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Category  土地活用

2018年07月31日 更新

ジョイントシステムによる土地活用のメリットとデメリット

土地活用の1つとして、特定の大手不動産デベロッパーが「ジョイントシステム」というサービスを用意しています。

ジョイントシステムとは、土地所有者と店舗の出店などの目的で土地を借りたい企業とを繋いでくれるサービスのことです。

つまり、ジョイントシステムでは不動産デベロッパーが土地活用をしたい所有者と土地を借りたい企業との仲介を行ってくれます。こちらでは、このジョイントシステムについて詳しく説明致します。

 1. ジョイントシステムによる土地活用のしくみ

まず始めに、ジョイントシステムの詳細について説明します。冒頭でも説明したとおり、ジョイントシステムとは大手不動産デベロッパーが土地所有者と企業との仲介を行ってくれるサービスのことです。

土地所有者が不動産デベロッパーに土地活用を要望すると、不動産デベロッパーは土地を探している企業に土地を紹介してくれます。企業は新しい店舗などを出店するとき、新しい土地が必要となります。

不動産デベロッパーは全国の数多くの土地活用の要望があるため、企業に対してさまざまな土地を紹介することができます。

そして企業が探している条件に合っていそうな土地は現場確認を行い、不動産デベロッパーに土地使用の申し込みをします。それを受けて、土地活用を考えている所有者は業種や土地活用方法などから問題なければ、企業と同じように不動産デベロッパーに申し込みをします。

その後、企業側は社内で事業計画を作成し、企業全体の方針として決定します。土地所有者は契約期間や土地使用料、土地の使用方法などの事業計画を確認した上で合意書や契約書を交わします。あとは企業側が土地に必要な建物を建設して事業を進めます。

ジョイントシステムによる土地活用をまとめると、以下のようになります。

ジョイントシステムによる土地活用の流れ

  • 土地所有者が不動産デベロッパーに土地活用を要望する
  • 土地を探している企業が不動産デベロッパーから紹介を受ける
  • 企業が土地の現場確認を行う
  • 土地所有者と企業の両方が不動産デベロッパーに出店を申し込む
  • 企業が正式な事業計画を決める
  • 企業から土地所有者に事業内容の確認
  • 土地所有者と企業とが契約を結ぶ

上記の流れを、以下で1つずつ詳しく説明します。

1-1. 土地所有者が不動産デベロッパーに土地活用を要望する

ジョイントシステムの土地活用の流れの1番目は、土地所有者による不動産デベロッパーへの土地活用の要望です。

所有者の方が活用したいと考えている土地を不動産デベロッパーに知らせることにより、土地を探している企業に紹介されます。企業はチェーン店を出店したりショッピングモールを建設したりしたいとき、土地が必要です。

そのような企業が土地を探す手間を省くため、不動産デベロッパーに要望がある土地から候補地を選びます。そのため、まずは土地活用したいことを不動産デベロッパーに要望する必要があります。

1-2. 土地を探している企業が不動産デベロッパーから紹介を受ける

ジョイントシステムの土地活用の流れの2番目は、土地を探している企業が不動産デベロッパーから土地の紹介を受けます。

上記で説明したとおり、企業はチェーン店の出店やショッピングモールの建設などで土地が必要となったとき、不動産デベロッパーに相談します。そのとき不動産デベロッパーが、使用目的から適した土地を不動産デベロッパーに紹介します。

不動産デベロッパーは、全国から土地活用の要望が集まっているため、幅広く提案をすることができます。また、企業としても多くの候補地から土地を選ぶことができます。

1-3. 企業が土地の現場確認を行う

ジョイントシステムの土地活用の流れの3番目は、企業による土地の現場確認です。

企業は不動産デベロッパーから紹介を受けた土地から、事業展開に適していると感じたものを現地確認します。土地周辺の環境や交通の便、日当たりなどは、実際の土地を確認しないと知ることはできないからです。

企業は土地の現場確認を行うことにより、その土地が利用目的に適しているかどうかを判断します。

1-4. 土地所有者と企業の両方が不動産デベロッパーに出店を申し込む

ジョイントシステムの土地活用の流れの4番目は、土地所有者と企業の両方が不動産デベロッパーに出店などの土地利用を申し込むことです。

上記の企業による現場確認を行った結果、その土地を利用して出店のような事業を行いたいと感じた場合には、企業は不動産デベロッパーに土地利用を申し込みます。

ジョイントシステムでは、土地所有者が企業に土地を貸し出す土地活用方法です。そのため、企業がその土地を使用したいと考えるだけでなく、所有者がその企業に土地を貸し出す意思がなければ成り立ちません。

そのため、企業と土地所有者の両者が土地利用を申し込む必要があります。

1-5. 企業が正式な事業計画を決める

ジョイントシステムの土地活用の流れの5番目は、企業が正式な事業計画を決めることです。企業と土地所有者の両者が土地の利用を申し込んだとは言え、この段階では明確な事業の内容は決まっていません。

どのような業種で、どのような建物を建てるかなどは決まっているものの、具体的な建物構造や床面積、またその土地を利用して事業を行う期間などは決まっていない状態です。

そこで、企業が不動産デベロッパーと相談しながら正式な事業計画を作成します。事業計画では建物の構造や種類、事業期間をはじめ、建設期間や費用、事業期間が終了したときの対応などを詳細に決定します。

1-6. 企業から土地所有者に事業内容の確認

ジョイントシステムの土地活用の流れの6番目は、企業から土地所有者への事業内容の確認です。企業は、作成した事業計画のうち、土地所有者に関係がある建設予定の建物の構造や種類、土地の利用期間、賃料、土地利用期間が終了したときの対応などを土地所有者に確認します。

土地活用を行う上で、所有者にとって土地活用期間や賃料、契約期間が満了したときの対応はとても大切です。なぜなら、これらの条件によって企業に土地を貸し出し、土地活用すべきかどうかを判断する大きな材料になるからです。

たとえば契約期間満了後に耐用年数が過ぎて老朽化した建物付きで土地が返還されたりする事業内容だと、実質的に賃料が目減りすることになります。耐用年数を過ぎた建物を再利用するのは難しく、また取り壊すにも費用が発生するからです。

そのため、企業が作成した事業計画が、土地所有者にとって満足できるものかを確認します。

1-7. 土地所有者と企業とが契約を結ぶ

ジョイントシステムの土地活用の流れの7番目は、土地所有者と企業との契約です。企業が作成した事業計画が土地所有者の方にとって納得できるものであれば、正式に土地の賃貸借契約を締結します。

企業と契約を結べば、契約内容どおりの土地活用が実現します。以上がジョイントシステムによる土地活用のしくみです。

2. ジョイントシステムによる土地活用の特徴

上記でも説明したとおり、ジョイントシステムは不動産デベロッパーが土地所有者と企業との仲介を行ってくれるサービスです。

このジョイントシステムは、全国の土地活用で利用できるとともに、さまざまな建物構造や種類の土地活用に対応しており、さらに待っているだけで土地活用ができるという特徴があります。

以下では、ジョイントシステムの3つの特徴について詳しく説明します。

2-1. ジョイントシステムでは全国の土地活用で利用できる

ジョイントシステムの1つ目の特徴は、全国の土地活用で利用できることです。ジョイントシステムを提供している不動産デベロッパーは、各都道府県に最低1か所以上の支店を持っています。そのため、全国どの地域であっても土地活用ができます。

地方では不動産会社が少ないため、有効な土地活用ができないことが多くあります。しかし、ジョイントシステムであれば全国的に対応しているので、都市部はもちろん、地方や山間部の土地であっても活用できる可能性があります。

このように、ジョイントシステムを起こっている不動産デベロッパーは業界大手であるため、全国の土地活用に利用できるという特徴があります。

2-2. ジョイントシステムはさまざまな建物構造・種類の土地活用に対応している

ジョイントシステムの2つ目の特徴は、さまざまな建物構造や種類の土地活用に対応していることです。さまざまな建物構造とは、木造はもちろんのことながら、マンションやビルなどで見られる軽量筋骨や鉄骨などです。

また、コンビニのような比較的小規模な建物から、商業ビルやショッピングモールのような本格的な商業施設まで、多種多様な土地活用に対応しています。

ジョイントシステムを行っている不動産デベロッパーでは、豊富な建物の建設や管理運営の実績があります。そのため、個人や規模の小さな不動産会社では対応できないような商業用地としての土地活用が可能となります。

ジョイントシステムがさまざまな建物構造や種類の土地活用に対応していることは、土地活用できる機会が増えることに繋がるのが魅力です。

2-3. ジョイントシステムでは待っているだけで土地活用ができる

先ほどジョイントシステムのしくみについて説明しましたが、土地所有者の方がすべきことは、企業の事業計画への合意と契約だけです。通常の土地活用であれば必要となる、借り手である企業とのやり取りや交渉は、すべて不動産デベロッパーが行ってくれます。

そのため、土地所有者の方が土地活用の知識や経験がなかったとしても、比較的手軽に土地活用ができます。

以上のとおりジョイントシステムでは、通常では難しい商業地としての土地活用が比較的に手軽に可能となるのが特徴です。

3. ジョイントシステムによる土地活用の欠点

上記でジョイントシステムの特徴について説明しました。ジョイントシステムでは手軽に商業地として土地活用ができる反面、不動産デベロッパーへの仲介手数料が高額で、土地活用できない場合があるという2つの欠点があります。

以下でこれらの欠点について説明します。

3-1. ジョイントシステムによる土地活用は仲介手数料が高額

ジョイントシステムによる土地活用の1つ目の欠点は、不動産デベロッパーによる仲介手数料が高額であることです。ジョイントシステムを行っているのは特定の不動産デベロッパーのみであるため競合がありません。そのため、仲介手数料が高額でもサービスが成立します。

土地所有者に不動産デベロッパーが直接仲介手数料を支払うことはありません。しかし、土地所有者が受け取ることができる賃料は、借り手である企業が不動産デベロッパーに仲介手数料を支払うことを考慮した金額となっています。結果として土地活用の収益性は下がります。

ただ、個人が大規模な商業用地として土地活用ができる方法は、現実的にジョイントシステムしかありません。また、商業用地のような営利目的での土地利用の賃料は、個人をはじめ非営利での土地利用とくらべると相場が高めとなっています。

そのため、高額な仲介手数料であっても、借り手となる企業の規模や業種、土地の使用目的によっては通常の土地活用よりも収益性が高くなる可能性もあります。

3-2. ジョイントシステムで土地活用できない場合がある

ジョイントシステムによる土地活用の2つ目の欠点は、土地活用できない場合があることです。

上記で説明したとおり、ジョイントシステムは土地所有者の方が要望した土地の中から、企業が事業の目的に合った土地を選びます。そのため、どの企業も土地を選んでくれないと土地活用ができません。

具体的には立地条件が悪かったり、土地面積が小さすぎて用途が限られてしまったりすると、なかなか土地活用ができません。また、いつまで待っても土地活用ができない恐れもあります。

以上のとおり、ジョイントシステムには仲介手数料が高額であることと、立地条件や土地面積によっては土地活用できない恐れがあるという2つの欠点があります。

4. ジョイントシステムによる土地活用まとめ

こちらでは、こちらでは、このジョイントシステムについて詳しく説明致しました。

ジョイントシステムは、特定の不動産デベロッパーに土地活用を要望することにより、新店舗などの事業展開を行いたい企業とマッチングしてくれるサービスのことです。全国の土地で、しかも大規模な商業施設にも対応している上に、土地所有者はただ待っているだけで土地活用ができるという特徴があります。

一方で、競合サービスがないため仲介手数料は高額で、立地条件が悪かったり土地面積が小さすぎると企業に選んでもらえず、いつまで経っても土地利用ができないという欠点があります。

ただ、個人が所有する土地を商業用地として土地活用できる数少ない選択肢です。そのため、所有している土地を店舗や施設などで土地活用したいと考えているなら、有効な選択肢になります。

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