アパートやマンションの建築する際に必要となる費用

相続などで土地を受け継いだ場合、その土地をどのように活用するかで悩んでいる方も多いと思います。空き地のままで放置していたとしても、土地を所有しているだけで固定資産税は毎年発生するため、土地は活用した方が効果的です。

土地活用の一つとして、マンションやアパートを建設して経営するという方法があります。マンションやアパートを建てるにも、大きさや階数には上限があるためそれを知る必要があります。

また、実際にマンションを建築する際に必要な費用はどのように考えると良いのか、構造によって異なる坪単価の目安はどのくらいなのかなどについて説明していきます。

 

1. 建物本体工事費

マンションやアパートを建築したいと考えたとき、どの程度の建築費用が必要になるのかが気になるところです。実際の建築費用の目安が分からないことには、運用を行う際の利回りなどの予測も立てづらくなってしまいます。

その土地での建築費用を調べてもなかなか相場の情報は掲載されていません。これは、建設費用は建設会社や建物の形状などによって異なるため金額を表示することが難しいためです。

しかし、建築費用のおおまかな目安であれば自分で計算することができます。正確な金額は契約を結ぶ業者やプランによって変わってきますが、目安を知っておくことは見積もりを見比べる際にも見当をつけやすくなります。

 

1-1. 建設費用の計算方法

その土地に建物を建てた場合の建築費用の目安は、坪単価を使用した以下の計算式にて求めることができます。

 

坪単価×延床面積=建設費用

 

延床面積とは、建物全体の床面積のことです。床面積の総和で計算するため、マンションやアパートなどで複数の階がある場合は、それぞれの階の床面積を合計したものとなります。例えば、5階建てのマンションでひとつの階の面積が50坪であった場合の延床面積は、50坪×5階で250坪となります。

 

1-2. 建ぺい率について

建物の延床面積は建物の全体の床面積のことですが、一方で建坪というものがあります。これは真上から建物を見た時に土地の上に影になる部分のことです。ベランダやバルコニーは延べ床面積には含まないことが多いのですが、建坪の際はこれらの面積も含んで考えます。

建ぺい率とは、その土地に対して建物が占めることができる割合のことで、土地ごとに上限が設定されています。一般的に、都心の駅付近の土地であれば建ぺい率の上限は80%、それ以外の土地では60%が上限とされていることが多いです。

仮に100坪の土地を所有しているとして、その土地の建ぺい率の上限が80%であったとすると、建物を建てられる面積は最大で80坪になります。

 

1-3. 容積率について

建ぺい率は土地に対して建物が占める割合のことですが、建ぺい率を守っていればどのようなマンションでも建てられるのかというとそうではありません。土地によっては、3階までしか建てられなかったり、4階までしか建てられなかったりすることもあります。

その土地に建てられるマンションの延べ床面積は容積率で上限が決められています。容積率も建ぺい率と同様に土地ごとに上限が決まっています。容積率が400%であれば、土地の面積の4倍の広さの建物まで建てることができます。容積率が200%であれば、土地の面積の2倍が上限となります。

例えば、所有している土地が100坪で、容積率が400%の地域であれば、延べ床面積が400坪の建物を建てることができます。仮に建坪が80坪の建物であれば、400坪÷80坪で5階建ての建物が可能ということになります。

実際にはバルコニーなど延べ床面積には含まれない面積もありますので、単純に建坪で割って計算するものではありませんが、何階建てになりそうかの目安として考える際には役に立ちます。

このように、建ぺい率と容積率によって建設できるマンションの大きさと階数が決まってきます。それぞれの土地によって数値が違うため、マンション建設の前には各自治体の都市計画課などで調べておきましょう。

 

1-4. 付帯工事費用について

坪単価で計算する場合には、その金額が建物のみなのか付帯工事まで含んだものなのかを確認しておく必要があります。付帯工事とは、電気、ガス、水道などの給排水工事やエアコンなどの設備工事などのことを言います。

一般的に屋内の設備については坪単価に含まれることが多いですが、屋外の工事については含まれないことが多いです。例えば、建物内の給排水の設備工事は含まれていても、道路から建物までの工事については含まれていないことが多いです。

その他にも、エアコンやウォシュレットなども含まれていないことが多いです。これらの工事費用は、数百万円~数千万円となるケースもありますので、概算で考える際でも、どこまで含まれた金額なのかを確認するようにしておく必要があります。

 

1-5. 別途工事費用について

本体の建設費用や付帯工事費以外にも、別途工事費と呼ばれるものがあります。付帯工事費用と別途工事費用は明確な定義分けがあるわけではないので、各建設メーカーや施工業者によって分類が異なる場合があります。本体工事費用以外にかかる費用が付帯工事費用と別途工事費用であると考えるとよいでしょう。

ここでの別途工事費用は、建物の建設以外にかかる費用として紹介します。建物の建設以外にかかる費用としては、エントランスや植栽などの外構工事があります。その他にも、建設予定の土地改良工事や解体工事などにかかる費用も別途工事費用となります。

特に土地改良工事や解体費用は高額になる可能性が高いので、必要の有無を早い段階で確認しておくと良いでしょう。

 

 

2. 坪単価とは

建築費用の目安を知るには、その建物の坪単価で、ある程度把握することができます。坪単価とは、一坪あたりの建設費用のことです。例えば、坪単価が70万円で400坪のマンションであれば、2億8千万円が建物の概算金額となります。

建築コストは、木造よりは鉄骨造の方が坪単価が高く、鉄骨よりは鉄筋コンクリートの方が坪単価が高いといったように、建築に使用する材料によって単価が変わってきます。

建築を依頼する業者によって坪単価に違いはありますが、構造ごとの一般的な目安を以下で見ていきましょう。

 

2-1. 木造の坪単価

木造建築は、他の構造に比べると坪単価自体は安く、約40万円~60万円程度です。建築する際の費用が比較的安く、解体費用も安いというメリットがあります。反面、高い建物ができないことや耐用年数が短いというデメリットがあります。

他の構造と比べて強度が劣るため、マンション建築ではなく2~3階建てのアパートなどに主に用いられます。また、防火地域に設定されている地区内で木造建築を行う場合は、国土交通省の認定を受けた耐火建築物でなければいけません。

敷地面積ごとの目安の建設費用は以下の通りです。

 

50坪  2階建て:2400万円~3600万円  3階建て:3600万円~5400万円

60坪  2階建て:2880万円~4320万円  3階建て:4320万円~6480万円

80坪  2階建て:3840万円~5760万円  3階建て:5760万円~8640万円

100坪 2階建て:4800万円~3600万円  3階建て:3600万円~5400万円

 

軽量鉄骨造りのプレハブ建築も木造建築と同じような価格帯の建物となります。建てられる建物の大きさも同じようなものですので、こちらの価格を参考にしていただければと思います。

 

 

2-2. 鉄骨造の坪単価

鉄骨造は、木造よりも坪単価が高く鉄筋コンクリート造よりも安い中間の構造です。坪単価は約50万円~80万円程度です。軽量鉄骨造と重量鉄骨造の2種類がありますが、先ほどお伝えしたように軽量鉄骨造は木造とほぼ同じとなります。

アパートよりはマンションの場合に重量鉄骨造が使用されることが多く、低層から中層の建物の建築に利用されています。

敷地面積ごとの目安の建設費用は以下の通りです。

 

50坪

2階建て:3000万円~4800万円  3階建て:4500万円~7200万円

4階建て:6000万円~9600万円  5階建て:9000万円~1億5000万円

60坪

2階建て:3600万円~5760万円  3階建て:5400万円~8640万円

4階建て:7200万円~1億1520万円  5階建て:1億800万円~1億8000万円

80坪

2階建て:4800万円~7680万円  3階建て:7200万円~1億1520万円

4階建て:9600万円~1億5360万円  5階建て:1億4400万円~2億4000万円

100坪

2階建て:6000万円~9600万円  3階建て:9000万円~1億4400万円

4階建て:1億2000万円~1億9200万円  5階建て:1億8000万円~3億

 

2-3. 鉄筋コンクリートの坪単価

鉄筋コンクリート造は木造や鉄骨造と比べて一番坪単価が高く、約70万円~100万円程度です。鉄筋コンクリート造は耐久性が高く丈夫なため、基本的には中層から高層のマンションで使用されることが多いです。

 

50坪

2階建て:4200万円~6000万円  3階建て:6300万円~9000万円

4階建て:8400万円~1億2000万円  5階建て:1億500万円~1億5000万円

10階建て:2億1000万円~3億円

 

60坪

2階建て:5040万円~7200万円  3階建て:7560万円~1億800万円

4階建て:1億80万円~1億4400万円  5階建て:1億2600万円~1億8000万円

10階建て:2億5200万円~3億6000万円

 

80坪

2階建て:6720万円~9600万円  3階建て:1億80万円~1億4400万円

4階建て:1億3400万円~1億9200万円  5階建て:1億6800万円~2億4000万円

10階建て:3億6000万円~4億8000万円

 

100坪

2階建て:8400万円~1億2000万円  3階建て:1億2600万円~1億8000万円

4階建て:1億6800万円~2億4000万円  5階建て:2億1000万円~3億円

10階建て:4億2000万円~6億万円

 

2-4. 建築費用を抑えるには

建物の建築費用を抑えるためには、建物の形状をなるべくシンプルにすることが大切です。表面積が広く、凸凹のある複雑な形状の建物と、シンプルな立方体の箱型の建物では、後者の方が建築費用が安くなります。

また使用する設備のグレードによっても坪単価が変動します。コンロや食器洗浄乾燥機などの備え付け設備のグレードをあげることにより坪単価が高くなります。グレードアップが必要なものとそうでない箇所の振り分けをしっかりと考えて計画することが大切です。

建築の際には、複数の会社に相談しそれぞれに見積もり費用を出してもらいましょう。一社だけで決めてしまうのではなく、それぞれのハウスメーカーや施工業者ごとに提案も異なってくるので、予算なども含めて一番自分の希望に沿った会社を選ぶようにしましょう。

 

3. マンションを建てる際の費用

マンション建設にかかる大まかな費用については上記にて述べた通りですが、その多額の費用をどのように準備するかが問題になってきます。建築するマンションの内容によっては1億円を超過するケースも多くあり、その費用を自己資金だけでまかなうのはとても困難です。

銀行などの金融機関では、不動産投資ローンと呼ばれるローンを受け付けていることが多く、このローンは不動産投資だけでなくマンションの建築費用でも利用することができます。金融機関によって異なってきますが、金利は一般的に1%~5%で設定されていることが多く、住宅ローンと比べると割高になっています。

金利に幅があるのは、各金融機関によって異なるからですが、金利の低い金融機関は審査が厳しく、金利の高い金融機関は審査が緩いことが多いです。大手のメガバンクであれば金利は低くなりますが、審査が厳しくローンが組めないこともあります。その逆で、地方銀行であったりベンチャー系の銀行であれば金利は高くなりますが審査に通りやすいためローンが組みやすい傾向があります。

 

3-1. ローン審査のポイント

不動産投資ローンを組むには、ローンの審査に通る必要があります。ローン審査でどのような部分を主にチェックされているのかを以下で見ていきましょう。

 

3-1-1. 申込者本人

まずローン審査で大切になってくるのは契約者自身です。現在の仕事内容や家族構成、保有している資産などを確認されます。自動車のローンや住宅ローンなど、組もうとしているもの以外のローンがあるかどうかも確認対象になります。

 

3-1-2. マンションの収益性

建設するマンションにどの程度の収益性があるのかも重要になってきます。基本的にローンの返済はマンションの家賃収入などの収益から支払われることになりますので、そのマンションが毎月安定して収益をだすことができるのかは金融機関にとっては非常に重要な項目となります。

マンションの収益性は利回りなどから予測評価されます。それ以外にも設定されている家賃が妥当かどうか、マンションの需要はどの程度あるのかを金融機関が独自に調査を行い総合的に判断されることが多いです。

 

3-1-3. マンションの価値

金融機関がローンを貸し出す場合、そのマンションに対して抵当権を設けます。ローン返済ができない場合や滞ってしまった場合などに、貸したお金を回収する必要があるためです。融資したお金が回収できない場合には、土地と建物を競売にかけて売却金額を優先的に入手します。

売却金額がローンの残額よりも多い場合には、残った金額が渡されますが、残額に満たない場合は金融機関のマイナスとなります。このため、金融機関は担保としての物件の価値にも注目して融資金額を考えます。

 

3-2. 自己資金の考え方

建設費用における自己資金の目安は、建設費用の5%~10%前後が妥当であると言われています。仮に自己資金で全額が用意できたとしても、手元に残して融資で賄う方が良い場合もあります。

資金計画については、相続税や所得税などの税金対策を考慮して、総合的に考えて判断するようにしてください。一般的には、自己資金部分については、10年程度で回収できるようにするのが良いと言われています。

 

4. まとめ

マンションやアパートの建設には多額の費用がかかるため、事前にしっかりと計画を立てておくことが大切です。ローンを組むとしてもマンションにどれだけの価値があり、毎月の収入はどの程度見込めるのかなどの利回りについてもしっかりと把握しておく必要があります。

マンションを建てても経営が破たんしてしまうことがないよう、シミュレーションを重ねたり専門家に相談するのもいいでしょう。当初に計画していた値を下回ったとしても利益がでるようなプランを練っておくと安心です。