家の売却はストーリーという裏技で楽になる

私は普段、裏技という言葉は使いません。“裏技”という言葉自体がそんなに好きではないということもありますが、不動産業界に対してマイナスのイメージを持っている方が多いのが大きな理由です。

裏技という言葉から連想するものは、ちょっとズルい方法だったりしませんか?少なくとも、正攻法のガチガチのイメージはないですよね。ちょっとズルい方法、プラス、いかがわしい不動産業界となれば、どんどんマイナス方向に行ってしまいそうで怖いです。

ですが、敢えて今回は裏技をお話したいと思っています。この方法を使うと家を売りたい人だけでなく、家を買う人にとってもプラスの要素があるからです。

売主さんも買主さんもハッピーになれるなら、使わない手はないですよね。その方法が今回のお題にあるストーリーを使う方法です。

実際にどんな効果があるのか、どんな風に使うと良いのか、一緒に見ていきましょう。

1. ストーリーを使う効果

ストーリーというのは物語です。物語を読んだり聞いたりして、感動して涙を流したり、腹を立てた経験は何度もおありになると思います。これは、物語の登場人物(動物の場合もありますが)に対して共感をしているからです。

人は知らない人から物を買うのに抵抗を感じます。抵抗というよりも、不安と言った方が適切かもしれません。同じジュースを買うにしても、ちゃんとしたお店で買うのと、路上で見ず知らずの人から買うのでは安心感がまるで違います。

高いものであればあるほど、安心して買いたいと思うはずです。家の場合は、年収の何倍もするような大きな買い物をして、数十年のローンを組むわけですから、不安にならないはずはありません。きっとあなたが、今、売ろうとしている家を購入された時も同じ気持ちだったと思います。

その不安を軽減させる方法があなたを知ってもらうことです。知ってもらうといっても、単に自己紹介をすれば良いということではありません。実際に売主のことを知れば知るほど、安心感が高まるのですが、あなたがどんな人間かを伝えるのは難しいです。

○○会社で○○という仕事をしていて、年収は○○○万円で、家族構成は…、はっきり言って興味を持たないと思います。別に買主にとって必要な情報ではないからです。しかし、あなたのことを知ってもらわないと安心してもらうことができません。

できれば、単に知るというレベルではなく、もっと上の共感するレベルにまでなると、もっと安心してもらうことができます。安心度が高くなるほど、下世話な言い方ですが、家を売りやすくなります。

ストーリーを使うことでこの信頼関係を短時間で作ることができます。何しろ、売主と買主が顔を合わせるのは内覧の時くらいです。内覧しているわずか10分か長くても30分くらいの間であなたを知ってもらわなければなりません。

そんなことできそうもないと思われますか?でも、大丈夫です。私がその方法をお伝えします。でも、その前に買主からみたメリットについても考えてみましょう。

家を売りやすいというのは、売主側から見たメリットですが、買主側から見たらどう映るのでしょうか。調子良く騙されているように感じるのでしょうか。そんなことはありません。まったく逆です。

実はストーリーを聞いて購入すると買主の満足度も大きくなるのです。安心して購入するということは、それだけ商品(この場合は家)に満足しているということになります。

満足して買うということは、家に対する愛着が増えるわけですから、購入後に家を大切にしてくれる可能性が高くなります。あなたが大事にしてきた家ですから、できれば、大切にしてくれる人に買って欲しいですよね。そんな願いもストーリーが叶えてくれるかもしれません。

では、どんな風にストーリーを作っていくのか、注意点とその考えられる結果を含めて説明をしていきます。

 

2. ストーリーの作り方

あなたのストーリーを語ってくださいと言われても困りますよね。何から話して良いかもわからないと思いますし、何よりも相手が興味を持たなければ、単に変な人となってしまいます。

変人が住んでいた家なんて住みたくないと考えるのが普通です。つまりかえって売りにくくなってしまいます。そんなことになっては本末転倒です。そんなことにならないように、具体的な例を交えて説明していきます。

 

2-1. 嘘は絶対にダメ。真実のみを語る

ストーリーを語る際に絶対に気を付けていただきたいことがあります。それは話を作らないということです。

事実は小説より奇なりということわざがありますが、作られたものは真実味が少なく感動しないものです。一歩間違えると嘘つきと思われて一切の信用が無くなってしまうかもしれません。

そこまでひどくなくても、調子のいい人と思われて信頼がなくなってしまう恐れがあります。そんなことにならないためには、真実のみを話すことが重要です。

 

2-2. ストーリーを作るには

ストーリーを作ろうとする際に多くの人が悩んでしまうのが、他人に語るようなことがないということです。これは、「スゴイことでないと話しちゃいけない」という思い込みがあるからだと思います。

ここでのストーリーを語る目的は、あなたが立派な人だと知ってもらうことではありません。立派な人であっても問題ありませんが、多くの人から尊敬されるような立派な人である必要はありません。

むしろ気さくな人である方が好感を持ってもらえる可能性が高いかもしれません。あなたの人となりがわかるようなエピソードを用意してください。ちょっとした失敗談でも良いですし、ご家族のことやペットのことでも良いと思います。

独りよがりのストーリーになってしまうと失敗する可能性がありますので、ストーリーを考えたら何人かの人に聞いてもらって、あなたの良さが伝わるかどうか確認するようにしてください。

でも、そんなことくらいで買いたくなるのかな?という疑問もあるかと思いますので、更に上をいく買いたくなるストーリーを作る方法についてお話しします。

 

2-3. ストーリーを強化して買いたくさせる

ここからは本当のキモになる部分になりますので、これまで以上に注意して読み進めてください。

ここでご自身のことを考えて頂きたいのですが、これまで何かを欲しいと思った時はどんな時だったでしょうか。テレビでコマーシャルを見た時、他人から奨められた時、素敵な品物と思った時、など様々なシチュエーションがあると思います。

その中でも良い評判を聞いた時やそれを使って良いことがあったとか良くなったと聞いた時は特に欲しいと思ったのではないでしょうか。

例えば、肌がきれいになってハリがでた。とか、抜け毛が減って産毛が生えてきた。というようなコマーシャルを見た時です。

これらの問題に悩んでいたとしたら、思わず興味を惹かれてしまうと思います。ここにヒントがあります。これから家を買おうという方が求めるものを考えれば良いのです。

購入希望者の年代にもよりますが、30代の人であれば、子供の教育とか出世に興味がある人が多いでしょう。お金が増えることなら世代に関係なく普遍的に興味がある事柄です。これらに関することであなたが体験したことを語れば良いのです。

ただ、何度も繰り返しになりますが、嘘と過度な誇張は絶対にしてはいけません。嘘をつかなくても興味を惹くストーリーは作れますので安心してください。

 

3. ストーリーの実例

ここからいくつかストーリーの例をお話していきます。同じような出来事を体験されている方はそのままお使い頂いても構いせんし、そうでない場合は似たような事例がないか考えてみてください。

ちょっと良い出来事があればそれを元にストーリーを作る方法をお伝えします。

 

3-1. 子供がいる場合

年齢にもよりますが、子供のことで心配となるのはやはり成績だと思います。良い学校から良い会社へと夢を持つ親は多いですし、学歴にこだわらない人であっても子供の成績が良くて嫌な人はいないと思います。

そんな人に訴えるには、やはり、「この家に越してきて子供の成績が上がった。」でしょう。これが言えれば良いのですが、成績が変わらなかった場合やそもそもこの家で生まれた場合もあるでしょう。そんな時は表彰されたり、優秀な成績を取ったことがないか考えてみてください。

例えば、読書感想文のコンクールで賞をとったとか、何かのテーマで学校の代表に選ばれたなど、少しでもアピールできるものがあればそれを使うと良いでしょう。それもないという場合は、学校のテストでも良いと思います。

別に満点をとったという話をする必要はないので、「この部屋で勉強すると集中できるみたいで、この間もテストで良い点を取ったんですよ。」と言えば良いでしょう。

集中できるというのも、良い点数というのも主観的なものですので、例えとった点数が平均点以下であったとしても、あなたが良い点数と思ったのならそれは嘘ではないです。それで買主が気分良くその家に住めるのなら、まったく問題ないと思います。

少し年齢が上のお子さんをお持ちなら、受験の話題は外せないでしょう。この場合も、学校名を言う必要はありません。希望の学校に入ったというだけで十分です。

第一志望の学校でないとしても、受験をした以上、希望した学校であることは間違いありませんよね。すべて買主が気持ち良く住むためにすることですので、臆せずに堂々と語ってください。

ただし、いきなり「子供の成績が…」、などと語り出すのは不自然です。営業の人と事前に打ち合わせをしておいて、「そういえば、こちらのお子さんは…」というような感じで、自然に話題を振ってもらうようにすると良いでしょう。

 

3-2. 子供がいない場合

子供がいなくても問題ありません。方法はたくさんあります。長く住んでいたなら、その間に昇進、昇格、昇給のいずれかはあったと思います。それらを上手く使ってストーリーを考えてください。

「この家に住むようになって何だか仕事が上手く行くようになって昇進した。それでもっと大きな家に引っ越すことになった。」というようなストーリーが語れると良いと思います。

それ以外にも、対人関係が良くなって上司との関係が良くなったとか、夫婦仲が良くなったなど、周りの人が聞いて良いなと思うようなことがあれば、どんどん取り入れましょう。

もうひとつオススメしたいストーリーがあります。それは、あなたがなぜこの家を買おうと思ったかを話すことです。家という大きな買い物をするのには大きな覚悟が必要だったと思います。

その時にあなたが感じていたこと、なぜ他の家でなくその家だったのかは、きっと買主の参考になると思います。このような話をすると、「大した理由はないけど、安かったから。」とか「買える物件がこれしかなかった。」とおっしゃる方がおられます。

しかし、本当にそれだけでしょうか。逆に言うと、他には買える物件はひとつも無かったのでしょうか。きっとそんなことはないと思います。予算内であったことが大きな理由だったとしても、それ以外にも理由があったと思います。

その時に感じていたことを思い出して語ると良いと思います。あなたの家を購入対象とするということは、買主様はあなたと似た存在の可能性が高いです。仕事の関係でその路線が良いと思っていただけだとしても、その駅を選んだのは何か理由があるはずです。

もしかすると、すごい共通点が見つかって意気投合するかもしれません。そうなったら、あなたも安心して大切な我が家を渡せるのではないかと思います。

 

4. まとめ

ここまでの話を聞いて、裏技というよりも正攻法のマーケティングなのでは?と感じてくださった方がおられましたら嬉しいです。

実を言うとマーケティングなどと言うとそれだけで読んでくださる方が減ってしまう気がして裏技という言葉を使いました。

少しでもマーケティングについて学んだことがある方なら、正当なマーケティングの手法だと理解していただけると思います。決してズルい方法などではありません。あなたも買主の方も互いに気持ちの良い売買ができる方法です。

何度も繰り返しになりますが、無理に演出をする必要はありません。もし、あなたに難しければ、配偶者の方に対応してもらっても良いですし、場合によっては担当の営業を使う方法もあります。

そして、きっかけは営業の方に作ってもらうようにしてください。掛け合い漫才のように楽しんでやっていただくと良いと思います。あなたが楽しめば買主の方も楽しんでくださると思います。