自己資金ゼロで始める土地活用の5つの方法

遺産や相続などで土地を所有しているため、マンションを建てたり駐車場を経営したりして土地活用を始めたいが、資金がないという人も多いのではないでしょうか。土地活用には様々な種類があり、自己資金がなくても始めることができるものもあります。

土地を一定期間貸し出して長期的に安定した収入を得る定期借地権方式や、土地をいったん譲渡してから建物と土地を区分してもらう等価交換方式、事業パートナーと契約をして任せる事業受託方式、信託銀行に委託する土地信託などが有名です。

どの方式の土地活用が自分の望む活用方法か、それぞれの方式の概要とメリット、注意すべきデメリットなどを以下で解説していきます。

 

1. 自己資金ゼロの定期借地権方式

定期借地権方式とは、土地の所有者が自分で土地活用として事業を起こし収入を得るのではなく、土地を探している事業者に期限を決めて土地を貸し出し、地代収入を得るという方式です。低価格な住宅供給をはかるため、国の方策としても推進されている方法の一つです。

今までの借地法と借家法に代わる借地借家法が平成4年に施工され、借地借家法では、契約期間を設けることを義務付けて、契約期間が終了した後は土地を所有者に返却することとなっています。この法律により、土地の所有者が土地を貸し出す際のリスクが減り、定期借地権を利用した土地活用ビジネスが活発に行われるようになりました。

 

1-1.定期借地権の種類

定期借地権には以下の3種類があります。どの種類であっても、借主は土地の所有者にお金を支払うことで、契約期間はその土地を利用することができます。それぞれの種類の特徴と契約満了後にその土地で使用していた建物の扱いはどうなるのかを見ていきましょう。

 

1-1-1. 一般定期借地権

借地権の存続期間を50年以上に設定しています。長期的にその土地を使用する予定がない人に向いています。広い土地を貸し出し、その土地に分譲マンションを建築するというケースでは一般的にこの借地権が使用されます。

 

・存続期間…50年以上  ・契約更新…なし
・建物の使用用途…限定なし
・契約満了後の建物の扱い…借主は土地を更地にして返還する

 

一般定期借地権のメリットは、契約期間が50年以上なため長期にわたって土地を貸すことができ、安定した収入が得られる点や、契約期間終了後には、土地が更地になって返還される点が挙げられます。また、相続税の節税効果もあり、借主が住居用の建物を建築した場合には固定資産税が軽減されます。

デメリットとしては、50年以上の長期間の契約になるため、中短期間での土地活用を考えている人には期間が長すぎる点です。

 

1-1-2. 建物譲渡特約付借地権

借地権の存続期間を30年に設定しています。期間終了後は、土地の所有者が借主から建物を買取ります。土地の借主がアパートやマンション、店舗などを建てて経営を行い、契約満了後は地主がその建物を買い取って経営を引き継いでいくというケースが多いです。

 

・存続期間…30年以上  ・契約更新…なし
・建物の使用用途…限定なし
・契約満了後の建物の扱い…借主は建物付きで土地を返還する

 

建物譲渡特約付借地権のメリットは、一般定期借地権に比べて短期間で借地契約を終えることができる点、契約終了後に建物を買取りそのまま経営に使用することができる点などがあげられます。

デメリットとしては、借地権を消滅させるためには30年後にその建物を買い取る必要がある点です。

 

1-1-3. 事業用定期借地権

借地権の存続期間が10年から50年未満で設定できます。短期間での土地活用を考えている人向けです。居住用の土地活用が難しい場合などに、コンビニや工場などの事業を主とした土地活用を行うケースで利用されます。

 

・存続期間…10年以上50年未満  ・契約更新…なし
・建物の使用用途…住宅以外の事業用物件
・契約満了後の建物の扱い…借主から地主への建物買取り請求はできない

 

事業用定期借地権のメリットは、他の2つに比べて契約期間を10年に設定できる点です。短期間での土地活用ができるため、例えばその後に土地を譲りたいという場合にも対応できます。また、利用する内容によっては住宅として活用するよりも地代を高く設定できる場合もあります。

デメリットとしては、建物の用途が事業用物件に限られるため契約者が見つかり辛い可能性がある点です。

 

1-2. 定期借地権方式のメリット

定期借地権方式は一般的にリスクが少ないことが最大のメリットです。一度に多額の収入を得ることはできないローリターンですが、その分リスクが少ないため安定志向の人に向いています。契約期間を50年で設定する一般定期借地権を利用した場合は、長期間にわたって安定した収入を得ることができます。

定期借地では、土地を貸すというだけで収益が発生します。経営のノウハウを持ち合わせていない場合も、土地を貸し出すだけで毎月決まった地代収入を得ることができます。自身で経営を行うわけではないため、稼働率や空室率などを懸念したり土地の管理を行ったりする必要がなくなります。

また、前払い金や保証金などで契約時にまとまった金額を得ることができます。目安としては地価の約20%~25%を受け取ることができるため、仮に3000万円の土地であれば、600万円~750万円の保証金をうけとることができます。

 

1-3. 定期借地権方式のデメリット

メリットの多い定期借地権方式ですが、デメリットもあります。定期借地権方式は土地を貸し出す期間が長いです。事業用定期借地権を使用したとしても最低でも10年間の契約になります。資金がたまったので別の土地活用方法に切り替えたいと思ったとしても、契約期間中は転用することができません。

また、長期にわたって安定した収入を得ることができるメリットがありますが、得られる収入が少ないという点もデメリットとして挙げられます。定期借地権方式は土地活用を行う上でのリスクやリターンを貸主と借主で分け合っている仕組みになります。そのため、貸主は毎月きまった額の地代を受け取ることができますが、自分自身で土地活用を行うケースと比べると収入は少なくなります。

 

2. 自己資金ゼロの等価交換方式

等価交換方式とは、土地の所有者がその土地を建設会社などの開発事業者へ一旦譲渡し、その上に開発業者が建物を建てて、それぞれの出資割合によって分割取得するという方法です。土地の一部を提供する代わりに、完成した建物の一部を提供してもらうという交換のシステムです。

自分で建物を建設するとなると多額の費用が必要になりますが、等価交換方式で開発業者に依頼した場合、業者が建設を行ってくれるため、持ち出し費用がほとんど発生しません。土地が空き地でなくすでに建物が建っている状態であっても、建て替えすることもできます。

売却を行う場合は、その土地を完全に手放すことになります。しかし、等価交換方式であれば、一時的に土地を手放すことにはなりますが、共用の持ち分として一部は自分のものとして残ります。

 

2-1. 等価交換の考え方

等価交換方式では、最終的に自分の持ち分となる土地と建物の所有権は、出資金額に応じて決まります。仮に、評価額が8億円の土地に2億円でマンションを建設した場合について以下で見ていきましょう。

8億円の土地に2億円のマンションを建設した場合、その土地と建物の総額は10億円になります。この場合、土地所有者と開発業者の負担割合は8:2になります。マンション完成後、以下のように、土地所有者は8割の所有権、開発業者は2割の所有権を持つことになります。

 

土地所有者 土地の8割…6億4000万円  建物の8割…1億6000万円
開発業者 土地の2割…1億6000万円  建物の2割…4000万円

 

2-2. 等価交換方式のメリット

等価交換方式ではマンション建設や建て替えの際の費用が発生しないことが大きなメリットであると言えます。通常であれば融資を受けなければ建設は難しいですが、等価交換の場合は土地を提供することで開発業者が建設費用を負担してくれます。また、開発業者の情報やノウハウを知ることもできます。

その他にも、以下のようなメリットがあります。

 

2-2-1. 土地譲渡所得税が繰り延べられる

等価交換は、土地譲渡を行って成立する仕組みのため、取得した収益には所得税が発生します。しかし、立体建て替えの特例の要件を満たしている場合は、土地譲渡益に対する所得税を100%繰り延べることができます。立体建て替えの特例は、3階以上の耐火または準耐火構造で半分以上が住宅であることや、譲渡した土地と同一敷地内であることなどの要件があります。

また、立体建て替えの特例はあくまで課税の繰り延べであって免除ではないため、将来的に建物を売却する際などには、繰り延べた税金を支払わなくてはならない可能性もあります。

 

2-2-2. 相続税評価額が軽減される

建設する建物が賃貸物件である場合は、土地や所有権を得る物件にかかる相続税が軽減されます。マンションを貸すことにより、借主に所有権の一部を貸しているというイメージです。借主の権利は土地の場合は借地権割合、住宅の場合は借家権割合といい、貸主はこの割合分の相続税が軽減されます。

借地権割合は、住宅地では60%、商業地では80%で設定されていることが多いです。借家権割合は、土地によって異なりますがほとんどが30%で設定されています。

 

2-2-3. 新築マンションに住む事ができる

提供した土地に新築のマンションを建設した場合には、そのマンションの部屋も等価交換で所有権を得ることができます。したがって、建設費用や分譲マンションの購入費用を負担せずに、部屋のひとつを自宅として住むことができます。

開発業者によっては、建設の段階で土地所有者の意見を取り入れ、間取りや設備、仕様などの希望を反映できる業者もあります。自分の住む部屋だけ希望通りにカスタムすることもできます。

 

2-2-4. 遺産分割をしやすくなる

遺産を分割する際に土地しか財産がない場合、その分割の仕方でトラブルが起こる可能性があります。等価交換の場合は、土地と建物(数戸)というかたちに区分されるため、複数人で遺産を分割しやすくなります。

 

2-3. 等価交換方式のデメリット

メリットの多い等価交換方式ですが、次のようなデメリットもあります。まず、等価交換方式では、減価償却費が小さくなります。これは、等価交換の場合建物が圧縮記帳されるためです。不動産所得が大きくなるため、長い目で見ると所得税負担が増える可能性があります。

また、開発業者のスタイルに合わせた建設(分譲マンションや商業ビル、ワンルームマンションなど)になるので、業者の選択次第では、自分のイメージとは異なる不動産を取得することになります。

設計や施工、土地の評価額などについても開発業者に主導権を握られてしまいがちなため、自分自身がどのような物件を望んでいるかを伝える必要があります。1社だけで決めてしまうのではなく、複数の業者に相談をして自分に一番あった業者に依頼するようにしましょう。

 

 

3. 自己資金ゼロの事業受託方式

事業受託方式とは、土地所有者の依頼を受けた会社が事業をすべて行う方式です。土地の診断やどのような建物を建てるかのプランニング、事業の収支計画、施工もすべて任せることができます。それだけでなく、完成した建物の入居者募集や管理運営も行ってくれます。

賃貸経営を行いたいが知識がない場合などは、事業受託方式が最も安心で始めやすいです。

 

3-1. 事業受託方式のメリット

事業受託方式の場合、土地を手放す必要がありません。また、経営や管理、物件の運営などは任せた事業パートナーが総括して行ってくれるため、知識がなくても土地活用を行うことができます。土地活用を自身で行う場合は、準備段階であっても煩雑な手続きが多いため、その部分も任せることができるのは安心です。

事業を行う期間に法的な制約はありませんが、一般的に事業受託方式は10年以上になることが多いです。中長期的に見て安定した収入が得られることも大きなメリットです。

 

3-2. 事業受託方式のデメリット

自分自身で土地活用を行う場合と違って、事業受託方式では間に事業パートナーが入ります。その分、安心して土地活用を任せることができるのですが、間に業者が入るので収入は落ちます。一般的には市場賃料の7割~8割になると言われています。

また、築年数が経過した場合にはメンテナンス費用が発生することがあります。当初に予定していた計画どおりにはいかず、市況の変化によって賃料の設定や値下げなどで事業パートナーともめるといったケースもあります。

長期にわたる土地活用の途中で計画の見直しを行ったり、しっかりと状況を伝えてくれる信頼できる事業パートナーを選ぶことが大切です。経営を安定させて長期的に収入を得るため、良い事業パートナーを見つけられるよう慎重に複数社の意見を聞いて判断するようにしましょう。

 

4. 自己資金ゼロの土地信託方式

土地信託方式とは、土地の所有者が信託会社や信託銀行などに形式的に土地を預け、信託会社が受託者となり事業を行う方式です。受託者は、資金の調達や土地の開発、建物の建設を行い、完成した建物を管理経営します。経営によってでた利益から手数料や信託報酬を差し引いた金額を受け取ることができます。

 

4-1. 土地信託の種類

土地信託には、賃貸型の土地信託と処分型の土地信託の2種類があります。一般的に土地信託というと賃貸型の土地信託であることが多いです。

賃貸型の土地信託は、土地を信託会社に信託してその土地にあった活用をしてもらい、利益を得る方法です。契約期間が終了すると、その土地と建物は自分の手元に戻ってくるので、土地を手放す必要がありません。

処分型の土地信託は、その土地を最終的に手放す形式の信託方法です。受託者は、その土地を利用してマンションを建設したり造成を行ったりして土地に開発利益を乗せていきます。土地開発が行われて付加価値がついているため、そのままの状態で売却するよりも高く売却することができるため、最終的に土地の売却を考えている人が利用することが多いです。

 

4-2. 土地信託方式のメリット

土地信託のメリットは、土地活用を自分で行う必要がなく、初期費用も必要がないため、土地所有者の負担が少ない点が大きなメリットとして挙げられます。そのほかにも、以下のようなメリットがあります。

 

4-2-1. 土地が建物つきで返還される

信託会社と契約を結ぶと一時的にその土地の所有権が信託会社に移ります。しかし、契約が満期になると所有権は自分の元に戻ってきます。その際に、土地活用に使用した建物も土地と一緒に戻ってきます。契約終了後はその建物を賃貸物件として貸し出すなどして、自分自身で活用を行うこともできます。

 

4-2-2. すべての業務を任せることができる

信託会社はいわば土地活用の専門家です。信託された土地にはどのような活用方法があるのか、どの程度の利回りで赤字経営にならないかなど、プランニングや経営のシミュレーションまで全て信託会社に任せることができます。建物の建築も、建設費用や建設会社の決定、手続き、入居者やテナントの募集なども信託会社が請け負ってくれます。

全て自分で行いたい人には土地信託は向いていませんが、自分自身で行うことにこだわりがない人であれば、土地信託はその道のプロに任せることができるため安心です。

 

4-2-3. 信託受益権を売買することができる

土地を信託すると所有権は信託会社に移行しますが、それと引き換えに信託受益権を取得することができます。信託受益権とは、その土地から出た利益を受け取ることができる権利です。信託受益権は財産であるとみなされます。

信託契約の途中解除はできませんが、まとまった資金が必要になった場合などは、この信託受益権を譲渡したり、借入の担保に使用することで資金化させることが可能です。

 

4-3. 土地信託方式のデメリット

土地信託の一番のメリットはすべてを信託会社に任せてしまえる点ですが、その点がデメリットになることもあります。土地活用が成功するか失敗するかはすべて信託会社次第になり、失敗した場合には追加の投資が必要になる可能性もあります。

また、土地を持っていれば必ず土地信託ができるわけではなく、その土地に利用価値がなければ信託会社が受託してくれない場合もあります。土地の状態や立地環境が悪い場合は契約を断られる可能性もあります。

収益性についても、自身で土地活用を行った場合と比べると悪くなります。配当金として手元に入る金額は、土地運用によって出た利益から諸経費や借入金、信託会社への信託報酬などを差し引いた金額になります。信託会社によって信託報酬の額は異なりますが、一般的には賃料収入の約1割が妥当と言われています。契約を行う際には、信託報酬がいくらに設定されているかを確認しておくことが大切です。

 

5. 土地の売却

土地活用には上記のような方法がありますが、土地の状態によっては借り手が見つからなかったり、事業パートナーや信託会社との契約が結べない場合があります。その場合は土地を売却してしまうことも一つの手段です。

不動産・有価証券・金融資産の3つをバランスよくすることが健全な資産形成をする上では重要であると言われています。この3つのうちの土地の占める割合が多い場合は、資産バランスを整えるために土地を売却するという方法も有効です。

土地を売却した場合、固定資産税を払わなくて済みますし、まとまった現金を手に入れることができます。また、土地活用を行っても万が一のリスクが不安である場合も、土地を売却してしまえば土地活用を無理に行う必要がなくなるので安心です。

土地活用はいわば投資になるので、自分が土地活用をしたいと思わない、リスクが少しでも考えられることは避けたいという人は、売却を検討してみるのもいいでしょう。

 

6. まとめ

土地は、所有しているだけでは固定資産税を払い続けなければいけないだけで、活用しなければ利益が得られません。土地活用には様々な種類があり、自己資金を用意しなくても活用する方法があります。土地を遊ばせているだけではもったいないため、積極的に土地活用を行うことをお勧めします。

どの方法にも、メリットとデメリットがあるため、メリットだけを見て決めてしまうのではなく、実際に活用を行った際にどのようなデメリットがあるかもしっかりと理解した上で決定することが大切です。特に、事業受託方式や土地信託の場合は、契約する会社の手腕によって大きく収入が左右されます。自分の土地の性質や立地環境を理解し、安定して収益を上げてくれる会社を見極めることが非常に重要です。