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Category  土地活用

2018年10月02日 更新

土地活用に有効な4資格「宅建士と土地活用プランナー」あと2つは何?

相続などで土地を手に入れた場合、その土地をどう活用していくかを迷う人も多いのではないでしょうか。自身で土地活用を行っていく場合、まったく無知の状態で行うよりも、やはり専門的な知識を身につけてからの方が安心であると思います。

土地活用を行う際に役に立つ資格は多くあり、国家資格のものから民間資格のものまで様々です。ここでは、普段からよく耳にすることのある宅地建物取引士(宅建士)、土地活用プランナー、ファイナンシャルプランナー、福祉住環境コーディネーターの4つの資格について、詳しく説明してきます。

この記事でわかること

1. 土地活用の資格①「宅地建物取引士」

1-1. 宅地建物取引士とは

土地活用に役立つ資格の中で一番耳にする機会のある資格は、この宅地建物取引士ではないでしょうか。宅地建物取引士は、宅地建物取引業法に基づいて定められている国家資格です。宅建、宅建士、という名前の方が馴染みがあるかもしれません。この宅地建物取引士は、2015年の法改正前までは宅地建物取引主任者という名称の資格でした。

1-2. 宅地建物取引士の需要

不動産会社は家や土地などの売買を行うため、各事務所や営業所ごとに宅地建物取引士の設置が義務付けられています。従業員の5人に1人が宅地建物取引士である必要があります。毎年新入社員を増やしていくに伴い、宅地建物取引士も一定の割合で雇う必要があるため不動産会社での需要は高いです。

宅建業者は現在日本全国で12万以上あり、毎年その件数は増加しています。不動産業はどちらかというと人の入れ替わりが頻繁に起こる業種のため、求人情報も常に一定数出ています。

1-3. 宅地建物取引士の専権業務

不動産会社に訪れる人の多くは、家や土地の売買を目的としています。大きな金額が動く取引内容になるため、失敗をしないように専門的な知識と資格を所有した人が必要です。そのため国家資格の不動産取引の専門家として認定されている宅地建物取引士が、不動産会社には一定の割合で従事しています。

家や土地の売買にあたって、次の3つの業務については、宅地建物取引士のみが行うことのできる専権業務であると宅地建物取引業法によって定められています。

  • 重要事項の説明…家や土地の売買および賃借の際には、物件や契約内容を記載した重要事項説明書を作成します。契約前には買主や借主にその重要事項説明書の内容を説明する必要があります。契約内容を理解してもらうために、宅地建物取引士が責任を持って詳しく説明します。
  • 重要事項説明書への記名と押印…買主や借主に重要事項をしっかりと説明した後は、重要事項説明書への記名と押印が必要で、これも宅地建物取引士の業務になります。説明を行ったこと、記載内容の責任の所在を明らかにするためです。
  • 契約書への記名と押印…取引締結後、契約内容を記載した書面を作成します。内容に誤りがないか確認したのち、記名と押印します。

1-4. 宅地建物取引士の取得方法

宅地建物取引士になるには、宅地建物取引業法で定める宅地建物取引士資格試験に合格する必要があります。試験は宅地建物取引業法に基づいて不動産適正取引推進機構が毎年1回、実施しています。試験に合格したのち、各都道府県知事の資格登録を受けて宅地建物取引士証の交付を受けると宅地建物取引士になることができます。

宅地建物取引士資格試験

試験は毎年1回、10月の第3日曜日に実施され、12月の第1水曜日もしくは11月の最終水曜日に合格発表が行われます。実施広告は毎年6月の第1金曜日に官報への掲載と不動産適正取引推進機構のホームページに掲載されます。受験料は7000円です。

受験資格に年齢や性別、学歴等の制限はなく、希望者であればだれでも受験することができます。試験方法は50問の四肢択一式です。ただし、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習を修了し、修了試験に合格した日から3年以内であれば試験が一部免除され、45問になります。

・宅地建物取引士の取得難易度

宅建士の取得難易度は、その他の行政書士や税理士の資格と比べると比較的簡単であると言われています。合格率は毎年15~17%程度で、20万人前後が試験を受けて3万人前後が合格しています。

合格基準点は毎年異なりますが、試験問題全50問に対して基準点は30点~36点となっていることが多いです。7割の35点を取ることができれば、合格圏内であるとみて良いでしょう。

2. 土地活用の資格②「土地活用プランナー」

2-1. 土地活用プランナーとは

土地活用プランナーとは、その名の通り土地活用に対する専門的な知識を持つ専門家のことです。東京都の認可を受けている公益社団法人東京共同住宅協会が2015年に創設しました。創設から間もないためその他の資格と比べると認知度は低いですが、利益を生み出す土地活用を行うためのアドバイザーとして注目されています。

土地活用プランナーになると土地活用に必要な法務や税務、マーケティング、プランニングなどの専門知識を活用して、土地活用希望者をサポートしアドバイスすることができます。

2-2. 土地活用プランナーの需要

土地を所有している人は、それだけで固定資産税が発生してしまうため、空いている土地は何かに活用して利益を出したいと思われる方が多いです。土地活用はアパートやマンション、駐車場、テナントなど様々で、実際に経営を始める際にも法務や事業収支計画、権利調整などの専門知識が必要になります。

今までであれば宅地建物取引士に依頼していることも多かったのですが、宅地建物取引士はその土地にその建物を建てられるかどうか、などの法律をメインとした知識に特化している資格のため、実際に土地活用を行う際のマーケティングや利益を出すためのプランニングなどは専門外です。土地活用を依頼する会社も、アパートの建築や駐車場管理など、営業形態が限られているものが多いため、幅広い提案ができない現状でした。

土地活用は、その土地にあった条件で適切に活用して利益を上げることが必要です。土地活用に失敗してしまうと、経営失敗による赤字が出ることもあります。そういった問題を防ぐために、土地活用のスペシャリストである土地活用プランナーが創設されました。空き家問題が懸念されている現代において、今後需要は高まっていくでしょう。

2-3. 土地活用プランナーの養成講座について

土地活用プランナーの資格は、認定試験を受けて合格すると取得することができます。独学でも試験を受けることはできますが、養成講座を開催している団体もあります。土地活用プランナーの試験を開催している東京共同住宅協会も試験対策講座を開催しています。

試験対策講座では、東京共同住宅協会が発刊しているテキストを使用し、土地活用プランナー認定試験の対策を行います。また、マーケティングや事業収支計画表の見方や作成方法、税務知識、土地活用の手法、近隣対策や権利調整、プランニング方法、建築の基礎知識など12カテゴリに及ぶ幅広い知識習得を目的としています。

以前の試験では合格者の上位20%のうち約8割の人が東京共同住宅協会の試験対策講座を受講しています。独学で学習を進める方法もありますが、合格の確率を上げるためには養成講座の受講検討をおすすめします。

2-4. 土地活用プランナー認定試験について

試験は毎年2回、8月と2月に実施されます。合格発表は試験日の約1ヶ月後に行われ、ホームページ上への掲載と合わせて郵送されます。実施広告は、東京共同住宅協会認定資格土地活用プランナーのホームページに掲載されます。

受験資格に年齢や性別、学歴等の制約はなく、希望者であればだれでも受験することができます。試験方法は四肢択一式のマークシート方式で、全部で40問です。受験料は税込7560円です。

土地活用プランナー登録について

土地活用プランナーの認定試験に合格すると、だれでも資格を取得することができます。さらに、以下の項目のいずれかを満たしている場合、土地活用プランナーに登録することができます。

①下記の建設業または不動産業の実務経験が2年以上

ゼネコン・住宅メーカー・設計事務所・工務店・不動産取引業・不動産賃貸業・不動産管理業

下記の資格を所有し2年以上登録している

弁護士・司法書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・公認会計士・税理士・一級建築士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士・FP2級以上のファイナンシャルプランナー

土地活用プランナーに登録すると認定証が発行され、土地活用プランナー(R)の名称を使用することができます。登録の有効期間は2年間で、その後は2年ごとに更新が必要です。

実務経験がない場合は、合格と同時に土地活用プランナーに登録することはできません。ただし、合格証書は生涯有効なため、土地プランナー認定試験に合格後、上記の実務経験の条件を満たした場合はいつでも登録が可能です。

2-5. 土地活用プランナーの取得難易度

土地活用プランナーの合格率は公表されていません。しかし、認定試験範囲は東京共同住宅協会が発刊しているテキストや試験対策講座で学習する12カテゴリにそった内容となっています。しっかりとテキスト通りに学習を行い、2日間の試験対策講座などで勉強すれば難易度としては比較的簡単であると考えられます。

3. 土地活用の資格③「ファイナンシャルプランナー」

3-1. ファイナンシャルプランナーとは

ファイナンシャルプランナーは、世の中に出回っているお金に対するエキスパートです。お金には種類があり、実際に手元にあるお金や銀行の預金、株式などの投資に使われるお金、国に支払っている税金、企業が融資を受ける借入金など様々です。幅広いお金が経済を動かしていますが、ファイナンシャルプランナーはその中でも生活に馴染みの深い次の6つの分野を扱っています。

1.ライフプランニングと資金計画…年金関連など
2.金融資産運用…貯蓄や債券、株式、投資信託など
3.タックスプランニング…税金関連など
4.リスク管理…保険関連など
5.不動産…不動産取引を行う際の法律や税金など
6.相続・事業承継…相続税や非課税枠などの仕組みなど

相談者のライフスタイルや生活環境、経済状況などを踏まえ、収支内容や資産、保険など様々なデータをもとにして長期的な資産設計を行います。必要に応じてそれぞれの分野の専門家(税理士や社会保険労務士など)と連携を行いつつ、くらしとお金に対する相談に対応することができる資格です。

3-2. ファイナンシャルプランナーの種類

ファイナンシャルプランナーには2つの種類があります。ひとつは国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)、もうひとつは民間資格であるAFPとCFPです。FP技能士は、その難易度によって1級から3級に分かれています。

AFCとCFPではAFPの方が難易度が低く、2級FP技能士と同等の水準です。AFPとCFPの違いは、大まかにいうとAFPが一般的な資格、DFPは世界で通用する国際的な資格という点です。

AFPになるには、まずは国家資格であるFP技能検定の2級に合格し、さらにAFP認定研修に参加して修了する必要があります。技能検定前に研修に参加することも可能です。CFPになるには、AFPを取得後にCFP試験に合格し、CFPエントリー研修を修了しなければなりません。さらに、3年間の実務経験も必要となります。

3-3. ファイナンシャル・プランニング技能検定について

ファイナンシャルプランナーになるには、ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)を受けて合格する必要があります。3級から1級までの3段階に分かれていて、3級と2級は毎年3回、1月と5月と9月に検定が行われています。1級は年2回、1月と9月に検定が行われています。

FP技能検定には、それぞれの級によって受験資格や合格基準が設けられています。

ファイナンシャルプランナー3級

受験資格:FP業務に従事している者、または従事しようとしている者。

合格基準:学科 60点満点で36点以上  実技 50点満点で30点以上

・ファイナンシャルプランナー2級

受験資格:3級技能検定の合格者・FP業務に関し2年以上の実務経験・日本FP境界が認定するAFP認定研修を修了・厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者のうちいずれか

合格基準:学科 60点満点で36点以上  実技 50点満点で30点以上

・ファイナンシャルプランナー1級

受験資格(筆記試験):実務経験5年以上・2級合格後実務経験1年以上・厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で1年以上の実務経験のうちいずれか

受験資格(実技試験):1級学科試験の合格者・FP養成コース修了者でFP業務に関し1年以上の実務経験・日本FP協会のCFP認定者・日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者のうちいずれか

合格基準:学科 200点満点で120点以上  実技 200点満点で120点以上

3-4. ファイナンシャル・プランニング技能検定の難易度

FP技能検定の難易度ですが、3級であれば入門レベルのため独学でも比較的簡単に合格できると言われています。学科試験の合格率を見ても、50%~70%の高さで推移しています。

実務に直結する2級の試験は平均して約35%の合格率です。また、FP技能検定は受験者数に応じて合格基準が変わるものではありません。しっかりと6割以上の点数を取れるようになれば必ず合格できる試験です。

他の国家資格である行政書士などは10%を切る合格率ですし、比較的易しいと言われている宅地建物取引士でも合格率は約15%程度です。その数字から見ても比較的狙いやすい国家資格であると言えます。

4. 土地活用の資格④「福祉住環境コーディネーター」

4-1. 福祉住環境コーディネーターとは

福祉住環境コーディネーターは、福祉や住まいについての専門知識の資格です。高齢者障害者に対して住みやすい環境や住宅を整備するためのコーディネーターとして創設されました。1999年に第1回試験が行われた比較的歴史の浅い資格です。

建築士やケアマネージャーなどと連携をとり、福祉施設の手すりをつけたり段差を解消したりしてバリアフリー化をはかったり、介護用品や福祉用具の提案を行ってより住みやすい環境を提供するなど福祉の現場で活躍する資格です。

4-2. 福祉住環境コーディネーターの需要

現代の日本は高齢化社会が進んでおり、人口の4人に1人が65歳以上と言われています。今までであれば建築は建築士、介護は介護福祉士といったように専門職の人がそれぞれの分野を担当していました。

しかし、医療や福祉、建築などの知識をもって幅広い視野で施設全体を見ることができる人が必要となり、福祉住環境コーディネーターが生まれました。

今後も高齢化が進んでいく中で、国の政策としてサービス付き高齢者向け住宅の充実を目指していることもあり、認知度は上がっていくと思われます。福祉や建築の現場が増えていくにともない、そこに従事する人数も増えるため、今後需要は高まっていくでしょう。

4-3. 福祉住環境コーディネーターを取得するメリット

福祉住環境コーディネーターの資格を取得しただけでは、専門的な介入ができません。そのため、現在では、ケアマネージャーや福祉用具専門相談員、建築士や社会福祉士などが自身のスキルアップのために取得することが多いです。ただし、福祉住環境コーディネーターの2級を取得すると住宅改修を行う際の必要書類である「住宅改修が必要な理由書」を作成することができます。

また、自身の職種に直接関係がない場合も、身近な人がサービス付き高齢者向け住宅に入居するとなった際や、バリアフリーにするためリフォームをするといった際に、福祉住環境コーディネーターの資格は非常に役に立ちます。

4-4. 福祉住環境コーディネーター検定試験

福祉住環境コーディネーターの試験は、難易度別に1級から3級に分かれています。合格基準は受験者の人数で変わるものではなく、一律で100点満点中70点をとれば合格となります。受験資格や受験料は以下のとおりです。

・福祉住環境コーディネーター3級・2級

受験資格:制限なし。3級と2級の併願受験や、2級からの受験も可能。

日程:毎年7月と11月の2回

受験料:3級 4320円  2級 6480円

・福祉住環境コーディネーター1級

受験資格:2級合格者。受験申込みの際に2級証書番号が必要です。

日程:毎年11月の1回

受験料:10800円

5. 土地活用に役立つ資格まとめ

資格には国家資格と民間資格があり、それぞれに難易度も異なってきます。宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーなどの資格は現在も需要が高く、人気のある資格です。それ以外の2つの資格も、まだ創設から日が浅いため世間的な認知は先の2つの資格に比べて劣りますが、今後の日本社会において非常に需要の高い資格になると思われます。

専門的な知識を身につけると土地活用に役立つだけでなく、日常生活においても活用する機会が多くあります。自分自身のキャリアアップを目指す意味でも、比較的手の出しやすい資格の取得を検討してみても良いと思います。