スウェーデン式サウンディング調査の地盤調査報告書の見方

地盤調査を行うと、地盤調査報告書を受け取ることになります。地盤調査報告書は、地盤調査に関する様々な項目が記載された重要な書類ですから、丁寧な確認が必要です。

戸建て住宅の地盤調査では、スウェーデン式サウンディング調査がよく利用されています。今回は、スウェーデン式サウンディング調査の地盤調査報告書の見方を確認していきます。

地盤調査や地盤調査報告書は、仕事として扱っている人でなければ、ほとんど見る機会がありません。専門的な用語も多いですが、ひとつずつ確認していきましょう。

1. スウェーデン式サウンディング調査の概要

現在、日本の戸建て住宅の地盤調査は、ほとんどがスウェーデン式サウンディング調査によって行われています。この調査方法は、名前のとおりスウェーデンで開発されたもので、日本では1976年にJIS規格に制定されて以降利用が広がった調査方法です。

調査では、ロッドと呼ばれる鉄の棒の先端に、スクリューポイントと呼ばれるドリルを取り付けたものを使用します。このロッドに荷重をかけ、一定の深さまで到達するために必要なおもりの重さや、スクリューポイントの回転数などから、地盤の強度を測ります。深さは10メートルまで測定でき、使用する機械によって手動式、半自動式、自動式の3つの方法があります。

特に大きな機械ではないので、狭い場所でも作業ができます。また、戸建て住宅の地盤調査では、基本的に4か所以上の測定が必要とされていますが、一般的な戸建て住宅であれば、1日で調査を終えることが可能です。地盤調査の方法の中では、最も費用が安いと言われており、スペース・時間・コストの3つの面での手軽さが、多くの戸建て住宅の地盤調査に採用されている理由です。

もちろん、デメリットもあります。スウェーデン式サウンディング調査では、地盤の硬さを表すN値が15以上となる硬い地盤の調査はできません。地中に礫やコンクリートの破片など異物が混じっている場合も、正確な調査はできません。深い部分の調査では、機械への摩擦が大きくなるので、その抵抗が結果に影響を与えることもあります。

また、土壌の採取ができないので、正確な地質判定は得られません。一般的にスウェーデン式サウンディング調査では、ロッドの貫入量と回転するときの音や感触をもとに地質を判定します。

そのため、人によって判定に違いが出ることもあり、熟練の人でもあくまで推定の判定しかできません。より正確な判定を求めるのであれば、周辺のボーリング調査の結果などを参考にする必要があります。

2. スウェーデン式サウンディング調査報告書の内容

地盤調査が終わると、地盤調査報告書をもらうことができます。報告書の見方を確認する前に、まずは報告書にはどのような内容が記載されているかを見ていきましょう。

報告書には、調査結果のデータだけではなく、住所や調査実施日など調査の概要のほか、調査の方法や条件なども記載されます。調査をした業者が依頼者に説明しやすいよう、報告書の冒頭で大まかな地盤調査の結果を示し、その結果から地盤改良工事が必要かどうか、おすすめの改良工事プランなどを載せてあるものもあります。

なお、ここでとりあげている内容はあくまで例であり、全ての業者が同じ内容とは限りません。受け取った報告書には記載されていない内容で、確認しておきたいものがあれば、業者に問い合わせてみてください。

2-1. 調査概要

地盤調査についての基本的な情報がまとめられています。具体的には、調査件名や物件の住所、調査が行われた日付、調査を行った業者名や責任者、調査実施日の気象情報、報告書を作成した日付などがあります。

調査実施日の気象情報について、雨天時の調査は可能ではありますが、調査結果に多少の誤差が生じる可能性は否定できません。雨天時の調査の実施基準は業者によっても判断が異なり、一般的には事前に業者から説明があります。雨天時で実施されていたことを、報告書を確認するときに初めて知ることがないよう、前もって確認しておきましょう。

2-2. 載荷装置及び回転装置の種類

調査報告書には、調査に使用した装置の説明も記載されています。同じスウェーデン式サウンディング調査でも、自動式、半自動式、自動式、それぞれ使用する機械によって、荷重のかけ方や回転のさせ方などに多少の違いがあります。どのように調査されたかを細かく確認したい場合は、使用された機械の種類も確認しておかなければなりません。

ウェーデン式サウンディング調査に使われる機械は、スクリューポイント、ロッド、載荷装置、回転装置、引き抜き装置からなります。報告書では、部品や装置の長さ、大きさ、全体の構造などが文字と図でまとめられており、どのように調査をしたのか分かるようになっています。

2-3. 試験状況に関する記録、測定記録、計算表

調査報告書のメインとなる内容が、試験状況に関する記録や測定の記録です。試験状況に関する記録とは、使用した装置の情報に加え、敷地の状況、隣接した土地の状況、周辺の地形、観測点や高低差などを記した試験状況図などがあります。試験の手順や結果の判定の仕方、得られたデータをもとにした各種数値の計算方法なども記載されます。

敷地の状況とは、地形や地表面の状態、元の土地の利用方法、既存の建物や擁壁、地下倉庫や埋蔵物があるかどうかなどです。隣接した土地の状況とは、周辺の土地の利用状況、住宅が多いかどうか、河川や水路の位置、道路の状況などです。試験状況図とは、観測するポイントやその地点の番号、それぞれの地点の地盤高や高低差、水位などを記載した図です。

こういった情報は、正しく調査が行われたかを確認するためのものでもあります。数値など細かい情報が正確か確認をとるのは難しいですが、土地の利用状況や状態、地下の様子などであれば、ある程度、自分たちで確認することができます。調査結果を確認する前に、一度目を通しておきましょう。

2-4. 静的貫入抵抗の深さ分布図

静的貫入抵抗の深さ分布図は、縦軸に深さ、横軸に静的貫入抵抗を示したものです。静的貫入抵抗とは、荷重などをかけて徐々に貫入させていく際に生じる抵抗を指します。打撃などの打ち込みによって貫入させた際に生じる抵抗を動的貫入抵抗と言います。

静的貫入抵抗の深さ分布図では、深さに応じた貫入抵抗の大きさの推移を確認できます。スウェーデン式サウンディング調査では、深くなるにつれ摩擦が生じてしまい、抵抗が大きくなってしまうことがあるので、注意が必要です。基本的に貫入抵抗は大きい方が地盤は固いと判断できます。

3. スウェーデン式サウンディング調査報告書の見方

ここからは、スウェーデン式サウンディング調査報告書の見方を確認していきます。

調査報告書には、調査結果として数値やデータがまとめられた項目があります。専門的な用語や数値が多く、地盤調査を行わなければ知らない言葉も多いので、まずは基本的な用語と数値の意味を確かめていきます。調査報告書の中で最も重要な部分になるので、丁寧に確認していきましょう。

3-1. 荷重 Wsw

荷重(Wsw)とは、ロッドを25cm貫入させるために、どれだけ荷重をかけたかを表しています。重さは5、15、25、50、75、100kgの6段階あり、報告書ではそれぞれ、0.05、0.15、0.25、0.50、0.75、1.00(kN)と国際単位での表記となっています。通常、おもりが重い方が、より硬い地盤であると判断されます。

実際の実験では、おもりを徐々に重くしていき、何kgの時点で沈み込んでいったかを記録していきます。おもりを最大にしても沈み込まなかった場合は、荷重(Wsw)が100kg(1.00kN)と表記されているので、半回転数(Na)の項目も同時に確認する必要があります。一般的に硬い地盤と言われるためには、少なくとも100kg(1.00kN)の荷重に耐える必要があります。

3-2. 半回転数 Na

100kg(1.00kN)のおもりでもロッドが貫入しない場合には、25cm貫入するまでロッドを回転させます。このときにどれだけ半回転したかを表す単位が、半回転数(Na)です。半回転数(Na)が多い方が、硬い地盤であることを意味しています。

3-3. 1m当たりの半回転数 Nsw

半回転数(Na)を4倍にして、1m当たりに換算した値が、1m当たりの半回転数(Nsw)です。報告書では、数値とともに棒グラフでも表示されていています。

基本的に、1m当たりの半回転数(Nsw)のグラフは、荷重(Wsw)のグラフの右側に並べて表示されています。荷重(Wsw)のグラフのゼロの値から始まり、1m当たりの半回転数(Nsw)のグラフの範囲まで棒が伸びていていれば、100kg(1.00kN)の重さに耐えたことを表しています。さらに、棒が長ければ長いほど、硬い地盤であるということも分かります。

3-4. 貫入深さ D

貫入深さ(D)は、地表面からどれだけ深くまで貫入したかを表しています。スウェーデン式サウンディング調査では、ロッドが25cm貫入するのに必要なおもりの重さや回転数を計測します。そのため貫入深さ(D)は、通常0.25、0.50、0.75、1.00(m)と25cmきざみになっています。

調査報告書の表では、地表面に近いところから順に結果がまとめられているので、下にいくほど深い部分の結果を見ることができます。基本的に10mまで調査はできますが、異物や非常に硬い地盤にぶつかった場合は調査ができないこともあります。

貫入深さ(D)が25cmきざみではない数値となっている場合は、それ以深は貫入できなかったということになります。

3-5. 貫入量 L

貫入量(L)は、1つ前にデータをとった深さからどれだけ貫入したかを表した値です。スウェーデン式サウンディング調査では、基本的に貫入量(L)は25(cm)となります。

異物や硬い地盤にぶつかり、それ以深に貫入できなかった場合には、そこまでの値が記載されます。貫入量(L)を全て足した値と、最終的な貫入深さ(D)をcm単位になおした値は一致します。

3-6. 換算N値 Nc

N値とは、地盤の硬さを表す値です。ボーリング調査によって得られる値で、N値の値が大きいほど、硬くしまった地盤であることが分かります。

スウェーデン式サウンディング調査では、荷重(Wsw)と1m当り半回転数(Nsw)をもとに、ボーリング調査のN値に相当する換算N値(Nc)を割り出します。換算N値(Nc)を計算する式には、砂質土用と粘性土用があります。

砂質土の場合:N=2Wsw+0.067Nsw
粘性土の場合:N=3Wsw+0.050Nsw

一般的には、木造住宅を建てるのであれば概算N値は3.0以上が必要だと言われています。しかし、地盤全体の状態や基礎の構造、住宅の大きさなどによっても状況は異なるので、概算N値(Nc)が3.0以上だからと安心という訳ではありません。概算N値(Nc)だけで地盤の強さを判断するのは難しいこともあるので、業者とも相談しながら、幅広いデータを参考に、慎重に検討していかなければなりません。

3-7. 支持力 qa

支持力(qa)は、換算N値(Nc)と同様に地盤の硬さや耐久度を表す値です。許容支持力や、許容地耐力とも呼ばれています。支持力(qa)の計算方法は複数あり、かなり複雑な計算式を要するものもあります。日本建築学会の推奨式では以下のようになっています。

支持力(qa)=30Wsw+0.64Nsw (ただしNswが150を超える場合は150)

支持力(qa)の値は、住宅の基礎構造にも影響を与えます。国土交通省によると、支持力(qa)が20(kN/m)より大きい場合にはべた基礎、30(kN/m)より大きい場合には布基礎と定められています。調査報告書には、この計算方法も記載してあるので、どの計算式で計算されたのか気になる場合は確認してみましょう。

3-8. 貫入状況

貫入状況とは、ロッドが貫入するときの様子を表しています。ロッドの回転時の音や、沈み込みのスピードなどが記載されています。全ての層の貫入状況を記録している調査報告書もありますが、特徴があった層だけを記録しているものもあります。

スウェーデン式サウンディング調査では、貫入時の音や感触で土質の推定が行われるので、その際の記録として用いられます。

3-9. 土質の推定

貫入状況でも記載したとおり、スウェーデン式サウンディング調査では、貫入時の音や感触から土質を推定します。基本的に土質は、粘性土、砂質土、礫質土の3つに分類されます。音の表現の仕方や、その音をもとに判断される土質については、調査員の感覚や技術も影響してくるので、疑問があれば調査員に直接確認すると良いでしょう。

4. まとめ

地盤調査を行う機会や、地盤調査報告書を確認する機会は何度もある訳ではありません。慣れないため難しく、分からないという人も多いですが、ひとつずつ丁寧に確認していきましょう。

地盤はひとつとして同じものがないので、他の地盤で問題なかったからと安心したり、業者の説明を鵜呑みにしたりするのは危険です。調査報告書を含めた幅広い情報を参考にしながら、地盤の強さ、地盤改良工事の必要性を検討していきましょう。

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