です。しかし、建築基準法で主要構造として決められている壁や柱、2階以上の床、屋根、階段に変更を加えるときは、先ほど説明した建築確認が必要です。

建築確認のために必要な手続きはリフォーム業者が行ってくれます。しかし、建築基準法の基準を満たして建築確認の審査に合格するためには、完全に自分の思い通りのリフォームができない可能性があることを覚えておく必要があります。

このように、大規模なリフォームでは建築確認が必要となるため、建築基準法の基準を完全に満たしたリフォームにする必要があります。

4-4. 新築するより高額となる場合がある

古い家のリフォームでの4つ目の注意点は、新築するより高額となる場合があることです。これは、新築では住宅1棟の工事をまとめて行うのにくらべて、リフォームの場合は個別工事の材料費や人件費、廃材の処分料を積算するためです。

思い入れの深い家であったり、現在では住宅を建てることができない地域であれば費用が高額であってもリフォームする価値はあるといえます。

しかし、その家に自分があとどれだけの期間生活するのか、また子どもは将来も引き続いてその家で生活するのかなどの状況によっては、リフォームよりも建て替えの方が適している可能性もあります。

古い家のリフォームでは新築するよりも高額となる場合もありますので注意が必要です。

以上のとおり、古い家のリフォームの注意点として、容積率・建ぺい率の制限や間取りや開口部による耐久性、大規模なリフォームは建築確認が必要となること、新築するより高額となる場合があることの4つがあります。そのため、建築基準法や住宅の耐久性の理由から、完全に自分の希望どおりのリフォームができない可能性があることも覚えておきましょう。

5. まとめ

こちらでは、リフォームを行う一般的な基準とメリット、注意点について説明いたしました。

まず悩むのが、リフォームを行うタイミングです。リフォームは住宅が古くなれば行うものですが、具体的にどのような状況になれば行うべきなのかという判断は難しいものです。

一般的なリフォームの基準としては、家の中であるにもかかわらず冷えを感じ始めたときや音が気になり出したとき、ドアや扉の開け閉めがスムーズでなくなったとき、床がふわふわしたり音がなったりするときなどです。

リフォームは新築や建て替えとくらべて少ない費用で済んだり、建て替えができない地域の住宅を引き続き活用できたりするというメリットがある反面、大規模になれば建築基準法や耐久性が理由で思いどおりのリフォームができない恐れがあったり、内容によっては建て替えよりも費用がかかってしまうこともあります。

もし今の家が古く気になる点があるなら、リフォーム業者や建築士に相談してみましょう。