土壌汚染対策法第14条の自主申請を行うメリット

土壌汚染対策法では、第14条の自主申請を行うことができます。

土壌汚染対策法第14条では、「自主的な調査によって土壌汚染が判明した場合などには、土地の所有者等が都道府県知事等に区域の申請ができること」とあります。

自主申請と聞いても、何をどういう流れで手続きして良いかが分からないと思います。

自主申請を出来る土地の所有者には、土地に対しての条件もあり、また提出書類の種類も多種に渡ります。

しかし、この自主申請を行うことで、メリットを得られるのも事実です。

そこで、この自主申請を行うメリット、また、この申請ができる人や申請に必要な書類から申請の流れまで、詳しく見てみます。

 

1. 土壌汚染対策法第14条の自主申請を行うメリット

土壌汚染対策法第14条の自主申請には8つのメリットがあります。

それは、自主的なスケジュール管理、現場での対策措置の円滑化、調査・措置の正当性の証明、汚染管理の信頼性の確保、汚染に関する情報の明確化、管理している土地の形質の変更の円滑化、自然由来特例区域・埋立地特例区域・埋立地管理区域の特例、基金の助成です。

今回は、この中の自主的なスケジュール管理、調査・措置の正当性の証明、汚染に関する情報の明確化の3点について考えていきます。

 

1-1. スケジュールを自分で決められる

1つ目のメリットは、法第4条第2項の調査命令の前に自主的に区域指定の申請を行うことができることです。

3,000㎡以上の土地の形質変更を予定していて、それが汚染されている可能性が高い、または、汚染されていることが分かっている場合には、自主的に区域指定の申請を行うことができます。

事前に形質変更要届出区域などに指定されることで、調査に係るスケジュール管理を自主的に行えることになります。

具体的には、形質変更時要届出区域に指定される場合を比較しながら見ていきます。

①法第4条での手続きの流れ
3,000㎡以上の形質変更の届出を都道府県等に提出します。
届出を提出した後、都道府県知事等が調査命令を発出します。
この申請による土壌汚染状況調査・報告までの期間は約120日以内になります。

次に、形質変更時要届出区域に指定された場合は、土地形質の変更届出を都道府県等へ工事着工の14日前までに提出します。

②自主的な区域指定の申請手続きでの流れ
自主調査を実施・指定するための申請を都道府県等に提出します。
申請書類の提出後、形質変更時要届出区域に指定された場合は、土地の形質の変更届出を都道府県等へ工事着工の14日前までに提出します。

※法第4条の手続きの調査命令は行政手続法の不利益処分になります。

不利益処分とは、特定人物を名宛人として、その人物の権利を制限、または、義務を課す行政処分のことです。「行政手続法第2条4項」

※要措置区域に指定される場合は、封じ込め(=汚染の管理)や汚染の除去(=掘削除去)などの措置を都道県知事等から指示されます。[法第6、7条]

上記2つの留意点は、案件により、申請後の手続きに時間がかかる可能性があります。

そのため、形質変更時届出区域等に指定されるまでの工程を把握したい場合は、都道県知事等に相談しながら手続きを進める方が望ましいです。

 

1-2. 法律に基づいた調査を実施した証明が手に入る

2つ目のメリットは、汚染された土地を自主的に区域指定の申請を行うことにより、一旦形質変更時要届出区域等に指定し、その後、汚染の除去を実施し、指定を解除することです。

具体的には、次のような流れになります。

土地所有者等が汚染された土地を自主的な区域指定の申請を行った後、形質変更時要届出区域に指定された場合は、掘削除去や原位置浄化等の汚染の除去を実施します。

実施後は、都道府県知事等へ措置が適正に行われたことを確認できる資料を提出します。

この資料の内容は、工事状況の写真、工事終了報告書、地下水モニタリング記録等になります。

都道府県知事等が、汚染の除去が適正に行われたことを確認したら、形質変更時要届出区域等の解除の公示後、形質変更時要届出区域等の台帳から削除されます。

解除されたことが広報や都道府県等のホームページに記載されるので、そちらから解除や削除の確認をすることができます。

この広報やホームページに掲載されることは、法に基づき対策が講じられたことを証明することになります。

留意点としては、次の3つがあげられます。

①自主的に区域指定の申請をした後、形質変更時要届出区域等に指定された場合、指定の状況について公示され、台帳に記載されます。申請した場所に汚染があるということを地域住民等に公示されることにより、不安感を与えることがあります。

②形質変更時要届出区域等の指定を解除するには、封じ込め等に比べて対策費用が高い掘削除去や原位置浄化等の汚染の除去が必要になります。

③土壌溶出量基準に適合しない土地における指定の解除には、汚染の除去を行った後、地下水汚染が生じていない状態が2年間継続することを確認する必要があります。

なお、措置実施時に地下水汚染が発生していない土地で掘削除去を行う場合は、掘削除去後に地下水の水質測定を1回行い、地下水汚染が発生していないことを確認する必要があります。

ただし、土壌含有量基準不適合の土地においてはこの限りではありません。

 

1-3. 汚染に関する情報が明確化できる

3つ目のメリットは、汚染に関する情報が明確化することができることです。この汚染に関する情報が明確化できるメリットには、大きく分けて2つあります。

1つ目は、形質変更時要届出区域に指定されることにより、将来にわたり汚染に関する情報が明確化することです。

2つ目は、土地取引に先立ち自主的に区域指定の申請をすることにより、汚染に関する不確定要素を排除することができることです。

これら2つのメリットについて少し詳しく見ていきます。

 

1-3-1. 将来にわたり汚染に関する情報が明確となる

もし、汚染に関する情報が将来にわたり継承されなかった場合、土地所有者が将来、土地の形質変更等を行う際に再度調査が必要となる場合に、地域住民等とのトラブルが発生する可能性があるかもしれないということです。

そこで、自主的な区域指示等により、記録が保管され続けることにより、汚染に関する情報を確実に継承することができ、将来、トラブルが発生するリスクを減らすことができます。

具体的には、土地所有者が自主的に区域指定の申請をすることによって、将来、開発を行う際に汚染に関する情報を活用することができます。

汚染に関する情報が台帳に記録、都道府県知事等による保管される内容は以下の通りです。

・要措置区域等に指定された年月日
・要措置区域等の所在地
・要措置区域等の概要
・土壌の汚染状態
・調査を行った指定調査機関
・土地の形質の変更の実施状況
・資料採取を行った地点を明示した図面
・周辺の地図
・区域の分類(埋立地管理区域/自然由来特例区域/埋立地特例区域の別)等

留意点としては、次の2つになります。

①形質変更時要届出区域として適正に管理しようと土地所有者等が考えていたにもかかわらず、要措置区域に指定された場合、措置を実施しなければならなくなります。

これには、時間と費用がかかるため、要措置区域ではなく形質変更時要届出区域として適正に管理したい場合は、指定の申請を行う前に都道府県知事などに相談しながら手続きを進めるほうが望ましいです。

②自主的に区域指定の申請を行い、形質変更時要届出区域等に指定されると、指定の状況について公示され、台帳に記載されます。

申請された場所に汚染があるということを地域住民等に公示することにより、不安感を与えることがあります。

また、自然的な原因による基準不適合となった土壌は、ある程度の範囲に広がっていると考えられるため、指定した土地の周辺の土地に対する風評被害が起こる場合があります。

③形質変更時要届出区域等になることでより、汚染されていることが明確になり、土地の売買などの際に費用と時間がかかる可能性が出てきます。

 

1-3-2. 汚染に関する不確定要素を排除する

土地の取引の前に、自主的に区域指定の申請をすることにより、汚染に関する不確定要素を排除することができます。

この自主的な申請により、形質変更時要届出区域等に指定されることで、汚染に関する情報が明確になります。

これらにより、土地の取引の際に、汚染に関する不確定要素を排除することで、円滑な土地取引の助けとなります。

具体的には、土地所有者が自主的な区域指定の申請をしておくことで、将来、開発を行う時などに汚染に関する情報を活用することができます。

汚染に関する情報が台帳に記録または、都道府県知事などにより保管される内容は以下の通りです。

・要措置区域等に指定された年月日
・要措置区域等の所在地
・要措置区域等の概況
・土壌の汚染状態
・調査を行った指定調査機関
・土地の形質の変更の実施状況
・試料採取を行った地点を明示した図面
・周辺の地図
・区域の分類(埋立地管理区域/自然由来特例区域/埋立特例区域の別)等

留意点としては、次の3つになります。

①形質変更時要届出区域として適正に管理しようと土地所有者等が考えていたにもかかわらず、要措置区域に指定された場合、措置を実施しなければならなくなり、時間と費用がかかります。

このため、要措置区域ではなく形質変更時要届出区域として適正に管理したい場合は、指定の申請を行う前に都道府県知事等に相談しながら手続きを進める方が望ましいと考えられます。

②自主的に区域指定の申請を行い、形質変更時要届出区域等に指定されると、指定の状況について公示され、台帳に記載されます。

申請した場所に汚染があるということが地域住民等に公示されると、不安感を与えることがあります。

また、自然的原因による基準不適合土壌は、ある程度の範囲に広がっていると考えられ、指定した土地の周辺の土地に対する風評被害が起こる可能性があります。

③形質変更時要届出区域等になると、汚染されていることが明確となり土地の売買などの際に費用と時間がかかる場合があります。

 

2. 土壌汚染対策法第14条の自主申請ができる人

土壌汚染対策法第14条の自主申請ができるのは、以下の土地を所有する人になります。

①水質汚濁防止法第2条第2項の特定施設に該当しない施設ですが、特定有害物質を取り扱う施設が設置してある土地(3,000㎡未満の土地を含む)を有する人

②引き続き工場や事業場として利用される土地等(当該土地について法第3条第1項の調査義務が免れるものではありません。)[法第3条第1項本文の規定の適用を受けない土地]を有する人

③3,000㎡以上の土地で、当分の間(30日以上)形質の変更を行わない土地、法第4条第2項の調査命令が出る前の土地等[法第4条第2項の規定の適用を受けない土地]を有する人

④土壌汚染があっても、土地の周辺で地下水の引用がない等健康被害のおそれがない土地等[法第5条第1項の規定の適用を受けない土地]を有する人

ただし、汚染の除去等の措置を実施する際に土地を仮置きするスペースなどを確保するための隣接地については、要措置区域等の指定に係る物質についてのみ自主的な申請をすることは可能です。

また、申請を行おうとする土地の所有者等以外の所有者がいる場合には、その全員の合意が必要になります。

※法第4条では、一定規模(3,000㎡)以上の土地の形質の変更を行う場合には、都道府県知事等への届出が必要になります。

都道府県知事等は、土壌汚染のおそれがある場合は、土壌汚染状況調査の命令を土地所有者等に発出することができます。

 

3. 土壌汚染対策法第14条の自主申請に必要な書類

土壌汚染対策法第14条の自主申請に必要な書類は、以下の通りです。

指定の申請書

※詳細は、http://www.env.go.jp/water/dojo/gl_app/tebiki.pdf

『平成23年7月 土地汚染対策法の自主申請活用の手引き:環境省 水・大気環境局 土壌環境課』P22に掲載されています。

申請に係る土地の周辺地図

申請に係る場所(範囲)を明らかにした図面

申請者が申請に係る土地の所有者等であることを証明する書類

申請に係る土地に申請者以外の所有者がいるときは、申請者等全員の当該申請することについての合意を得たことを証明する書面が必要になります。

土地所有者等が、これらの申請書・添付書類を都道府県知事等に提出して申請を行います。

 

4. 土壌汚染対策法第14条の自主申請の流れ

自主調査により土壌の汚染状態が土壌基準に適さないと認められた場合、土地所有者等の判断により、指定の申請書を都道府県等に提出します。

この時、申請する前に事前相談を受け付けている都道府県もあるので、電話で確認するとよりスムーズに手続きを進められます。

申請書を提出後、都道府県知事等の審査があり、申請に係る調査が適正にかつ、法第3条第1項の環境省令で定める方法により行われたものであるかどうかを審査します。

この時に、現場確認を行う場合もあります。

この審査の終了後、結果を土地所有者等宛に指定の申請に係る決定通知書で通知されます。

区域に指定されたことは、広報やホームページに公示されます。

※法第3条第1項では、法第4条調査と同等の地歴調査が必要です。

任意の特定有害物質のみを申請し、地歴調査を行えば「汚染のおそれがある」と認められる他の特定有害物質について申請しないことは認められません。

 

5. 土壌汚染によって要措置区域などに指定された時の制約

形質変更時要届出区域等に指定される場合に、留意しなければならないことが大きく分けて2つあります。それらは、要措置区域に対する制約と形質変更時要届出区域に対する制約です。

これら2つの制約について、詳しく見ていきます。

 

5-1. 要措置区域に指定されることによる制約

①区域内の土地の形質の変更は原則禁止となります。

②都道府県知事などにより指示された措置または、これと同等以上の措置を行う必要があります。

 

5-2. 形質変更時要届出区域に指定されることによる制約

①形質変更時要届出区域で土地の形質の変更を行う場合は、その14日前までに都道府県知事等に届出をする必要があります。

②土地の形質の変更の施工基準のうち、帯水層に基準不適合土壌が接する場合の施工方法に対して制約を受けます。

(自然由来特例区域、埋立地特例区域はこの限りではありません。埋立地管理区域は地下水位の管理または地下水質の監視を行いながら施工すれば基本的には制約を受けません。)

※1~5は、『平成23年7月 土地汚染対策法の自主申請活用の手引き:環境省 水・大気環境局 土壌環境課』を参照

 

6. まとめ

土壌汚染対策法第14条の自主申請を行うことで、3つのメリットがあることが分かります。

そのメリットは、自分でスケジュールを管理ができ、また、法律に基づいて調査を実施した証明を得ることができます。

また、汚染に関する情報を明確化にすることもできます。

しかし、これらの申請手続きや指定後の土地形質の変更手続きのスケジュール等を把握する場合は、事前に都道府県知事等に相談する必要があります。

この自主的な申請ができる人は、所有している土地の詳細の指定もあり、申請書類等も多種に渡り複雑な面もあるので、環境省の手引きにもあるように、都道府県知事等に相談しながら手続きを進めることで、スムーズに申請、手続きを進めていくことができます。

現在、土地を所有管理していて、これからその土地を開発、売買しようとされる方には、この自主申請のメリットを活かしながら申請、手続きを進めるためのこれらの情報が参考になればと思います。