個人投資家のアパートやマンション経営

以前は土地活用といえば土地の所有者が税金対策として行うものがほとんどでしたが、現在は個人の投資家が、所得を増やしより良い暮らしをするために土地活用を行うようになってきました。個人投資家は土地を持っているわけではないので、土地の購入から始めなければなりません。

土地の所有者が行う土地活用と比較すると、土地代の負担が大きい分不利になりそうですが、実際には土地所有者が行うアパートやマンション経営よりも、個人投資家が行うアパートやマンション経営の方が収益を上げているケースが多いというデータがあります。

なぜ、不利な状況にもかかわらず、個人投資家の方が収益を上げることができるのか、その違いを見ていきます。

1. 地主さんのアパートやマンション経営

個人投資家のアパートやマンション経営を考える前に、これまで一般的だった地主さんのアパートやマンション経営について軽く考えてみます。地主さんの土地活用の目的は、多くの場合、税金対策として行われることが主体でした。土地を遊ばせていても、固定資産税の負担があるだけで何のメリットもありません。

しかも、相続の際には、最大で55%も相続税で持って行かれてしまう可能性があります(実際には各種の控除があるので、55%全部持って行かれることはありません。)。

地主さんの土地活用は、固定資産税を減らして、相続税を下げることが目的だったので、収益についてはそれほど重要視されてきませんでした。収益よりも土地を無くさないようにすることの方が重要な課題だったのです。

もうひとつ地主さんの特徴があります。それは年齢層が高いということです。

基本的に相続で受け継いだ土地を運用にまわすことになるため、親の長寿に合わせて相続時の年齢が高くなります。このため、地主さんがアパートやマンション経営を始めるのは、50代以降がほとんどで、中には70代になってからというケースも珍しくありません。

年齢が高いことで、これから子供にお金が掛かる30後半~40代に比べてお金に対する執着が減っていることも、収益にそれほど執着しない理由のひとつかもしれません。

2. 個人投資家のアパートやマンション経営

一方で個人投資家は、お金を稼ぐことが目的ですので、節税になれば良いというような軽い考えではありません。しかも、土地を持っていないため、土地を購入するところから始めなければなりません。

地主さんに比べると土地代を用意しなければならないというマイナスを背負っているので、よりお金を稼ぐのは難しいと言わざるを得ません。

しかし、地主さんよりも個人投資家の方がアパートやマンション経営で成功している人がずっと多いのです。何だか不思議な感じがしますが、この理由としていくつか考えられることがあります。それについてお話をします。

2-1. 個人投資家は勉強家

まず、一番の違いと思われることが勉強の量です。地主さんの多くは、不動産会社などに相談してすべてお任せにしてしまいます。知識がないことを自覚しているので、素人が生兵法で土地活用をするのは大けがにつながると考えている人が多いです。

これは一見とても賢明な判断なように見えますが、必ずしもそうではありません。ニュースを良く見ておられる方ならご存知だと思いますが、専門家と言われる人の予測通りなることは滅多にありません。未来の予測などそう簡単にできるものではないからです。

それに不動産会社や住宅メーカーでは、最初に会った営業が担当することが慣例となっています。このため、どんな人が担当になるかは運任せとなります。不動産の活用には、建築基準法や都市計画法、借地借家法、相続税法などの法律やローンなどの金融の知識が必須となります。

このような幅広い知識を備えている人は、不動産会社の中でも多くはありません。依頼する方は会社に依頼しているつもりですが、多くの不動産会社の営業は一匹狼です。

成果に収入が比例する弱肉強食の世界です。このため、多くの不動産会社では、先輩社員が後輩を育てるという習慣がありません。他人の物件を手伝ってもメリットが少ないからです。

このため、自分に知識がないからと専門家に依頼したつもりでも、相手が十分な知識を持っていないこともあり得ます。信頼できる人の紹介でなければ、良い担当に出会うことは難しいと考えた方が良いと思います。そのくらい、十分な知識を持った人は少ないです。

更にタチの悪いことに、聞きかじりの中途半端な知識しかないにもかかわらず、専門的な知識を持っていると勘違いをしている営業も多いことです。勘違いなのですが、本人は真剣に自分には十分な知識があると思っているので、騙しているという意識はありません。しかし、実際には生兵法となってしまい、残念な結果を招いてしまいます。

個人投資家はこのことを良くわかっている人が多いため、部分的にアドバイスをもらうことはあっても、基本的なプランは自分で考えます。それができるくらいの勉強をしています。このような姿勢が上手く行く秘訣になっていると思います。

2-2. 個人投資家は自分に有利な物件を利用している

いくら勉強熱心だとしてもそれだけでは、地主さんよりも上手くいくのは難しいです。同じような物件を所有したとすると土地代分の初期投資額が負担増となるからです。しかし、これは同じような物件を所有した場合の話です。

例えば、8000万円の土地に1億2000万円のアパートを建てたとします。この場合、地主さんの初期投資額は1億2000万円ですが、個人投資家の場合は2億円となります。しかし、個人投資家はこのような投資の仕方は通常はしないで、中古物件に目を向けます。

新築だと1億2000万円のアパートでも、築15年だとすると減価償却された分安く購入することができます。木造アパートの耐用年数は22年ですので、15/22分の価値が無くなっていると判断されます。

このため、新築時に1億2000万円のアパートの15年後の価格は、1億2000万円×(1-15/22)で約3800万円となります。

土地代が同じ8000万円だとすると、建物と合わせて1億1800万円の初期投資額となります。もちろん、新築と築15年では賃貸料は違いますし、修繕にかかる費用も異なります。

その分、利回りは悪くなるのですが、実際にはこれよりも安い価格で入手できるような物件を選ぶので、利回りが良いケースが多いです。

普通に上手く経営が行っていれば、わざわざ売りに出すことはないので、売りに出ている物件には何らかの事情があるはずです。そのような物件の中から良いものを上手く選ぶことができるのは、土地にしばられない個人投資家の強みだと言えます。

3. 個人投資家のアパマン経営のまとめ

土地を持たない個人投資家は、地主さんよりも土地活用の投資では不利なのですが、地主さんよりも上手に収入を得ていることがあるということについてお話をしました。通常、土地がないということは不利なことのように考えられるのですが、それを逆手にとって場所にしばられないというメリットに変えています。

先ほどはあまり深くお話をしませんでしたが、人が手放す物件の中には急いで現金化をしなければならないような事情のあるものもあります。そのような物件は市場価格よりも遥かに安い金額で取引されることが珍しくありません。個人投資家はそういう物件を常に探しています。

そしてチャンスがあったら、すぐに手に入れるのです。私の友人にも不動産をメインの個人投資家がいるのですが、彼女は物件の情報を聞いたら深夜だろうなんだろうとすぐに物件を見に行くようにしています。

このような行動力は地主さんには不要なものかもしれませんが、この行動力は勉強にもいかんなく発揮されています。しっかりと稼ぐという点にフォーカスしていることが、個人投資家の方が成功している理由かもしれません。