事例紹介
土地活用の1つに、ホテルを建設して収益を上げる方法があります。
ホテルでの土地活用のメリットは、アパートやマンション、貸倉庫などよりも多くの収入が得られることです。これは、ホテルで土地活用を行う人が絶対的に少ないためです。そのため、高額な賃料を得ることができます。
しかし一方で、ホテルの経営が思わしくなく事業撤退した場合、その後の土地活用はとても難しいという欠点があります。そのため、ホテルでの土地活用は、当初の計画どおり順調に経営されることにより成立する土地活用方法です。
こちらでは、ホテルでの土地活用で知っておくべき3つのことについて詳しく説明致します。ホテルでの土地活用は取り組む方が少なく、先ほども説明したとおり大きな収益を得ることが可能です。ですからこの機会にぜひ内容を詳しく知っていただきたいです。
この記事でわかること
1. ホテルでの土地活用は大きく2種類
まず始めに、ホテルでの土地活用の種類を説明します。一言でホテルといっても、ビジネスホテルと観光ホテルの2種類があります。
ビジネスホテルは出張のビジネスマンなどが主に利用するのに対し、観光ホテルはご家族やご夫婦などが娯楽のために利用します。
そのため、ビジネスホテルと観光ホテルでは適した立地条件や土地面積が異なります。以下でビジネスホテルと観光ホテルの土地活用について、詳しく説明します。
①ビジネスホテル
土地活用でのホテルの1種類目は、ビジネスホテルです。上記でも説明したとおり、ビジネスホテルは出張などでビジネスマンが利用するためのものです。そのため、利便性の高い駅や施設の近くの土地が適しています。
利便性の高い駅や施設とは、ビジネスマンが出張などで訪れることが多いオフィス街や、会議や研修会場となる施設の近くや最寄り駅付近のことです。
ビジネスマンは遠方の本社や支社、取引先の会社を訪れたり、会議や研修に出席したりするためにビジネスホテルを利用します。そのため、会社や会議・研修施設の近くのホテルであれば、多くのビジネスマンの利用が期待できます。
ビジネスホテルは、比較的少ない土地面積であっても建設できるのがメリットです。ビジネスホテルはフロントと宿泊できる部屋さえ用意すれば経営が行えます。レストランなど食事ができる場所は必要ではないので、都市部の面積が広くない土地でも活用できるのが特徴です。
②観光ホテル
土地活用でのホテルの2種類目は、観光ホテルです。観光ホテルとは、温泉や名所などの観光地で、ご夫婦やご家族が娯楽として主に利用するホテルのことです。そのため、観光ホテルは観光地や観光地の近くの土地がもっとも適しています。
観光ホテルのメリットとしては、娯楽としての利用であるため利用単価が高く、利用者が多ければ莫大な収益を生むことができることが挙げられます。
また、観光ホテルの利用者は、休暇などに娯楽として訪れることがほとんどです。そのため、宿泊できる部屋をはじめ、ホテルの建物全体を通してくつろげるだけの広さや内装、設備が必要です。具体的には大浴場や庭などです。
ですから、観光ホテルによる土地活用には、ビジネスホテルとくらべて広大な土地が必要になるという欠点があります。また、設備の維持費も大きくなるため、利用者が少ないときの赤字も大きくなり、短期間で事業撤退を余儀なくされることも珍しくありません。
2. ホテルでの土地活用の運用形態
次に、ホテルでの土地活用の運用形態について説明します。ホテルでの土地活用は、基本的に所有者自身が経営を行いません。アパートやマンション、貸倉庫による土地活用であれば、土地所有者が建物を建て、所有者自らが経営を行うことが多くあります。
しかし、ホテル経営は専門的で高度なノウハウか必要な業種です。そのため、所有者自らが経営を行うのは現実的ではありません。そこで、ホテルでの土地活用は、サブリースと定期借地契約の2つの方法のうちどちらかを選ぶのが一般的です。
以下ではホテルでの土地活用の際の2つの運用形態について詳しく説明します。
①サブリース
ホテルでの土地活用の1つ目の運用形態は、サブリースです。サブリースとは所有者の負担でホテルを建設し、そのホテルをホテル経営を行う事業者に丸ごと貸し出すことにより賃料収入を得る土地活用方法のことです。
サブリースのメリットとしては、所有者は自ら複雑なホテルに一切関わることなく、長期的に安定した賃料収入が得られることです。ホテル事業者との契約内容にもよりますが、多くの場合はホテルの経営状況に関わらず一定の収入が得られるため、収入の目処が立てやすくなります。そのため、ホテル建設の借り入れも安心して返済できます。
しかし一方で、ホテル事業者が経営不振で事業撤退しまう恐れがあるというリスクがあります。借り手である事業者が撤去してしまうと、賃料収入が得られないホテルの建物が残ってしまいます。
新たな借り手となるホテル事業者を見つけるにも、経営不振だったホテルを借りたい事業者は少ないのが現状です。
②定期借地契約
ホテルでの土地活用の2つ目の運用形態は、定期借地契約です。定期借地契約とは、土地を不動産会社やホテル事業者に貸し出し、土地の賃借料を得る運用方法になります。そして土地を借りた不動産会社やホテル事業者がホテルを建設して経営を行います。
定期借地契約では50年などの決められた契約期間は土地を貸し出し、契約期間が終了すれば土地は更地で返還されます。
定期借地契約のメリットは、土地所有者は金融機関からの借り入れを行ってホテルを建設するというリスクを負わずに地代収入が得られることです。
しかし定期借地契約はリスクを負わない分、上記で説明したサブリースから借り入れの返済を差し引いた収入よりも地代収入の方が少なくなるのがメリットです。
以上のように、ホテルでの土地活用による収益を最大化するならサブリース、収益よりもリスクを軽減することを意識するなら定期借地契約を選択するのか理想的です。
3. ホテルでの土地活用の4つの特徴
最後に、ホテルでの土地活用の4つの特徴を説明します。ここまでである程度説明しましたが、ホテルでの土地活用は以下の4つの特徴があります。
・多くの賃料が得られる
・広大な土地が必要(観光ホテルの場合)
・土地活用後も建物が残ってしまう場合がある
・事業者が利益が出ると判断しないとできない
上記のとおり、ホテルはほかの土地活用とくらべても多くの賃料が得られるという大きなメリットがある反面、観光ホテルの場合だと広大な土地が必要で、土地活用が終わっても建物が残ってしまう場合があり、そしてホテル事業者が利益が出る判断しないと行うことができないという欠点があります。
以下でこれらについて詳しく説明します。
①多くの賃料が得られる
ホテルでの土地活用の1つ目の特徴は、アパートやマンション、貸倉庫経営とくらべて多くの賃料が得られることです。土地活用では多くの場合、収入を得ることが目的です。ですから、同じ土地でもホテルを建てることにより多くの賃料が得られるのは、大きな魅力だと言えます。
ホテル事業者がホテル経営を始めたり、事業拡大で新たなホテルを経営したいと考えたとき、ホテルでの土地活用に応じてくれる土地所有者を見つけなければなりません。しかし、ホテルによる土地活用はアパートやマンション、貸倉庫、駐車場とくらべると取り組む土地所有者が少ないのが現状です。
そのため、ホテル事業者は多くの賃料を支払わないと土地所有者がホテル建設や土地の賃貸に応じてくれません。
また、ホテルの建物は、耐用年数が41年と長いことがほとんどです。耐用年数とは国税庁が建物の構造や用途に応じて決めている、税務上で資産価値があると判断される年数のことです。耐用年数はあくまで税金を計算するためのものですが、社会的にも耐用年数の間は資産としての価値があるとみなされます。
ホテルの耐用年数が41年であることから、ホテル事業者は基本的にはホテルが建設されてから41年間という長い期間は経営を続けます。そのため、41年間は収入を見込むことができます。
このように、ホテルでの土地活用はアパートやマンション、貸倉庫などとくらべて多くの賃料を、長期間にわたって得ることができます。
②観光ホテルは広大な土地が必要
ホテルでの土地活用の2つ目の特徴は、観光ホテルの場合だと広大な土地が必要なことです。上記で説明したとおり、観光ホテルの利用者はただ宿泊するだけでなく、娯楽を目的としています。
そのため、ロビーや廊下は開放的な雰囲気となるよう、広いスペースを確保しなければなりません。ですから、観光ホテルの建物は大きくなります。また、観光ホテルでは利用者がくつろげるよう、大浴場や庭園、駐車場をはじめ、多くの施設が必要です。このような施設を用意するための土地面積も必要となります。
場合によっては、ホテルの建物よりも周囲の施設で多くの土地が必要となります。
なお、ビジネスホテルは立地条件が整っていれば、アパートやマンションよりも小さい土地面積でも土地活用できることが往々にしてあります。
③ホテルでの土地活用の特徴3:土地活用後も建物が残ってしまう場合がある
ホテルでの土地活用の3つ目の特徴は、土地活用後もホテルの建物が残ってしまう恐れがあることです。
先ほど、ホテルでの土地活用は41年間という長期間収入が得られると説明しました。しかし、サブリースの場合だと耐用年数が過ぎた建物がそのまま返還されます。
耐用年数が過ぎたホテルの建物は老朽化している上、一般的に資産価値がないと判断されます。そのため、その後はホテルとして収入を得ることはできません。
しかし、たとえ資産価値がないとは言えホテルの建物は存在しています。その土地を引き続いて活用するためにホテルを撤去しようと思うと、莫大な撤去費用が発生します。
また、定期借地契約では、契約期間が終了すると土地は更地に戻して返還されます。しかし、もしもホテル事業者が経営不振により撤退してしまった場合、建物が撤去されずに契約期間の途中で返還されることも考えられます。
このような場合は、引き続いて賃料収入を得るために新たなホテル事業者を見つけることはとても難しく、また耐用年数が残っているため撤去するには惜しく感じるという、結果として土地活用ができない状態に陥ってしまう恐れがあります。
このように、土地にホテルという撤去費用が莫大な建物が残ってしまう恐れがあります。
④事業者が利益が出ると判断しないとできない
ホテルでの土地活用の4つ目の特徴は、ホテル事業者が利益が出ると判断しないとできないことです。
先ほど説明したとおり、ホテルでの土地活用は、多くの場合サブリースか定期借地契約のように、土地や建物を貸し出すことにより賃料収入を得ます。
しかし、ホテル事業者はホテルで収益を上げることを目的としています。そのため、ホテル事業者が立地条件や利用者の需要、土地面積などからみて、その土地でのホテル経営で十分な収益が見込めると判断する必要があります。ホテルとして収益が見込めない土地だと、借り手となるホテル事業者が見つからないからです。
そのため、土地所有者がホテルでの土地活用を行いたいと思ったとしても、ホテル事業者が利益が出ると判断しないと実現しません。
4. ホテルでの土地活用まとめ
こちらでは、ホテルでの土地活用で知っておくべき3つのことについて詳しく説明致しました。
ホテルでの土地活用では、立地条件によってビジネスホテルと観光ホテルの2種類があります。ビジネスホテルは都市部の駅近くなどが、観光ホテルは観光地で広大な土地が適しています。
また、ホテルでの土地活用は、アパートやマンション、貸倉庫、駐車場などとは異なり、所有者自身が経営を行うことはまずないのが特徴です。ほとんどの場合、サブリースや定期借地契約などで、不動産会社やホテル事業者から賃料を得ます。
ホテルでの土地活用のメリットは、ほかの建物を建設する土地活用とくらべて多くの収益が長期間にわたって得られることです。土地活用による収益を最大化したいなら、ホテルによる土地活用はもっとも適していると言えます。
しかし一方で、観光ホテルの場合だと広大な土地でないと建設することができず、またサブリースの契約期間が満了したり、定期借地契約の期間中にホテル事業者が撤退してしまった場合には、撤去費用が莫大なホテルの建物が土地に残ったままになってしまいます。そのため、その後の土地活用が難しくなるという欠点があります。
そして、ホテルでの土地活用は、その土地でホテル経営を行いたいと感じるホテル事業者が必要です。そのためには、ホテルとして十分な収益が見込める土地である必要があります。
以上のとおり、ホテルによる土地活用は多くの収益が得られる反面、数十年後の土地活用が難しいと言えます。