土地活用が難しい市街化調整区域を有効活用する7つの方法

市街化調整区域の土地活用は、大幅に制限されてしまいます。なぜなら、市街化調整区域では原則として建物を建てることができないため、マンションやアパート、倉庫などを経営する土地活用ができないからです

しかし、だからと言って市街化調整区域で土地活用ができないわけではありません。建物を建設しなかったり、一部例外として認められている建物を建設したりすれば、市街化調整区域の土地を有効に活用することができます。

こちらでは、市街化調整区域で可能な7つの土地活用について詳しく説明致します。市街化調整区域の土地だからと言って諦めず、有効な土地活用を行うためにご覧いただけたら幸いです。

1. 土地活用が難しい市街化調整区域とは?

始めに、市街化調整区域とは具体的にどういうものなのかを説明します。

市街化調整区域とは、市街化を抑制している区域のことです。都市計画法では、都市計画区域を計画的に市街化するための市街化区域と市街化調整区域の2つにわけています。市街化区域は積極的に市街化を図る区域のことで、市街化調整区域は市街化区域とは逆に、市街化を抑制している地域のことです。
そのため、市街化調整区域には次の2つの特徴があります。

・原則として建物が建てられない
・ただし、許可を受けた特定の建物なら建てられる

以下で、市街化調整区域のこれら2つの特徴について詳しく説明します。

1-1. 原則として建物が建てられない

市街化調整区域の1つ目の特徴は、原則として建物が建てられないことです。

先ほど説明したとおり、市街化調整区域は市街化を抑制する地域です。そのため、マンション、アパート、店舗などを建てることはできません。

ですから、市街化調整区域での土地活用では、マンションやアパート、戸建住宅、貸店舗、貸倉庫などを建設して賃貸経営を行うことができません。市街化調整区域でのこのような制限が、土地活用の幅を大きく狭めています。

1-2. 市街化調整区域に建てられる建物

市街化調整区域の2つ目の特徴は、許可を受けることにより例外的に建設できる建物があることです。市街化調整区域であっても、居住・生活している方がいます。そのような方の生活や地域の産業で必要な建物は、事前協議と届け出であったり許可をうけたりすることで建設することができます。

具体的には、市街化調整区域で建てることができる建物は、都市計画法で以下のように定められています。

事前協議と届け出により建設できる建物(都市計画法第29条第1項を要約)

・公益上必要な建物
・農業や林業、漁業に必要な建物
・業や林業、漁業に従事している方が居住するための住宅

以上のとおり、公益上であったり、農業や林業、漁業など地域産業に必要な建物であれば、事前協議と届け出で建設して土地活用ができる可能性があります。

以上のとおり、市街化調整区域し市街化を抑制するため、基本的には建物が建設できない地域のことです。しかし、公益上や地域産業に必要な建物などは、事前協議を行うことにより建設できる可能性があります。

2. 土地活用が難しい市街化調整区域を有効活用する7つの方法

ここまで、市街化調整区域の特徴について説明しました。上記の内容を踏まえると、市街化調整区域での土地活用は建物を必要としないか、住民の方にとって公益上必要な建物を建設するか、大きく分けて2つの考え方があります。

建物が不要な土地活用には、駐車場やレンタル倉庫、太陽光発電、資材置き場、墓地の5つがあります。そして住民の方にとって公益上必要な建物による土地活用には、医療施設や老人ホームの2つが考えられます。

以下でこれら7つの市街化調整区域での土地活用について、詳しく説明します。

土地活用①市街化調整区域での「駐車場経営」

市街化調整区域での土地活用の1つ目は、駐車場経営です。駐車場は建物を建てる必要がないため、市街化調整区域でも問題なく経営を行うことができます。

また、駐車場経営は建物だけでなく必要な設備そのものが少ないため、少ない初期費用で手軽に始められるというメリットがあります。

一方で、市街化調整区域では駐車場の需要が低いことが多いのが欠点です。そのため、地域でほかにも駐車場経営を行っている土地があるかどうかなど、駐車場の需要を十分確かめるようにしましょう。

このように、市街化調整区域での土地活用として、駐車場経営があります。

土地活用②市街化調整区域での「レンタル倉庫経営」

市街化調整区域での土地活用の2つ目は、レンタル倉庫経営です。レンタル倉庫とは、空き地にコンテナを設置して、倉庫として貸し出すことにより使用料を得る土地活用のことです。コンテナは建物ではないので、市街化調整区域でもレンタル倉庫経営で収入を得ることができます。

レンタル倉庫のメリットは、活用したい土地から離れた地域でも需要があることです。レンタル倉庫は、普段は使用しないものの数か月~数年に1度は使用するものを保管するために利用されます。そのため、利用者としては倉庫が自宅や会社から多少離れていたとしても大きな問題はありません。

また、倉庫に品物を保管したり取り出したりするには、多くの場合自動車で行きます。そのため、交通の便が悪い土地でも問題なく土地活用ができます。

一方で、レンタル倉庫の貸し出し先によっては近隣住民から苦情を受ける恐れがあるというデメリットがあります。借り手が深夜や早朝の搬出入が多いと、騒音となるからです。ですから、倉庫を貸し出すときは、どのような目的で使用するのかを把握する必要があります。

なお、建物を建設してのレンタル倉庫経営は、市街化調整区域ではできないことに注意しましょう。

このように、市街化調整区域では、コンテナを設置してレンタル倉庫経営で収入を得るという土地活用も可能です。

土地活用③市街化調整区域での「太陽光発電」

市街化調整区域での土地活用の3つ目は、太陽光発電です。太陽光発電とは、土地に太陽光発電パネルを設置して発電を行い、発生した電気を電力会社に売却することによって収益を得る土地活用のことです。なお、電力会社に電気を売却することを、売電といいます。

太陽光発電のメリットは、利用者の需要などにまったく関係なく収益が得られることです。上記で説明した駐車場やレンタル倉庫の場合、借り手がいなければ収入を得ることはできません。しかし、太陽光発電は日当たりさえよければ収入を得ることができます。

一方で、得られる収入は気候に左右されるという欠点があります。雨や曇りだと、太陽光発電ができずに売電できないからです。また、太陽光発電を行うためのパネル購入や設置など、初期費用がやや大きいため、10年~20年などの長期間土地活用を続けないと黒字になりません。

ですから、太陽光発電は駐車場やレンタル倉庫以上に、長期的に取り組む計画を立てるようにしましょう。

土地活用④市街化調整区域での「資材置き場」

市街化調整区域での土地活用の4つ目は、資材置き場です。具体的には、建設業者などに土地を資材置き場として貸し出すことにより使用料を得ます。

資材置き場のメリットは、土地を貸し出すだけなので初期費用がほとんど発生しないことです。また、決まった金額の使用料が必ず得られるのも魅力です。駐車場やレンタル倉庫だと契約台数や件数によって、また太陽光発電も発電量によって収入が増減することを考えると、非常に安定していると言えます。

一方で、駐車場やレンタル倉庫、太陽光発電とくらべると収益性が低いのが欠点です。資材置き場では赤字になることはほぼありませんが、得られる使用料も駐車場やレンタル倉庫、太陽光発電とくらべると少額です。

ですから、資材置き場は初期費用をかけずに、少額でも安定した収入を得たい方にお勧めできる土地活用です。

土地活用⑤市街化調整区域での「墓地」

市街化調整区域での土地活用の5つ目は、墓地です。具体的には、霊園業者に墓地・霊園として土地を貸し出すことにより使用料を得ます。

墓地のメリットは、上記で説明した資材置き場と同様に初期費用が発生しないことです。墓地・霊園としての整備は、霊園業者が行います。また、業者に貸し出しているため、長期的に安定した使用料が得られます。さらには、墓地という特性上、資材置き場などよりも高額な使用料が得られる可能性が十分にあるのも魅力です。

その反面、その土地の所有権は事実上なくなるのがデメリットです。土地を墓地として貸し出すと、半永久的に使用され続けることは間違いありません。また、将来その土地が霊園業者から返還されたとしても、ほかの用途で土地活用するのはとても難しくなります。

そのため、市街化調整区域の土地で交通の便や日当たりなどの条件がとても悪く、有効な土地活用が見つからないなら、墓地として貸し出すのも1つの選択肢です。

土地活用⑥市街化調整区域での「医療施設」

市街化調整区域での土地活用の6つ目は、医療施設です。上記で、市街化調整区域では原則として建物は建てられないものの、公益上必要な建物は事前協議と届け出により建てることができる可能性が高いと説明しました。

医療施設は地域住民の方にとって公益上必要な建物です。そのため、開業したい医師や医療法人、自治体に医療施設用地として貸し出すことが現実的に可能です。

医療施設のメリットは、開業したい医師や医療法人は営利目的であるため、ある程度高い収益性が期待できることです。また、土地を更地として貸し出し、借り手の医師や医療法人が医療施設を建設する方法を採れば、まったくリスクのない土地活用が可能です。

一方で、万が一医療施設が経営不振で事業撤退した場合、当初は土地を更地にして返還される予定だったとしても、医療施設が建ったまま返還される恐れがあります。このような場合、ほかの土地活用が難しくなります。ほかの土地活用をしたいとき、土地所有者の負担で医療施設を取り壊さなければならないからです。

とは言え、市街化調整区域では、医療施設用地として貸し出しを行う土地活用もあります。

土地活用⑦市街化調整区域での「老人ホーム」

市街化調整区域での土地活用の7つ目は、老人ホームです。上記で説明した医療施設と同様に、老人ホームも公益上必要な建物として、建設が認められます。そのため、老人ホームを開業したい個人や社会福祉法人などに土地を貸し出し、使用料を得ることができます。

一般的に老人ホームと呼ばれる高齢者施設には、さまざまな種類があります。その中でも介護付きの老人ホームは運営するために自治体の許可が必要となりますが、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)や住宅型有料老人ホームであれば、市街化調整区域での建設の事前協議と届け出だけで始めることができます。

老人ホームのメリットも、医療施設同様にある程度高額な使用料収入が期待できることと、借り手が建物を建設すれば、土地所有者としてはリスクがない土地活用ができることです。

一方のデメリットも、医療施設同様に老人ホームの建物を残したまま返還される恐れがあることです。このような場合、その施設を使った老人ホーム運営を希望する個人や法人に物件を貸すしか土地活用ができません。

このように、市街化調整区域では老人ホームとして貸し出す土地活用も可能です。

以上のとおり、意外化調整区域では、駐車場やレンタル倉庫経営、太陽光発電をはじめ、資材置き場や墓地、医療施設、老人ホームとして土地を貸し出すといった土地活用が考えられます。

3. 土地活用が難しい市街化調整区域を有効活用する7つの方法まとめ

こちらでは、市街化調整区域で可能な7つの土地活用について詳しく説明致しました。

市街化調整区域とは、都市計画区域の中でも市街化が抑制された区域を指します。そのため、基本的には建物を建てることはできません。ですから、市街化調整区域の土地活用では、建物を建てないか、例外的に建設が認められている医療施設や老人ホームとして活用するなどの制限を受けます。

これらを踏まえた現実的な土地活用として、駐車場やレンタル倉庫を経営したり、太陽光発電を行ったりして収益を上げる方法をはじめ、資材置き場や墓地、医療施設、老人ホームとして利用するために土地を貸し出す方法が考えられます。

市街化調整区域であっても出来る限り高い収益性を求めたいなら、駐車場やレンタル倉庫、太陽光発電のような事業の中から、土地に適したものを選ぶことをお勧めします。

一方、出来る限りリスクを低くしたいのであれば、土地をまるごと貸し出して使用料を得る方法をお勧めします。