離婚で家を売却する際に買主に売る理由を伝えなければならないか

離婚で家を売らなければならなくなった時に、買主に離婚が原因で家を売ることになったとは伝えたくない方が多いと思います。何となく気恥ずかしい気もしますし、何よりも縁起が悪いと敬遠されてしまって売れないのでは?という心配をされる方もおられるようです。

不動産会社の立場から申しますと、離婚が理由で家を売ることになっても、それを気にされるお客様は少ないように思います。もちろん、これから新しい生活を始めようとする新婚の方の中には縁起が悪いと考える方もおられます。

ただ、ほとんどの買主の方は、家を売る理由を知りたがります。そこで、家を売る理由をどのように伝えると良いかについてお話しします。

1. 買主が家を売る理由を知りたいわけ

買主の方が家を売る理由を知りたい理由は、次のようなものが多いです。

・家に雨漏り、上の階の足音が響くなどの構造的な問題がある
・間取りが使いにくい
・自殺や殺人事件があった
・幽霊がでる
・近隣に騒音を出したり、臭いを出すような問題となる施設がある
・隣近所に問題がある人が住んでいる
・犯罪が多い、治安が悪い
・地域の学校の評判が悪い

これらの項目について特に説明は要らないと思います。これらの理由から、安心して住める場所を探していることがわかります。家を買うということは、一生の内に何度もあることではありませんので、失敗をしたくないと考えるのは当たり前だと思います。

問題に気が付かないで、うっかり購入してしまうと、住みたくないのに、売りたくても売ることができず、悩みと負債を抱えることになってしまいます。家は高額なだけに失敗した時のダメージはとても大きいものとなります。

気が付かれたと思いますが、上記の中には離婚はありません。実際に購入希望者にとって、元の持ち主が離婚したかどうかはどうでも良いことなのです。確かに縁起が悪いと思っても、それは家を決める(決めない)大きな要因にはならないということです。

ですので、離婚が理由かどうかは、伝えても伝えなくてもどちらでも良いと私は思います。ただ、売却するには内覧をしなければなりませんが、住んでいる状態で内覧を行うと多くの方が離婚に気が付かれるようです。

ただそれが原因で値引き交渉になったことは私の経験の中にはありません。もちろん、購入をやめた理由の中には入っている可能性はありますが、買わない理由はひとつではないので、何とも言えません。

ただ、離婚が理由だと隠したいと思っても否応なしにわかってしまう場合もあります。どんな場合にわかってしまうのか、次の章でお話しします。

 

2. 家の売却理由が離婚だとわかってしまう場合

先ほどお伝えしたように離婚が原因で売ることになったと伝えても問題はありません。

しかし、離婚が原因で売ると伝えなければならない理由はありません。でも、離婚するんだとわかってしまう場合があります。

それは夫婦の共有財産になっている場合です。この場合は、決済の時などに両者が立ち会うのが原則なので、互いの距離感からわかってしまうことが多いです。この時に気まずい思いをするのが嫌ならば、先に伝えておいた方が良いかもしれません。

ただ、買うかどうかも分からない人に伝える必要はないので、買うとなった時に話せば良いと思います。そこで、難色を示す人は少ないと思いますが、それでその人が買うのをやめたとしたら、次の買い手を探せば良いだけです。

一度は買いたいという人が現れた物件ですので、きっと、次の買い手が現れると思いますので、そんなに心配しなくても大丈夫でしょう。もちろん、状況に依る部分が大きいので、担当の営業と良く話し合って決める必要がありますが、難色を示されたからといって安易に値引きをする必要はないと考えます。

買主の方の問題よりも、元のパートナーの方が問題となるケースの方が圧倒的に多いです。一番多いのは、売却に対して協力をしてくれないケースです。興味がないとか、関心がないというケースもありますが、一番やっかいなのが復讐として協力しないケースです。

大きく関係がこじれてしまっているケースでは、たとえ自分が損をしても、相手に嫌がらせができるのであれば、損をするくらい気にしないというケースがあります。感情的になってしまって冷静な判断が出来なくなっているので、他人の言葉に耳を貸しません。

実際に、売却すればローンを返済した上に数百万円が手元に残るようなケースがあったのですが、元奥さんが嫌がらせをして売ることができず、ローンの支払いが滞ったため、家が競売にかけられて売値が下がってしまったケースがあります。この時は、結局、双方がそれぞれに百万円ちょっとの負債を抱えることになってしまいました。

傍からみるとばかげているように思いますが、当人は頭に血が上って冷静な判断ができないため、このような馬鹿なマネをしてしまうのだと思います。

 

3. 告知義務について

離婚については話す必要がないとお伝えしましたが、伝えなければならないこともあります。一戸建て、マンションに関わらず家を売る場合には、色々な決まりがありますが、そのひとつに告知義務というのがあります。

告知義務を簡単に言うと、「その情報を知っていたら買わなかった」という情報については予め知らせておかないといけないというものです。良くあるものが例にも挙げた、自殺とか殺人事件があったというものです。

これらは、不動産業界では事故物件と呼ばれています。事故物件については、売却でも賃貸でも、次の買主の方に必ず伝えなければならないのですが、ちょっとグレーな部分も存在しています。

例えば、マンションの場合にその部屋で事件があったのでなく、別の部屋で事件があった場合です。また、部屋ではなく、共有部分で事件があったケースもあります。エントランスで刺されたとか、屋上からの飛び降り自殺などです。

これらのケースのうち、共用部分での事件については、告知義務があるとされています。同じ棟の別の部屋で事件があった場合については、意見がわかれており、実際に裁判になったケースでも、損害賠償請求が認められたケースとそうではないケースがあります。

後々の問題の種を無くしておくには、正直に伝える方が良いと思います。気にする気にしないは、人それぞれですので、運が良ければ気にしない人に巡り合うかもしれません。

もし、損害賠償請求の裁判をおこされでもしたら、少しくらい高く売れたとしても、その金額を上回る費用が出ていく可能性が高いです。

また、こんなケースもありました。

あるアパートで凄惨な殺人事件があったのですが、その部屋に限らずどの部屋も借り手が中々付かなくなってしまったため、取壊して一戸建ての住宅を複数建てて売出したのです。しかし、事件のあった場所に相当する位置に建てた家だけが中々売れず、価格をかなり下げて処分したと聞きました。

建物を建て替えた場合は、告知義務はないと考えて大丈夫だと思いますが、近隣の噂話は止めようがないので、残念ですが受け入れるしかないと思います。他人に言われると嫌な気持ちがするものですが、東京や名古屋など空襲にあった都市では、どこで誰が焼け死んでいるかなんてわかりません。それこそ、ちゃんとした供養がされていないケースも多いと思います。

それでも、多くの人が気にしないで住んでいるのですから、気にしない方を探す方が健全だと思います。

 

4. まとめ

離婚が原因で家やマンションを売る場合の告知についてお話ししました。法的に告知義務はありませんが、そもそも離婚を気にする方が少ないので、話したところで、マイナス面は少ないと思います。

しかし、共有財産になっている場合など、相手に知られてしまうこともありますので、後で知られてバツの悪い思いをするくらいなら先に伝えておいても良いかもしれません。そんなことはまったく気にならないという方は、伝える必要はないと思います。

ただ、これから結婚するので新居を探しているという方に対しては、伝えた方が親切だとは思います。ちなみに、新婚の方が離婚した人が持っていた家を、そうとは知らされないで購入してしまったといって裁判を起こした例は聞いたことがありません。

参考にしていただけますと幸いです。