ずさんな事業計画書で行う土地活用の危険性

何の活用もしていない空き地を持っている方は、色々な不動産会社から土地活用の話を持ち掛けられることが多いと思います。中には空き地ではなく、アパートやマンションなどの賃貸住宅経営を行っているにもかかわらず、電話が掛かってくることもあります。

何の活用もしていない空き地を持っている方は、色々な不動産会社から土地活用の話を持ち掛けられることが多いと思います。中には空き地ではなく、アパートやマンションなどの賃貸住宅経営を行っているにもかかわらず、電話が掛かってくることもあります。使っていない土地を有効活用したり、今よりももっと収益が出るような活用方法があるなら、話を聞いてみたいという方もおられると思います。

しかし、一方で、何だか怪しいと一言も話をしないまま門前払いでお断りという方もおられます。話を聞かないなら、固定資産税分の出費が続くことになりますが、地主さんがそれで良いなら問題はありません。こんなことを言うと非難されるかもしれませんが、何もしない方が良かったという例はそこらじゅうに転がっています。

問題となるのは、不動産業者の話を聞いてみようと考える方です。なぜなら、不動産関係の業者には自社の利益しか考えていない会社があるからです。土地活用について、少しでも調べたり勉強したことがあるなら、悪徳不動産会社が存在することはご存知だと思います。

しかし、見た目だけでは悪徳不動産会社かどうかはわからないことが多いです。一見、悪役商会の方のように見える人が、スゴイ知識を持っていることも少なくありません。個人のセンスの問題だと思うのですが、優秀な人はたくさん稼いでいることが多いので、(不動産会社はコミッション制ですので、売り上げが多いほど収入が増えます)、センスが悪いと成金にしか見えなくて悪者のように見えてしまうという残念なことがおきます。

逆に誠実そうな詐欺師の話も良くあります。私自身は誠実そうな詐欺師に会ったことはたぶんないと思いますが、(騙されているのに気が付いていないだけの可能性はあります。)誠実な外見の知識のない人ならたくさんお会いしてきました。

一番厄介なのは知識のない方かもしれません。騙す意図がないので、簡単に言うことを信じてしまいそうですが、知識のない中で作られた案が良いものであることは考えにくいです。不動産会社に勤めているというだけの知識ない方にお世話になるくらいなら、自分で考えた方がマシかもしれません。このように不動産会社の提案だから、プロが作った最高のものと言い切れません。

そこで、今回は事業計画書を確認する際の注意点についてお話をしたいと思います。

 

1. 事業計画書に潜む危険

事業計画書とは、建築会社や不動産会社が事業計画をまとめたものです。これを見れば、建築に掛かる費用、維持管理費、借入れ額や総支払い額、収入などをすべて把握することができます。

しかし、担当者によっては具体的な内容を説明しようとせず、「当社に任せて頂ければ安心です。」とか「一番収益が上がるのは当社の提案です。」というような信頼感ゼロの話し方をしてくることがあります。

普通に考えたら、そんな相手に任せたりしないと思うのですが、実際にそれで契約してしまう方が少なくありません。どうせ聞いても分からないという思いから、プロの奨めることだから大丈夫だろうと考えてしまうようです。このような自分で考えることを放棄するような態度は非常に大きな問題です。

例え自分が説明を聞いてもわからないとしても、すべて細かく説明をしてもらうべきです。実際に説明を求めるときちんとした内容を話せない営業も少なくありません。本当に信頼できるプロかどうか見極める手段にもなりますので、時間をかけて説明してもらいましょう。

 

2. 事業計画書の建築コストが安い

建築費が安ければ利回りは良くなります。しかし、建築費が安いということは、それだけ設備が劣っている可能性があります。賃貸住宅に住む人は、多くの場合、どのメーカーの設備でもあまり気にすることはありません。その点が分譲マンションとは大きく異なります。

例えば、エレベーターが日立でも三菱でも東芝でもその他のメーカーでも、まず気にすることはまずありません。同様にキッチンがINAXでもTOTOでもその他どこのメーカーでもあまり関係がありません。キッチンやお風呂に関して言えば、メーカーよりもサイズの方が気になるところでしょう。

ですので、それぞれの建築会社が一番安く手に入るメーカーの物を使うようにするのが一番良い計画となります。少し話がそれますが、そのような観点から建築費のコストダウンをする方法として、コンストラクション・マネジメントという方法が注目をされています。コンストラクション・マネジメントについては、別のページでお話をしますので、ここではこれ以上説明はしませんが、憶えておかれると良いと思います。

事業計画書に話を戻します。建築費を下げるためにメーカーにこだわる必要がないことをお伝えしましたが、設備の機能についてはこの限りではありません。わかりやすいところで言うと、お風呂の追い焚き機能やウォシュレットなどです。単身者用のワンルームマンションなどでは、お風呂の追い炊き機能は不要かもしれませんが、家族向けのマンションではあるととても喜ばれる設備のひとつです。

追い炊き機能があるからといって、その分家賃を高く設定できるかどうかはわかりませんが、あれば他のアパートやマンションなどと比べた際の優先順位は上がると予想されます。空室率を減らすことが安定した経営につながりますので、設備の内容にはこだわりたいところです。

しかし、最初の事業計画書の際はこのような設備は省いておいて、投資利回りを高く見せておいて契約し、後から上記のような設備を入れた方が入居者を集めやすいですよと勧めてくることがあります。このような時は改めて利回りの計算書は出さない業者が多いので、実際の利回りが見えなくなってしまいます。

利回りはとても重要なポイントなので、建築費や諸費用などコストが変わった時には、必ず最新のものを確認するようにしましょう。中には契約を取るために、わざとこのようにして利回りを良く見せたりするような業者もいたりしますので注意が必要です。

建築費が他社と比べてあまりにも安い場合には、設備のグレードを確認するようにしてください。最初は安くても、こっちの仕様にした方が入居者の募集が楽になりますよと勧められた結果、結果的にその会社の提案が、一番高いものになったということも耳にします。

設備の比較までするのは大変だと思いますので、簡単に比較ができるように設備のグレードがわかるように簡単な比較表を作ると良いでしょう。自分で作るのは大変なので、ウォシュレット付きとか追い炊き機能ありなど比較したい項目を作って、業者に渡して記入してもらえば簡単に作ることができます。

3. 金利の見通しが甘い

金融機関から融資を受けた際の利息については、固定の金利で払う方法と変動制の金利で払う方法のふたつがあります。金融機関や借入れの金額、期間によって違いはありますが、変動金利に対して固定金利の方がだいだい1~3%くらい高くなっています。

また、35年などの長期の融資の場合は、固定金利が使えない場合もあります。金利については社会情勢に変化するものですので、先々の金利を予測するのは非常に困難です。というよりも、ほぼ無理と考えた方が良いでしょう。

参考として金利が1%違うとどのくらい支払い額が変わるのかお知らせしますと、5,000万円を35年間、3%の金利で元利均等返済にて借りた場合、総返済額は、約8,082万円となります。つまり、3,082万円の利息が付いたということです。同じ5,000万円を35年の元利均等払いで4%の金利で借りた場合の総返済額は、約9,299万円と1,200万円以上も多くなります。

わずか1%の違いでこの金額です。金利の変動のことを考慮しておかないと空室が増えた時に支払いができなくなる可能性が考えられます。一般的に景気が良くなれば金利があがります。

しかし、それにつられて家賃が増えるという可能性は非常に低いです。金利の上昇はリスクしかないと憶えておきましょう。

4. 収支計画書が甘い

先ほど金利のお話をしましたが、賃貸住宅経営での大きな支出は金融機関への返済金額です。しかし、支出はそれだけではありません。土地や建物の固定資産税や場所によっては都市計画税が毎年かかります。

その他にも建物の維持管理費や修繕費が必要となります。これらの費用がまったく計上されていないことがあります。建物は定期的にメインテナンスをしないと急速に傷みが進みます。およそ10年で外壁の塗り直しを行い、15年~20年で屋根の塗り直しが必要と言われています。

足場を組んでの作業となるため、そんなに大きな建物ではなくても、それなりの費用は覚悟しておかなければなりません。仮に10年後に外壁の塗り直しをするのに300万円かかるのであれば、その費用を毎年積み立てておく必要がありますので、その分の利益を少なく見積もっておく必要があります。

定期的なメインテナンスが必要なのは外壁だけではありません。キッチンや洗面、お風呂や給湯器などもメインテナンスが必要です。その他、エレベーターや外構の植樹なども手入れが必要です。

また、支出だけでなく収入の方も甘い見通しで計画されている場合があります。例えば、近隣の賃貸住宅に比べて高い家賃設定になっている上に、その家賃のままで35年間の収入が計算されていたり、空室率が極端に低く見積もられていることがあります。

このような実際にありえないような収入の計画では、経営が上手くいく可能性はとても低いと言わざるを得ません。

 

5.  ずさんな事業計画書の危険性まとめ

このようなずさんな計画書を持ってくる不動産会社には怒りを感じます。特に自分達だけ儲けようとわざと騙すような事業計画書を出してくるような業者は、はやく淘汰されて欲しいと思います。

中には良くわかっていない人が担当者となり、悪意はないものの穴だらけの事業計画書を出してくる業者もあります。もちろん、騙す意思がなかったとしても、赤字の補填をしてくれるわけではないので、困った状況になるのはオーナーさんだけです。

いい加減な事業計画書かどうかは、内容を良く確認するようにさえすれば判断をすることができます。確かに事業計画書の内容をすべて理解をするのは難しい面もありますが、各業者の内容をきちんと比較するだけでも問題の発見につながる可能性が高いです。

事業計画書には、確認の期限があるわけではないので、じっくりと時間をかけて確認をするようにしてください。